ドバイ関税制度の特徴 免税のある経済特区や日本との関係を解説

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

ドバイは優れた地理的条件や歴史から、貿易都市として発展してきました。

本記事では、ドバイの特徴的な関税制度や、日本企業のドバイ進出について解説します。

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

ドバイ関税の特徴

まず、ドバイの所属している湾岸協力理事会(GCC)や、特徴的な経済特区について解説します。

ドバイが登録している湾岸協力理事会(GCC)とは

ドバイは「GCC(Gulf Cooperation Council:湾岸協力理事会)」という国家間の連携体制に所属しています。

防衛・経済をはじめとするあらゆる分野における参加国間での調整統合連携を目的として、1981年にサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートによって設立されました。

加盟国間での貿易の円滑化を図るため、関税への規制緩和を掲げています。

GCC内では、ヒト・モノ・カネの移動が自由であり、統一された関税システムが存在します。

また、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府機関であるドバイ税関は、通関手続きの実施と規制、合法的貿易の円滑な活動の促進、首長国の社会経済発展を支えており、世界的貿易ハブとしてのドバイの名声に貢献しています。

ドバイ税関はドバイとUAEで最も古い公的機関のひとつでもあり、投錨地(バース)を意味するアラビア語「al Furdah」でも知られています。

UAEの経済特区|貿易に特化したフリーゾーン

UAEには、45箇所のフリーゾーンがあります。

なかでもドバイの三大貿易専用フリーゾーンとして挙げられるのが、ジェベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)、ドバイ空港フリーゾーン(DAFZA)、ドバイ・マルチコモディティーズ・センター(DMCC)です。

フリーゾーンでの取引は、基本的に非課税とされており、商品を保管する場所がフリーゾーンで、なおかつ輸送時に中心部を経由していなければ、関税がかかりません。

フリーゾーンでは免税され、商品がドバイ本土に入国した時のみ課税されます。

輸入品には5%の関税が課せられますが、ほとんどの国は免除されます。

ドバイの関税がかからないフリーゾーンから、その他のGCC加盟国へ再輸出する場合、中心部企業の場合は、中心部に商品を運び入れるタイミングで5%の関税を支払います。

その際、関税を払ったという証明としてMAKASAスタンプが付与されます。

MAKASAスタンプは、関税を支払った証明となるため、その他のGCC加盟国へ再輸出した際には関税がかからなくなります。

いっぽうフリーゾーン企業の場合は、ドバイ経由でもフリーゾーン内で輸出手続きが可能であるため、UAEで関税がかかることはないものの、再輸出先の国の関税ルールに則って支払いをする必要があります。

また再輸出先国で関税を支払えば、MAKASA Stampを発行されるため、その後GCC加盟国内で再輸出した際には、これ以上の関税はかかりません。

なお、中心部での関税制度については、品目分類として世界共通の品目分類である「HS方式」が使用されています。

関税の種類としては、輸入品の価格に対して税が課される「従価税」が採用され、税率が同等であれば価格の高い物品の方が税金が高くなります。

また課税基準は「CIF価格」で、FOB価格に運賃や船荷保険料を上乗せした価格となっています。

ドバイ(UAE)の対外貿易

UAEの2015年の貿易総額は3,640億ドルであり、その内訳は輸出額が1,470億ドル、輸入額が2,170億ドルで、貿易収支は700億米ドルの赤字となっています。

主な輸出品目は、鉱物性製品が52%(特に原油32%)、貴金属が18%、金属が8.9%、機械が5.2%、プラスチック及びゴムが4.1%、その他が11.8%です。

主な輸入品目は、機械が26%、貴金属が16%、車両や航空機が15%、繊維が7.6%、金属が5.8%、その他が29.6%となっています。

最大の輸出国は日本で、最大の黒字国となっており、125.5億ドルにのぼります。

日本への輸出品目は鉱物性生産品が97%を占め、そのうち原油は74%の割合を占めています。

いっぽう輸入国(赤字国)は、1位が中国で268億ドル、2位は米で156億ドル、3位はドイツで149億となっており、主な輸入品目は機械や紡織用繊維、車両・航空機などとなっています。

また最大の貿易相手国はインドで、2位は僅差で中国、3位は日本となっています。

他にも、7位の韓国、8位のシンガポールなど、アジア諸国との貿易がさかんとなっています。

また近年ではドバイやアブダビで、関税や法人税を免除する経済特区に海外企業の対内直接投資を誘致し、小売や不動産、金融などの産業を育成して経済の多角化を進め、脱原油依存を目指しています。

日本とドバイの関係

次に、フリーゾーン内に進出している日系企業について紹介します。

なぜフリーゾーンに進出するのか

UAEには約35のフリーゾーンがあり、うち約25がドバイに存在します。

 中心部で企業を設立する場合には通常、51%以上をUAE国民が出資する必要がありますが、FZでは100%外資による企業設立が可能です。

各首長国政府が外資企業誘致のために整備を進める経済特区であり、外資100%企業の設立許可や、関税・法人税の免除など各種優遇制度が充実しているために日系企業も多く参入しています。

西鉄 UAEのフリーゾーンを利用

その一例として、西日本鉄道は2021年4月、国際物流事業を手がけるNNR GLOBAL LOGISTICS UK LIMITED (UK社)が、UAEに100%出資子会社である「NNR GLOBAL LOGISTICS MIDDLE EAST FZCO(UAE社)」を設立したことを発表しました。

UK社では、海外ネットワークの拡大のため2019年にUAEにドバイ駐在事務所を開設してドバイの市場調査と現地企業の情報収集を進め、さらなる事業拡大・強化のため、2021年1月に24番目となる海外子会社UAE社を設立していました。

同社は、日本企業が約80社進出する、ドバイ国際空港に隣接する「ドバイ空港フリーゾーン」に位置しており、顧客ニーズに合わせた物流業務の戦略・企画・運営を包括的に受託する3PLビジネスのほか、中東・アフリカ市場へのビジネス拡大を目指します。

日本とUAEの関係において関税制度理解は必須

ドバイを擁するUAEは、世界有数の産油国ですが、長期的な原油需要の減少を見込んで、脱原油依存への取り組みを進めています。

フリーゾーンができた1985年には、その画期的な試みは世界から懐疑的な目で見られていましたが、現在では世界100か国以上から約6,000社がフリーゾーンに進出しています。

日本は輸出最大国であり、多くの企業が進出しているため、ドバイの関税システムを理解することは必須となります。

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

<参照>

経済産業省:UAE概要

西日本鉄道株式会社:国際物流事業 アラブ首長国連邦に現地法人を設立


中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】

短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。

今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

詳しくはこちらをご覧ください。

中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】

【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに