観光業界に限らず、KPIを適切に設定できていないと現状の業務が正しく進んでいるのか判断できないばかりか、効果測定を行うことや改善することが難しくなります。
では観光分野においてのKPIはどのように考えるべきで、どこに設定すべきなのでしょうか?
本記事では実際にKPIを活用した戦略が立てられている観光地の事例を解説します。
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KPIとは何か?
KPIとは「Key Performance Indicator」の略語で、日本語では「重要業績評価指標」と言います。
事業目標を達成するために実行すべき過程が、適切に実施されているかを数値化して評価するものです。
例えば営業の現場では、訪問件数や受注件数などがKPIとして設定されます。
KPIを具体的に設定すれば、目標に到達するための進捗度合いを正確に把握できます。
「KPI」と「KGI」の違い
KPIが、業務の過程を評価基準とするのに対して、KGI(重要目標達成指標)は、全体の最終的な目標数値を指します。
KPI(Key Performance Indicator) 重要業績評価指標 |
重要目標達成指標 |
KPIは、KGIという最終目標に向かっていくための過程・工程であると言えます。
なぜKPIを設定するのか
KPIを設定することで、その団体が目標達成をするには何をすればいいのかが数値として明確になります。
KPIの設定で、目標が明瞭化するというメリットがあるのです。
逆にKPIがないと何をすればいいのか曖昧になり、「なんとなく」でプロジェクトを進めてしまうことになりかねません。
以上の理由から、ほとんどの企業や団体がKPIを設定しています。
観光におけるKPIとは何か
それでは実際に自治体やDMOではどのようなKPIを設定しているのかについて、実例とともに説明します。
【京都市観光協会】5つ要素に対応するKPI設定
京都市観光協会では、ビジョンを構成する5つの要素に対応するかたちで、KPIを設定しています。
5つの要素は以下の通りです。
- 市民生活の豊かさ
- 観光客の価値観に影響を与える
- 文化の保全と創出
- 強靭な産業
- 観光業に誇りを持てる
そして、上記の要素に対応する形で以下のKPIを設定しています。
- 観光消費額
- 市民にとっての暮らしやすさ(「市民生活実感調査」等の結果をもとに算出)
- 愛着度(ネットプロモータースコア)
- 文化財を活用した取組の件数
- 新しい生活様式に対応した事業者数
- 観光客の国籍・地域別分布の偏り
- DMO会員数
このように観光客の価値観に影響を与えるなどさまざまな立場からKPIを設定しています。
データをとり推移を分析することで、目標達成に向けてどれくらいの進捗かを測ることができます。
【大津市】KPIを達成するための3つの基本方針「大津ならではの魅力」
大津市はKPIである数値目標4項目を公開した上で、基本方針を設定しました。
数値目標は、以下の通りです。
- 観光消費額
- 総宿泊客数
- 外国人宿泊客数
- 来訪者満足度
数値目標を達成するための基本方針は、以下の通りです。
- オンリーワンのびわ湖を中心とした「大津ならではの魅力」の磨き上げ
- 大津への「来訪」に結びつけるための、戦略的な情報整理
- 知名度の飛躍的な向上を狙ったプロモーション
適切なKPI設定で観光の戦略が明確に
KPIを設定することで目標までの達成状況が明確になり、KGIで定めたゴールへの道筋もより明確になります。観光振興を目指す上でもそれは例外ではありません。
目指すべきゴールの達成のためには適切なKPIを設定し、それを計測しつづけることは必要不可欠です。
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<参照>
京都観光協会:公式サイト「KPI(主要指標)」
大津市:第2期観光交流基本計画
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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