旅行情報会社であるフォワードキーズ(ForwardKeys)の最新データによると、中国のゼロコロナ政策の終了により、中国国内の航空需要が回復している様子がうかがえます。
一方で国際線を含めた航空需要の「完全な回復」には時間がかかるものとみられます。
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中国"ゼロコロナ"緩和時、国内線予約が前週比56%増
ForwardKeysの最新データによると、中国がゼロコロナ政策の終了を決定したことで、航空券の予約が急増しているようです。
昨年12月7日、中国当局は、地方間の航空旅行においてPCR検査が陰性であることを要求しないと発表しました。同週の国内線の予約は前週比56%増、翌週も69%増と急増しました。
規制撤廃したタイミングでコロナ前50%まで回復
さらに、12月26日には国内航空券のコロナ関連の制限をすべて撤廃したことで予約は再び急増し、年末の最終週には2019年の50%の水準に達しました。
1月3日時点で、春節期間(1月7日~2月15日)の国内線予約状況は、前年比(2022年比)92%、新型コロナ流行前(2019年)と比べ29%となっています。12月7日の発表前は、2019年比の9%であったことから、規制緩和と共に急速に旅行需要が回復していることがうかがえます。
なお、人気都市は北京、上海、成都、昆明、三亜、深圳、海口、広州、重慶となっています。
一方「完全な回復」はすぐには不可能
中国の航空規制当局は、1月6日までにflight capacity(注:輸送能力)をコロナ流行前の70%、1月31日までに88%へ回復させる予定です。
しかし、スタッフの再雇用やフライトの安全性、サービス基準の確立など、航空業界の立て直しにはしばらく時間がかかります。そのため、完全な回復はすぐには不可能であることが予想されます。
また、12月26日に発表された中国への国際線フライト数の上限撤廃と検疫措置は、1月8日から適用されます。中国国民は、期限切れのパスポートを更新し、新規に申請することができるようになりました。
12月26日から1月3日までの出国便の予約は、前年同期比192%と急増しましたが、流行前の水準には85%及びませんでした。人気の目的地は、マカオ、香港、東京、ソウル、台北、シンガポール、バンコク、ドバイ、アブダビ、フランクフルトでした。
なお、12月26日から1月3日の間に行われた予約の67%は、旧正月期間中の旅行に対するものだったということです。
中国人観光客の世界旅行の完全復活、課題は山積み
ForwardKeysのインサイト担当副社長であるオリビエ・ポンティは、「旧正月には3年ぶりに海外旅行が回復しそうだが、中国人観光客の世界旅行の完全復活を見るには、もう少し待つ必要がありそうだ」との考えを明らかにしました。
その理由について第一に、「現在の国際線定期便のキャパシティは2019年の10%程度であり、交通権や空港枠の認可要件があるため、航空会社が数カ月以内に装備を整えることは困難であろう」と航空の運行状況について言及しました。
第二に、「航空券の価格は依然として高く、12月の平均航空運賃は2019年の160%となっている。とはいえ、検疫が3週間から7日間に短縮された6月以降、そして11月に5日間に短縮されてからは減少傾向にある」と航空券の価格について述べました。
また第三に、「米国、英国、インド、カタール、カナダ、オーストラリア、EU加盟全27カ国など一部の渡航先では、中国人旅行者のフライト前の新型コロナ検査を義務付け、日本、韓国、イタリアなどでは到着時の検査と陽性者の検疫を実施する予定だ(注:1月17日時点でこれらの措置は実施済み)」と中国人旅行者への検査義務について触れました。
さらに、オリビエ・ポンティ氏は「パスポートの更新やビザの申請がボトルネックになる可能性があり、韓国や日本など一部の国では、今月末まで中国人旅行者の短期ビザを制限しています。今現在、中国アウトバウンド市場は、航空会社が5月の連休、6月の端午の節句、夏休みを含む春と夏に向けたキャパシティを計画する2023年第2四半期に強く持ち直すと予想している」と語りました。
関連記事:中国人観光客はいつ戻る?“ゼロコロナ”緩和後初の春節〜今後の動きは
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<参照>
ForwardKeys:The sleeping dragon awakens: travel from China returns
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