日本にとって重要な貿易相手国であるアメリカと輸入・輸出を行う際には、関税制度に関する正しい知識が必要となります。
本記事では、アメリカの関税について説明します。
アメリカとの輸入・輸出を行う際に注意したい関税システムから、2020年に制定されたFTA(自由貿易協定)まで説明します。
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アメリカの関税基準は「輸入量」「輸出価格」 品目分類は独自の「HTSコード」
アメリカの関税基準は「輸入量」と「輸入価格」で、品目分類には独自の「HTSコード」が採用されています。
それぞれ詳しく解説します。
輸入者が関税率表に基づいて自己申告
アメリカでは、輸入貨物について「輸入量」と「輸入価格(FOB価格)」を基準に課税され、輸入者が関税率表に基づいて自己申告で納税します。
輸入価格(FOB価格)がドル以外の外国通貨建てとなっている場合は、四半期ごとに更新される「公定換算レート」を使用する必要があります。
また特殊関税として、WTO協定で認められている「アンチダンピング関税」があり、輸出国の国内価格よりも低い価格による輸出(ダンピング輸出)によって、輸入国(日本)の国内産業が被害を受ける場合、価格差を相殺する関税を賦課する措置があります。
関税清算に注意
輸入の際に輸入者が納入する関税は予定納税(Estimate Duty)で、1年以内(通常は4か月以内)に税関から通知される確定関税との差異が生じる場合があります。
差額分がマイナスの場合は徴収、プラスの場合は還付されることを「関税清算(Liquidation)」といい、輸入者はこの決定に対して不服を申し立てることも可能です。
品目分類には「HTSコード」を起用
貿易においては、関税の課税等のために、関税率表適用上の所属区分を決める「品目分類」が用いられます。
世界共通の品目分類番号である「HSコード」は、あらゆる貿易対象品目を6桁の数字で分類しています。
アメリカは独自の品目分類「HTSコード」を採用しており、世界共通の6桁を4桁で表し、それに2桁と4桁の拡張コードをつけて品目の確定を行っています。
アメリカの関税システム
アメリカの現行の関税法は、1930年の関税法が基本となっており、税関近代化法が1993年に成立してからは電算化が進められています。
一般的な関税率は統一されている
アメリカの関税率は「米国関税率表」によって定められており、貿易相手国のほとんどは正常貿易関係(NTR:Normal Trade Relations)として扱われます。
NTR諸国からアメリカへの輸入品には、基本的に同一の関税率が課されます。
「一般税率」に加えて「特別税率」や「法定税率」も
アメリカにおける関税率は、「一般税率」のほか「特別税率」と「法定税率」に分類されます。
一般税率はNTR諸国向けの税率で、日本は一般税率に加えて、日米貿易協定で対象とされている品目については、別途特別税率が適用されます。
特別税率は、特恵措置が適用される国や輸入品への税率で、FTAや貿易協定等締結国への特恵税率のほか、特定の開発途上国へのGSP(一般特恵関税)などが挙げられます。
最後に法定税率は、キューバと北朝鮮に対して適用される税率で、もとは共産圏諸国向けでしたが、今では適用国は2か国のみとなっています。
FTA(自由貿易協定)とは
世界の貿易ルールを決めるWTO(世界貿易機関)では、161の国と地域の「全会一致」が原則とされています。
しかし先進国と途上国の対立により、2001年から開始した交渉は停滞しました。
その中で誕生したのが「FTA(自由貿易協定)」「EPA(経済連携協定)」「TPP(環太平洋経済連携協定)」です。
FTAは日本とアメリカ間での関税協定
「FTA(自由貿易協定)」とは、関税の撤廃や削減など、2国間の輸出入や産業に関係する協定のことです。
2020年1月1日に発効された「日米貿易協定」は、日米間の貿易を拡大し、相互の経済をより成長させることを目的として、2国間の関税などの制限的な措置を、一定の期間内に撤廃または軽減することができるという取り決めです。
日米貿易協定は関税に関する協定「FTA」であり、不平等条約とも言われています。
日本が重要視するコメに関しては保護されているものの、アメリカ産の牛肉や乳製品などの関税は、以前より軽減されています。
日米貿易においてFTAが今後どう変動していくかが鍵
日米貿易協定が発効され、日本が最重要視しているコメは保護されているものの、日本に対して乳製品や牛肉などの輸入を迫る内容となっています。
新型コロナウイルス感染拡大が収束したあとの景気回復による貿易の復興で変動する可能性があり、今後の動向が注目されます。
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