震災から11年、「復興ツーリズム」の今は。コロナ禍で変容するニーズをつかむために

3月11日、2011年の東日本大震災から11年を迎えました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で福島県内の観光客数は減少しており、県内観光業の再生が求められています。

福島の地域性を活用した「復興ツーリズム」は県内の観光業と密接に関わっています。本記事では実際の復興ツーリズム事例を紹介し、今後の展望を考察します。

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観光業が被災地の復興を支援:復興ツーリズム

震災等で被災地となった地域では、観光を通して復興を支援する「復興ツーリズム」の取り組みが進んでいます。

復興ツーリズムとは、災害から復旧、復興した現在の町や地域にフォーカスし、観光を通して地域を知る取り組みのことです。東北地方のほか、2016年に発生した熊本地震からの復旧・復興に取り組む熊本市などでも行われています。

内容としては、当時の様子を伝える地元の語り部と被災地や復興現場を巡るツアーなどのコンテンツが用意されており、学び豊かなものとなっています。

また福島県はホープツーリズムを打ち出しています。

これは観光客に対し福島の現状を実際に見聞きしてもらうインプットと、震災・原発事故の教訓を自分事として未来にどう活かすかを考えてもらうアウトプットの両立を重視しています。

地域復興への動き

以下では、各地域で実践されている復興ツーリズムの事例を紹介します。

東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方は地方一体となって復興ツーリズムに取り組んでおり、中でも福島県は県内観光業の再生を求めてデジタル分析による効果的な旅行商品を打ち出しています。

東北地方の復興ツーリズム

東北地方では、東北太平洋沿岸地域と東北観光推進機構が連携し、国内旅行の振興や訪日外国人旅行者の受入環境の整備を行っています。

その中で福島県は東京大学と連携して復興や地域の活性化に向けた包括連携協定を締結しているほか、宮城県とも連携し、防災プログラムの開発や意見交換会に取り組んでいます。

コロナ禍に対抗 デジタル分析による観光需要把握

福島県はまた、2022年度にデジタルを活用した観光マーケティングに取り組んでいます。

県内の特定の地域を訪れた観光客の年代、居住地、趣味趣向、消費傾向に関するデータを東北観光推進機構が構築する顧客関係管理(CRM)システムに入力、分析し、顧客の潜在ニーズを明確化させる狙いです。

分析結果によって、低予算で効果的な宿泊プランの造成や、高付加価値の旅行商品の造成につなげていきます。

たとえばコロナ禍前の県内観光は団体旅行が一般的でしたが、現在は感染防止等の観点から個人旅行が主流になりました。

このような旅行形態や消費者ニーズの変化、また人流などのデータ活用も視野に入れており、アフターコロナに向けた効率的な観光マーケティングを試みています。

被災地復興につながる台湾の動き

被災地の復興につながると期待できる動きが、台湾からの対応にもみられています。

台湾当局は、2011年から続けてきた福島県など5県産の食品輸入禁止措置を2022年2月21日付で解除しました。

政府は、福島第一原発事故発生による放射能汚染のリスクがあるとの見解から、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産の食品輸入を制限していました。

今回の対応によって、全面解除ではないものの、一部の食品を除き11年ぶりに当該地域からの輸入が再開されます。

福島県の食産品を輸出できるようになったことは、福島の観光地を盛り上げることにもつながるといえます。

関連記事:農水省「食かけるプライズ2021」表彰式・交流会が開催 インバウンド需要回復を見据え、多くの魅力的なプロジェクトが受賞

観光業から地域復興を促進

東日本大震災から11年、熊本地震から約6年が経ちました。長期化するコロナ禍は現在も観光業に影響を及ぼしています。

このような自然災害や感染症蔓延などによって打撃を受ける中でも、観光業は果敢に取り組みを続け、観光衰退を防ぐだけに留まらず地域復興にも貢献してきました。

外的要因に柔軟に対応し、先を見据えたコンテンツを醸成、発信していくことは今後も変わらず求められると考えます。

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<参照>
観光庁東日本大震災を受けた観光施策の展開
福島民報:デジタルで観光需要把握 2022年度に福島県 市町村枠超え誘客
福島民報:「復興」「地域活性化」へ連携 福島県と東大が協定締結
JTB:震災復興ツーリズムとは? 「今だから見てほしい熊本城」~震災の現状・復興への歩みを伝える「学びのプログラム」の開発~
JTB:熊本地震の遺構、経験を語り継ぎ備えを促すプログラム「震災復興ツーリズム着地型商品(学びのプログラム)」の開発
日本経済新聞:台湾、輸入禁止措置を解除 福島など5県産食品対象

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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