世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界各国では入国制限などの規制が続けられ、航空会社は依然として大きな影響を受けています。
11月に国際航空運送協会(IATA)が公表したデータによれば、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)ベースの2021年9月の旅客実績は、国際線と国内線の合計で2019年同月と比較し53.4%減となりました。
航空貨物輸送実績は、国際線と国内線合計で2019年同月比9.1%増と9か月連続で増加し、コロナ禍前の水準を大きく上回る状況が続いています。
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【東アジア】日本で年末年始の増便相次ぐ、台湾で日本路線再開も
東アジアでは、日本の航空各社で年末年始の増便が予定されており、台湾ではタイガーエア台湾による日本路線再開も計画されています。
日本国内
ANAの12月24日から1月4日の年末年始の運航率は98%となっており、12月の運航率は2021年度で最も高い86%となっています。
またANAは11月15日から、優先搭乗を1年5か月ぶりに再開しました。
ANAグループのピーチは、10月31日に九州と沖縄県・石垣を結ぶ唯一の直行便の運航を開始しており、年末年始には3路線10便を増便し、成田/関西線と関西/宮崎・石垣線を運航します。
JALの12月24日から1月4日の年末年始の運航率は、97%となっています。
12月の運航率はコロナ前の計画比で91%となっており、9割以上の便が運航されるのは2020年3月以降で初となります。
また同社は11月2日に業績見通しを発表し、2021年10〜12月に資金流出を解消し、2022年1〜3月に黒字化を見込んでいることを明らかにしました。
JALグループの格安航空会社(LCC)であるスプリング・ジャパンは、12月24日から新千歳線・広島線・佐賀線の国内線3路線の全便の運航を再開します。
またJALグループのジップエアも12月25日から、太平洋を横断してアジアとアメリカ本土を結ぶ初めての路線となる、東京・成田/ロサンゼルス線に就航し、これに続くアメリカ西海岸の就航地点を検討していく方針です。
ジップエアは、11月10日~27日にかけてソウル発成田行きを増便するほか、年末年始には成田~ホノルル線の増便も予定しています。
その他
日本トランスオーシャン航空(JTA)は、沖縄県内外の旅行需要回復と活性化を目指し、直行便が就航していない地点を中心としてチャーター便の運航に取り組んでおり、2022年3月までに47便を計画しています。
またAIRDO(エア・ドゥ)は、ANAとのコードシェアを行い、11月の3日間に東京/羽田〜札幌/千歳線の増便運航するほか、年末年始に東京/羽田〜札幌/千歳線で増便運航を行います。
ソラシドエアは12月1日から2022年1月5日にかけて減便し、減便率は2%となります。
スカイマークも12月1日から23日にかけての平日に減便し、12月の減便率は1.7%となります。
韓国
大韓航空は12月4日から、関西/ソウル・仁川線を増便し、水曜と木曜の週2便に、土曜を追加した週3便で運航します。
またアシアナ航空は、11月から12月にかけても日本線4路線を運航します。
なお大韓航空が発表した2021年第3四半期決算は、貨物事業の積極化により多額の営業利益を計上しました。
貨物事業は過去最高の四半期利益を計上しており、ホリデーシーズンや年末のピーク需要などに伴い、第4四半期も堅調に推移する見通しです。
香港
キャセイパシフィック航空は、日本線2路線の運航を11月と12月も継続します。
東京/成田〜香港線は木曜と土曜の週2便、大阪/関西〜香港線は大阪/関西発のみを水曜、香港発は水曜と土曜に運航し、12月の大阪/関西発は土曜に変更されます。
札幌/千歳・東京/羽田・名古屋/中部・福岡〜香港線の4路線については、運休が継続されます。
台湾
タイガーエア台湾は、2022年1月13日から日本路線の運航を再開する予定です。
成田/台北線の直行便を運航し、1月14日には関西/台北線を再開します。
また2020年1月に運航を開始した台湾のスターラックス・エアラインズも、成田と関西に続く日本路線の3路線目として、2022年2月17日から福岡/台北線を新規就航する予定です。
【東南アジア】シンガポール、マレーシアとのワクチンとレベルレーン開始で専用便運航
東南アジアでは、シンガポールがマレーシアとのワクチントラベルレーンを開始し、各社が専用便を運航しています。
またベトナム航空は、コロナ禍以降初となる、観光目的での日本からの受け入れ便を運航する予定です。
タイ
タイ国際航空は2022年1月から、東京/羽田〜バンコク線の貨物便を運航します。
同社は7月から9月にかけて貨物便を1,622便運航し、前年比19%増の収益を上げています。
シンガポール
シンガポールでは、マレーシアとのワクチントラベルレーン(VTL)が開始されることに伴い、シンガポール航空とジェットスター・アジア航空が11月29日から専用便を運航します。
またシンガポール航空とスクートは、インドへの旅客便の運航を11月29日から順次再開し、VTL専用便も運航されます。
またスクートは、初のイギリス路線となる、シンガポール〜バンコク/スワンナプーム〜ロンドン/ガトウィック線を12月16日に開設する予定で、バンコクとロンドンを結ぶ唯一の格安航空会社(LCC)となります。
ベトナム
ベトナム航空は、外国人観光客の渡航を目的とした臨時便として、年末年始に東京/成田〜ダナン線を運航する予定です。
2020年3月に旅客便を一時停止して以来、初の観光目的での日本からの受入れ便で、東京/成田発が12月29日、ダナン発が2022年1月3日発の1往復となります。
マレーシア
マレーシア航空とシンガポール航空は、シンガポール〜クアラルンプール線で共同運航(コードシェア)を再開します。
2社は2019年に共同事業の開始に合意しており、対象路線をマレーシア国内線、ヨーロッパと南アフリカの9都市にも広げます。
またエアアジアグループが発表した2021年7月から9月までの第3四半期の業績は、グループの売上高が前年同期比37%、前四半期比20%減少し、2億9,600万マレーシア・リンギットとなりました。
航空事業はマレーシアでのロックダウンの影響により前年同期37%、前四半期比20%減少したものの、貨物事業はネットワークの拡大により増収となりました。
【北・南米】ハワイアン航空、年末年始の日本路線は現状維持
アメリカでは、ハワイアン航空の年末年始の日本路線は現状維持となっています。
アメリカ
11月8日にアメリカ政府が入国制限を撤廃することを受け、デルタ航空は国際線の予約数が450%増加したと明らかにしました。
制限の撤廃により、ヨーロッパを中心に33か国の利用者が恩恵を受け、デルタ航空はそのうち10か国に直行便を運航しています。
またユナイテッド航空は、2022年1月にラスベガスで開催されるIT見本市「CES 2022」に合わせて、44便の臨時便を追加します。
なおハワイアン航空は、日本への帰国時の入国制限が依然として厳しいことから、年末年始も現状を維持し、ホノルル~成田線を週3往復、ホノルル~関西線を週1往復運航し、羽田などその他の路線は運休します。
【オセアニア】カンタス航空、約600日ぶりに国際線の旅客便運航再開
オセアニアでは、オーストラリアのカンタス航空が約600日ぶりに国際線の旅客便運航を再開しました。
オーストラリア
カンタス航空は、11月1日に国際線の旅客便運航を再開しました。
2020年3月以来、約600日ぶりの再開で、カンタス航空の国際線は原則としてワクチン接種が搭乗の条件とされています。
【ヨーロッパ】フィンエアーで路線再開、英フライビーも22年春に運航開始へ
ヨーロッパでは、フィンランドのフィンエアーが、日本路線を含む路線再開やプレミアムエコノミーの導入を進めています。
フィンランド
フィンエアーは、2020年春から運休していたヘルシンキ発着のトゥルクとタンペレ線の2路線を、2022年春から運航再開する計画です。
再開にあたっては、温暖化ガス排出量を抑制するため、コロナ禍前の運航便数には戻さず、一部をバスによる輸送で補完します。
また2022年3月27日以降の夏スケジュールで、コロナ前に定期便を運航していた日本路線も再開する方針です。
さらに同社はプレミアムレジャー需要の高まりを想定し、2022年にもプレミアムエコノミーを導入する予定です。
またスカンジナビア最大の地域航空会社であるヴィデロー航空とともに、ヘルシンキ〜ベルゲン・トロムソ線の運航を、12月14日から開始する予定です。
イギリス
フライビーは、前航空会社の経営破綻を経て、2022年春にも運航開始を目指し、イギリスやヨーロッパ全域へ路線網を展開する予定です。
今後、本社を置くバーミンガムやウェスト・ミッドランズ地域で、約200名の直接雇用を予定しています。
【中東】エミレーツ航空やカタール航空で路線再開、拡大の動き相次ぐ
中東では、エミレーツ航空が路線の再開やコードシェアの拡大を進めているほか、カタール航空もエアバスA380の運航再開を目指しています。
アラブ首長国連邦
エミレーツ航空は、ドバイ〜テルアビブ線の運航を12月6日から1日1便開始します。
さらに12月からの再開を延期していた東京/羽田〜ドバイ線の運航も、2022年1月17日から再開します。
また同社は11月2日からTAPポルトガル航空との共同運航(コードシェア)を拡大しており、両社のコードシェア路線は90路線以上となっています。
なおエミレーツ航空が発表した2022年3月期の中間決算は、約1,757億円の赤字となりました。
カタール
カタール航空は11月2日、保有するエアバスA380型を、運航再開に向けて再稼働させました。
12月中旬にドーハ発着のロンドン、パリ線でA380を運航する予定で、保有する10機のA380のうち5機を定期便に戻すとしています。
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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