持続的な地域経営、ファンづくりに必要なものは?「観光庁令和2年度事業 誘客多角化実証調査事業」全国シンポジウムの開催レポート(後半)

観光庁は、withコロナ・afterコロナ期における新たな観光のあり方等を検証し、国内各地域が感染拡大防止策を徹底した上で、効果的・効率的に誘客に取り組む環境を整備するためのシンポジウムを2021年6月7日(月)15:00~18:30にzoomにて開催しました。

後半部分では引き続きコロナ禍での成功した観光事例について見ていき、三人の専門家のそれぞれが見据えるコロナ収束後に残る観光像について紹介します。

前半部分はこちらから

第三セッション:持続的な地域経営・ファンづくり

第三セッションの概要
▲第三セッションの概要

第三セッションにおいては、山形盆地での取り組みと八ヶ岳での取り組みを例に挙げ、持続的な地域経営、ファンづくりについてのセッションが行われました。

事例1山形盆地が行った観光の底力をつけるコロナ禍ならではのツアー



▲コロナ禍の山形盆地の取り組み

株式会社DMC天童温泉旅行事業課リーダーの鈴木氏は地域資源を活用した体験ツアーの造成を行っています。

今回山形盆地では、県内の人向けに作ったオリエンタルカーペット、将棋、天童木工、出羽桜、山形鋳物の高付加価値型体験ツアーを開催しました。

モニターツアーを行いアンケートを行った結果、大変満足が85.3%、満足が14.7%と非常に良い結果となりました。

コロナ禍では遠くからの観光客があまり見込めないため、地元の方々に地域についての魅力を知ってもらい、地元をより好きになってもらうことを目的としています。

それによって観光地としての底力を上げ、観光地の魅力を上げることが狙いだったということです。

事例2地元の人でも身近な魅力にきづけるようなコロナ禍ならではの新型ツアー

コロナ禍での八ヶ岳の取り組み
▲コロナ禍での八ヶ岳の取り組み

一般社団法人八ヶ岳ツーリズムマネジメントの代表理事である小林氏は、コロナ禍において近距離需要が中心となり集客範囲が狭まる中でもしっかり誘客でき、afterコロナにおいても安心安全なコンテンツ造成を目指しています。

その一環として八ヶ岳においても、山形盆地と同様に近隣のお客様を相手にしたコロナ禍ならではの新規ツアーを造成しました。

八ヶ岳は主にその自然を活かし、地元の人が知らないような魅力を全面に押し出したツアーを企画しました。

そのほかにも今後ガイドの育成を行うことで、地元の魅力を熟知したガイドが観光客に八ヶ岳の魅力を十分に伝えられるツアーの造成を目指しています。

発表後のディスカッション

ディスカッションの様子
▲ディスカッションの様子

ディスカッションの時間では地域ブランディング研究所代表取締役吉田博詞氏から2つの事例の代表者に対していくつか質問がなされていました。

地域を巻き込んでいくプロセスにおいて普段から意識していること

DMC天童温泉の鈴木氏は地域の課題と解決策を住民と教諭することが大切だと考えています。

鈴木氏は以下のように述べています。

「地域を巻き込んでいく上で大事なのは、地域における課題においてその解決策として観光が本当に効果的なのかを確認し、課題解決において観光がどのような点でメリットなのかについて提示することです。」

八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林氏は定期的に話し合いの場を設け、目的を確認することが大事だと考えています。

小林氏は以下のように述べています。

「観光に関連した方々を集めた月に一回の戦略会議においてそれぞれが課題を共有し、地域の各分野の方々と会議を行い合意を得ます。

その上で地域に商品を上げていくためにガイドをつけて人と人とのふれあいから商品が上がるようにする、このように地域とのふれあいを相当意識して行っています。」

将来的なビジョン

DMC天童盆地の鈴木氏は山形県人が素晴らしいと思える山形を作ることが観光において重要だと考えています。

「理想として掲げる県外の人が素晴らしいと思える山形、県内の人も山形の素晴らしさに自身を持てるような山形を作るための施策をしていきたいと考えています。

具体的にはガイドツアーなどを実施していき、その地域についての理解を県内の人にも県外の人にも増やしていきたいと考えています。」

八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林氏は域内消費量を増やし、長く滞在してもらうことが重要だと考えています。

小林氏は以下のように述べています。

「地域の域内消費量を増やすためにナイトタイムのコンテンツを充実させ、宿泊してもらえるお客様を増やすことを目指しています。」

リピーターを増やすための取り組み

DMC天童盆地の鈴木氏は満足はするけど"しきらない事"が重要だと述べます。

「具体的には季節特有のプロジェクトや春夏秋冬でつづけて行われるようなローカルな取り組みを行ってリピーターを増やします。また、地域住民が地元を愛する雰囲気をつくることで、自然とまた来たいなと思わせるようにします。」

八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林氏は地域住民の地元への理解が観光の底力として重要だと考えています。

小林氏は以下のように述べています。

「やはり地元住民が地域を深く理解して愛していくことが必要です。

そのうえで地元住民がその地元愛をガイドという形で人が人に直接伝えていくことで地域の良さをアピールしていくことが重要です。

また、断続的にお客様の志向についての調査を行うことによって、常にニーズを確認していき満足度を維持していくことが重要です。」

第四セッション:withコロナ時代の『新しいツーリズム』展望 三人の専門家が見る観光業界の将来の景色は何なのか?

第四セッションでは、第一~第三セッションで見てきた成功事例を踏まえて、どういった観光地の形がコロナ終息後の未来において残っていくのかを、3人の専門家がそれぞれ意見を述べました。

三人の専門家のセッションの様子
▲三人の専門家のセッションの様子

観光レジリエンス研究所代表 高松正人氏の展望

▲高松正人氏
高松氏は、間接的な人と人とのつながりが増えていくことを活かし各地域が観光の形を作り上げた上でお互いに魅力を発信し合うことが重要だと考えています。

「しばらく時期が経ったときになってニューノーマルがきちんと生まれているように、今の段階からきちんと質の高い取り組みを行ったところが、将来観光地として残っていくことができると考えています。」

NPO法人エコツーリズムセンター共同理事 森高一氏の展望

▲森高一氏

森氏はコロナ禍によって観光業界が新たなつながりを手に入れたと考えています。

「今まで観光業界が繋がってこなかったような業界や人とつながりを作っていくことによってさらなる多様性がうまれ、そのことがサステナビリティな未来につながっていくと考えています。」

JTIC.SWISS代表 山田桂一郎氏の展望

▲山田桂一郎氏

山田氏は国や行政に頼らずとも観光戦略を練る気概を持つことが需要だと考える一方で現場の独特の苦労やコロナを取り巻く状況の中で協力できる仲間を作って一体となって取り組むことが大切だと考えています。

その上で、「様々な地域の取組をたくさん参考にして取り入れて実行していくことで、とにかく前を向いて進めていくことが重要です。」と述べています

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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