世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界各国では入国制限などの規制が続けられ、航空会社は依然として大きな影響を受けています。
12月に国際航空運送協会(IATA)が公表したデータによれば、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)ベースの2021年10月の旅客実績は、国際線と国内線の合計で2019年同月と比較し49.4%減となりました。
航空貨物輸送実績は、国際線と国内線合計で2019年同月比9.4%増と10か月連続で増加し、コロナ禍前の水準を大きく上回る状況が続いています。
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【東アジア】日本航空各社は年末年始に臨時便設定
日本国内では、年末年始に航空各社で臨時便の運航が行われました。
日本国内
航空調査会社のCirium(シリウム)は「航空サービスの利用に関する意識調査レポート2021」で日本国内線の輸送量について、2022年第1四半期にもほぼコロナ前の水準に回復すると予測しています。
ANA
ANAが12月24日に発表した年末年始(12月25日~2022年1月4日)のANA国内線予約は、前年度比154.2%の113万7,633人でコロナ禍前の7割まで回復し、ピークは12月29日と1月3日となっています。
ANAは年末年始の羽田発着を中心として、国内線で臨時便を300便超設定しました。
いっぽう国際線の運航計画については、本格的な需要回復には一定の時間を要すると判断し、運航率は1月が22%、2月と3月が23%となっています。
また貨客動向をふまえ、12月1日~2022年1月11日に東京/成田〜チェンナイ・ヤンゴン線で7便を増便します。
JAL
JALでは、2021年10月の国内線旅客は8.2%減となり、国際線では78.7%増となりました。
2022年1月の国内線では減便を追加し、計815便の減便で、減便率は3%となります。
12月2日に発表した2022年2月までの国際線運航計画では、成田~ホノルル線を1日1往復に増便する以外は、1月までの運航規模を維持し、アジア~北米間の乗り継ぎ需要獲得に向けた路線と便数を維持します。
JALグループの格安航空会社(LCC)であるスプリング・ジャパンは、東京/成田〜札幌/千歳線で年末年始に臨時増便を行います。
また2022年1月11日から3月26日まで、東京/成田~佐賀線で減便すると発表しました。
東京/成田〜南京線は、南京禄口国際空港への航空機の乗り入れ停止を受け、2022年1月1日から2月28日まで期間運休し、3月から隔週金曜の運航を再開する見通しです。
JALグループのジップエアは12月25日、LCCとして初の太平洋横断路線となる、東京/成田〜ロサンゼルス線を週3便で開設しました。
2022年1月14日からは、日曜を除く週6便に拡大します。
その他
スカイマークは2022年1月12日から31日にかけて、4路線の85便を対象に減便し、期間中の減便率は2.8%、1月全体の減便率は1.8%となります。
いっぽう直近の需要動向を踏まえて12月25日には、東京/羽田〜福岡線での臨時便を4便運航し、同日の東京/羽田〜福岡線は5往復を増便し、17往復を運航することになりました。
さらに2022年1月15日から30日までの間、新たに東京/羽田〜福岡線12便、東京/羽田〜神戸線6便の臨時便を運航することを決め、1月の臨時便は計100便となります。
フジドリームエアラインズ(FDA)は年末年始に、名古屋/小牧〜新潟線で臨時便を運航します。
ソラシドエアは2022年1月は全便を運航し、東京/羽田〜宮崎・熊本・鹿児島線で年末年始に臨時便を運航します。
AIRDO(エア・ドゥ)も年末年始に、東京/羽田〜札幌/千歳線で増便運航を行います。
韓国
韓国政府はオミクロン株蔓延防止のため、12月4日から17日までの2週間を予定していたエチオピア航空機の乗り入れ禁止期間について、2022年1月6日まで延長しました。
乗り入れ禁止期間中は、乗客数の減少に伴って欠航などの影響が発生する可能性が高いとしています。
香港
香港エクスプレス航空は、2022年2月1日に香港〜シンガポール線を開設します。
政府の認可を条件として、火曜の週1便を運航するものです。
【東南アジア】ベトナム航空、1年9か月ぶりに日本との定期便再開へ
東南アジアでは、タイ国際航空がシンガポール線でワクチン・トラベル・レーン専用フライトの運航を開始しました。
またベトナムでも、1年9か月ぶりに日本との定期便の運航が再開されます。
タイ
タイ国際航空は、12月7日からプーケット〜シドニー線の運航を開始しました。
隔離なしで観光客を受け入れる「プーケット・サンドボックス」などを受けたもので、2022年3月25日までの運航を予定しています。
また同社は12月14日からバンコク〜シンガポール線で、ワクチン接種者専用便の運航を開始しました。
シンガポール政府からワクチン・トラベル・レーン(VTL)専用フライトの運航を承認されたもので、1日1往復を運航します。
ベトナム
ベトナム航空は、2022年1月5日から東京/成田〜ハノイ線を木・日曜の週2便、1月8日から東京/成田〜ホーチミン線を土曜の週1便運航します。
運航再開は約1年9か月ぶりで、搭乗に関する条件はベトナム政府の指示後に案内が行われます。
ベトジェットエアは、ベトナム政府による承認を受け、ハノイ・ホーチミンからの国際線5路線の運航を2022年1月から再開します。
東京/成田・ソウル/仁川・台北/桃園・シンガポール・バンコク/スワンナプームへ向かう便で、まず週1便で運航します。
旅行需要や政府の承認に合わせて増便を目指し、次の段階では国際線全便の運航を再開予定で、インドやロシアへの新路線も開設します。
モンゴル
モンゴルのアエロモンゴリア航空は、2022年1月4日に東京/成田〜ウランバートル線を開設します。
国土交通省は同社からの外国人国際航空運送事業の経営許可申請を12月15日付で許可していました。
1月の運航日は4日・25日の2日間が予定されており、成田国際空港では第1ターミナル北ウイングを使用します。
【北・南米】ハワイアン航空、日本線2路線は現状維持
ハワイアン航空は、日本とホノルルを結ぶ路線の運航を現状のまま維持します。
アメリカ
ユナイテッド航空は12月17日、成田/ヒューストン線の運航を再開しました。
また旺盛な貨物需要に対応するため、2022年1月4日から東京/成田〜ロサンゼルス線を週3便から1日1便に増便します。
アメリカン航空は、2022年6月7日にニューヨーク/ジョンF・ケネディ〜ドーハ線を開設し、カタール航空との連携を強化します。
コードシェアのネットワークを活用して、カタール航空でアフリカやインド洋諸国、東南アジア、南アジアの各都市へ乗り継ぎが可能となります。
ハワイアン航空は2022年2月28日にかけて、東京/成田〜ホノルル線と大阪/関西〜ホノルル線の日本線2路線の運航を、現状のまま継続します。
ジェットブルー航空は2022年10月まで、ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ〜ロンドン/ヒースロー線の運航期間を延長します。
新型コロナウイルス感染拡大に伴って大手航空会社が便数を減らしたことから、一時的にヒースロー国際空港に就航していたもので、競合他社のプレミアム運賃を最大50%引き下げることに成功したとしています。
またデルタ航空とITAエアウェイズは12月22日からコードシェア運航を開始し、デルタ航空運航の92地点の路線にITAが、またITA運航の54路線超でデルタ航空が便名を付与し、両社で146路線超が対象となります。
【オセアニア】カンタス航空、10年ぶりにインドへの乗り入れ再開
オーストラリアのカンタス航空は、約10年ぶりにインドへの乗り入れを再開しています。
オーストラリア
カンタス航空は12月6日、シドニー~デリー線を開設し、約10年ぶりにインドへの乗り入れを再開しました。
さらに12月22日からは、シドニーに加えてメルボルンからの乗り入れも開始しました。
2022年6月22日にはシドニー〜パース〜ローマ線を開設する予定で、オーストラリアとヨーロッパ大陸を結ぶ唯一の直行便となります。
また同社は国内線機材の置き換えの優先候補として、エアバス機を選定したと発表し、エアバスA320neoファミリーとエアバスA220型機を最大134機発注する予定です。
さらにエアバスA330型の旅客機2機を、貨物専用機に改修する計画も発表し、2機のうち1機はカンタス航空の国際貨物事業、もう1機はオーストラリア郵便公社の郵便事業で使用する予定となっています。
【ヨーロッパ】エールフランスとKLMオランダ、ATAエアウェイズとのコードシェア契約締結
エールフランス航空とKLMオランダ航空は、ITAエアウェイズとのコードシェア契約を締結しました。
フィンランド
フィンエアーは、2022年6月1日からヘルシンキ〜シアトル線を週3便で開設し、アメリカ路線を強化します。
ストックホルム〜ロサンゼルス・ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ線の運航を2022年夏スケジュールも継続し、いずれも2022年5月1日からは週4便に増便されます。
さらに夏スケジュール期間中、ヘルシンキとダラス、ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ、ロサンゼルス、シカゴを結ぶ路線も運航します。
オランダ・フランス
エールフランス航空とKLMオランダ航空は12月9日、ITAエアウェイズとのコードシェア契約を締結しました。
これによりエールフランスとKLMの乗客は、ITAの運航するイタリアや南ヨーロッパの12地点にアクセスできます。
またITAの乗客は、エールフランスとKLMの運航する、イギリスやスカンジナビアなどのヨーロッパ各地へアクセスできます。
今後このコードシェアではアメリカ政府の承認を条件として、アメリカの都市でも乗り継ぎ地が拡大される見通しとなっています。
【中東】エミレーツ航空、羽田~ドバイ線運航再開
エミレーツ航空は、2月から東京/羽田~ドバイ線の運航を再開します。
アラブ首長国連邦
エミレーツ航空は2022年2月22日より、東京/羽田〜ドバイ線の運航を週4便で再開します。
当初は12月から運航再開が予定されていましたが、2度目の延期となったものです。
これにより東京/成田〜ドバイ線の1日1便と、大阪/関西〜ドバイ線の週5便と合わせて、日本路線は3路線週16便を運航することとなります。
カタール
カタール航空は冬の休暇シーズンのピークに合わせて、ドーハやアブダビ、バンコク、ベルリン、ロンドン、パリなど18都市へのフライトを増便します。
また12月9日からオデッサ、2022年1月17日からはタシケントにも就航します。
【アフリカ】エチオピア航空、成田へ直行便運航
韓国政府がエチオピア航空機の乗り入れを禁止していることを受け、エチオピア航空は韓国を経由せず、成田への直行便を運航します。
エチオピア
エチオピア航空は12月7日、ソウル/仁川を経由しない直行便として、東京/成田〜ソウル/仁川〜アディスアベバ線の、アディスアベバ発と折返し便を運航します。
韓国政府が12月4日から17日までの2週間、オミクロン株蔓延防止のため、エチオピア航空機の乗り入れを禁止していることから、直行便として運航するものです。
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