観光庁は、withコロナ・afterコロナ期における新たな観光のあり方等を検証し、国内各地域が感染拡大防止策を徹底した上で、効果的・効率的に誘客に取り組む環境を整備するためのシンポジウムを2021年6月7日(月)15:00~18:30にzoomにて開催しました。
後半部分では引き続きコロナ禍での成功した観光事例について見ていき、三人の専門家のそれぞれが見据えるコロナ収束後に残る観光像について紹介します。
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【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
第三セッション:持続的な地域経営・ファンづくり

第三セッションにおいては、山形盆地での取り組みと八ヶ岳での取り組みを例に挙げ、持続的な地域経営、ファンづくりについてのセッションが行われました。
事例1山形盆地が行った観光の底力をつけるコロナ禍ならではのツアー

株式会社DMC天童温泉旅行事業課リーダーの鈴木氏は地域資源を活用した体験ツアーの造成を行っています。
今回山形盆地では、県内の人向けに作ったオリエンタルカーペット、将棋、天童木工、出羽桜、山形鋳物の高付加価値型体験ツアーを開催しました。
モニターツアーを行いアンケートを行った結果、大変満足が85.3%、満足が14.7%と非常に良い結果となりました。
コロナ禍では遠くからの観光客があまり見込めないため、地元の方々に地域についての魅力を知ってもらい、地元をより好きになってもらうことを目的としています。
それによって観光地としての底力を上げ、観光地の魅力を上げることが狙いだったということです。
事例2地元の人でも身近な魅力にきづけるようなコロナ禍ならではの新型ツアー

一般社団法人八ヶ岳ツーリズムマネジメントの代表理事である小林氏は、コロナ禍において近距離需要が中心となり集客範囲が狭まる中でもしっかり誘客でき、afterコロナにおいても安心安全なコンテンツ造成を目指しています。
その一環として八ヶ岳においても、山形盆地と同様に近隣のお客様を相手にしたコロナ禍ならではの新規ツアーを造成しました。
八ヶ岳は主にその自然を活かし、地元の人が知らないような魅力を全面に押し出したツアーを企画しました。
そのほかにも今後ガイドの育成を行うことで、地元の魅力を熟知したガイドが観光客に八ヶ岳の魅力を十分に伝えられるツアーの造成を目指しています。
発表後のディスカッション

ディスカッションの時間では地域ブランディング研究所代表取締役吉田博詞氏から2つの事例の代表者に対していくつか質問がなされていました。
地域を巻き込んでいくプロセスにおいて普段から意識していること
DMC天童温泉の鈴木氏は地域の課題と解決策を住民と教諭することが大切だと考えています。
鈴木氏は以下のように述べています。
「地域を巻き込んでいく上で大事なのは、地域における課題においてその解決策として観光が本当に効果的なのかを確認し、課題解決において観光がどのような点でメリットなのかについて提示することです。」
八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林氏は定期的に話し合いの場を設け、目的を確認することが大事だと考えています。
小林氏は以下のように述べています。
「観光に関連した方々を集めた月に一回の戦略会議においてそれぞれが課題を共有し、地域の各分野の方々と会議を行い合意を得ます。
その上で地域に商品を上げていくためにガイドをつけて人と人とのふれあいから商品が上がるようにする、このように地域とのふれあいを相当意識して行っています。」
将来的なビジョン
DMC天童盆地の鈴木氏は山形県人が素晴らしいと思える山形を作ることが観光において重要だと考えています。
「理想として掲げる県外の人が素晴らしいと思える山形、県内の人も山形の素晴らしさに自身を持てるような山形を作るための施策をしていきたいと考えています。
具体的にはガイドツアーなどを実施していき、その地域についての理解を県内の人にも県外の人にも増やしていきたいと考えています。」
八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林氏は域内消費量を増やし、長く滞在してもらうことが重要だと考えています。
小林氏は以下のように述べています。
「地域の域内消費量を増やすためにナイトタイムのコンテンツを充実させ、宿泊してもらえるお客様を増やすことを目指しています。」
リピーターを増やすための取り組み
DMC天童盆地の鈴木氏は満足はするけど"しきらない事"が重要だと述べます。
「具体的には季節特有のプロジェクトや春夏秋冬でつづけて行われるようなローカルな取り組みを行ってリピーターを増やします。また、地域住民が地元を愛する雰囲気をつくることで、自然とまた来たいなと思わせるようにします。」
八ヶ岳ツーリズムマネジメントの小林氏は地域住民の地元への理解が観光の底力として重要だと考えています。
小林氏は以下のように述べています。
「やはり地元住民が地域を深く理解して愛していくことが必要です。
そのうえで地元住民がその地元愛をガイドという形で人が人に直接伝えていくことで地域の良さをアピールしていくことが重要です。
また、断続的にお客様の志向についての調査を行うことによって、常にニーズを確認していき満足度を維持していくことが重要です。」
第四セッション:withコロナ時代の『新しいツーリズム』展望 三人の専門家が見る観光業界の将来の景色は何なのか?
第四セッションでは、第一~第三セッションで見てきた成功事例を踏まえて、どういった観光地の形がコロナ終息後の未来において残っていくのかを、3人の専門家がそれぞれ意見を述べました。

観光レジリエンス研究所代表 高松正人氏の展望

「しばらく時期が経ったときになってニューノーマルがきちんと生まれているように、今の段階からきちんと質の高い取り組みを行ったところが、将来観光地として残っていくことができると考えています。」
NPO法人エコツーリズムセンター共同理事 森高一氏の展望

森氏はコロナ禍によって観光業界が新たなつながりを手に入れたと考えています。
「今まで観光業界が繋がってこなかったような業界や人とつながりを作っていくことによってさらなる多様性がうまれ、そのことがサステナビリティな未来につながっていくと考えています。」
JTIC.SWISS代表 山田桂一郎氏の展望

山田氏は国や行政に頼らずとも観光戦略を練る気概を持つことが需要だと考える一方で現場の独特の苦労やコロナを取り巻く状況の中で協力できる仲間を作って一体となって取り組むことが大切だと考えています。
その上で、「様々な地域の取組をたくさん参考にして取り入れて実行していくことで、とにかく前を向いて進めていくことが重要です。」と述べています
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【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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