中国人観光客はいつ戻る?“ゼロコロナ”緩和後初の春節〜今後の動きは

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いよいよ中国の大型連休「春節」が始まります。2023年は1月21日〜27日までの7連休となります。

いわゆる”コロナ前”(2019年)の訪日客数で圧倒的No.1であった中国。日本の経済回復に大きな影響を与えるファクターである一方、中国国内における感染再拡大の影響が日本にも及ぶのではないかと懸念されています。

果たして春節までに中国人観光客は戻るのか、戻らないならいつになるのか。そして他の国・地域も含めたインバウンドは今後どうなっていくのか。データから徹底予想していきます。

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昨年12月以降の中国・日本の動きを振り返る

まずは、中国のインバウンドに関連する直近の動向を振り返ってみましょう。

中国では厳格な行動制限を課すなどの“ゼロコロナ”政策を行ってきましたが、市民の抗議デモもあり緩和に動きました。規制を大幅に緩和したことで12月にかけて感染者数が急増しましたが、今は大都市を中心に感染も落ち着き始めており、元日3連休のタイミングでは国内旅行者数もある程度戻ってきたと報告されています。

このような流れもあり、中国側は入国制限を撤廃する方向に動く一方で、日本側は感染拡大の懸念から水際対策を強めており、韓国や欧州など世界各国も、同じく制限を強化しています。

中国はこれに対抗し、日本そして韓国に対する新規ビザを停止。日本や韓国側は入国時の感染対策を強化しただけで「入国を完全に止めた」わけではないにもかかわらず、ビザを停止した中国に対して各国が”報復”措置だとして批判しているという状況です。

中国人観光客はいつ戻ってくるのか。「桜のシーズン」がターニングポイントか

では、中国人観光客はいつ戻ってくるのでしょうか。

まず中国側の感染が落ち着くことが大前提ですし、日本側の水際対策ももちろん影響するのですが、それ以外に鍵となるのが「ビザ」と「飛行機」です。そもそもビザがなければ入国できないですし、日本は島国なので「飛行機が飛んでいない」状況では(クルーズ船など一部例外もあるものの)ほとんど入ってこれないためです。

ビザについては、中国人向けの訪日ビザのうち「5年ビザ」と呼ばれるものが解禁されています。しかし、この「5年ビザ」解禁により中国人観光客は戻ってくるのかというと、そうではないと考えられます。

というのも、「5年ビザ」の取得には大きな制限があるためで、はっきりと公表されてはいないものの、かなり高い所得制限があるようです。また、ビザの申請から取得まで通常時でも2週間ほどかかるので、春節の期間に間に合うタイミングでビザを取得できる方は少ないのではないかと考えられます。

また、直行便もほとんど回復していない状況で、今季:2022年冬のデータ(国際線就航状況 2022年)では、中国本土を除いた国・地域の就航便数合計がコロナ前と比較して50%にまで回復している(※)一方、中国は4%程度となっています。

※ただしあくまで合計数値なので、例えば台湾は30%など50%に満たない国・地域もあります

これらを総合すると、春節に日本へ来れるのは「すでにビザを持っている方」であり、「春節に爆発的に中国人観光客が増えるわけではない」と考えられます。一時は中国の"ゼロコロナ"政策緩和で早まるかと思われましたが、やはり本格的な訪日旅行の再開はまだ先になるでしょう。

ではいつ回復するのかというと、早くて「桜のシーズン(3〜4月)」がターニングポイントなのではないかとみています。日本へ中国人観光客が来る時期は、4月から増え始め、7、8月をピークに減っていくというのが毎年の流れでした。1月の春節に間に合わないとすれば、次のピークに向けて徐々に増えていくのではないかと予測しています。

中国では、日本やタイが人気の観光地です。日本への関心は今も高く、ビザや飛行機の条件が整い、感染が落ち着いて日本側の制限も解除されれば、たくさんの方が戻ってくるのではないかと考えられます。

中国の訪日数の回復が遅れる場合、”ポスト中国”として期待される国・地域は

コロナ前でいえば、中国に次いで訪日外国人が多い国・地域は、韓国、台湾、香港の順でした。現在はこれらに加え、アメリカ、タイなども多くなっています(JNTO 訪日外客統計より)。

”ポスト中国”については、数だけでいえば韓国人観光客が非常に多くなっており、今後も注目すべき国の一つです。

ただし、観光庁のデータ(訪日外国人消費動向調査)にもありますが、訪日韓国人は1人当たり消費額が比較的低い傾向にあります。単純な「数」だけでなく「消費額」の視点でも見たほうがいいでしょう。

「消費額」の観点から言えば、台湾や香港が高い傾向にあります。例えば香港向けに最初に再開されたツアーは、価格がコロナ前の2.5倍にもなっていましたが、それでも多くの観光客の方が申し込まれていました。台湾、香港をはじめとして欧米豪なども増えれば、消費額全体が回復していくでしょう。

なお、フライト代が高いことなどから、そもそも今来ている方はどの国でも比較的「お金のある人(富裕層)」だと言えます。これまで日本になかなか来れなかった期間、貯金をして旅行に来たという方もいますし、さらに円安の効果もあって、1人当たり消費額がかなり伸びている状況です。“ポスト中国”とは少し違うかもしれませんが、そういった属性の方に向けた受入環境整備は重要となるでしょう。

今後は”ポスト中国”が伸びていくのか、それとも中国の回復の影響のほうが大きいのか

先述した通り、中国本土以外の国・地域で集計すると、すでにコロナ前の50%の直行便が戻ってきています。中国以外はどこかが突き抜けて増えていくというより、徐々にゆるやかに残りの半数が戻ってくるのではないかと考えられます。

一方中国については、例えば今回の春節で「いきなり増える」ということはなさそうですが、単純に直行便が現状4%しか戻ってきていないのを増やしていくと考えると、今と比較したときの戻りは中国の方が大きくなるでしょう。

コロナ前には、訪日外客数の30%を占めていた中国。やはり観光業界の回復には、その動向が大きな影響を与えることになるでしょう。

どの観光スポット / コンテンツが人気になるのか

中国人観光客があまり戻ってきていないためインバウンド全体の状況になりますが、実は「コロナ前とさほど変わっていない」と考えられます。越境ECも発達してきていますので、「モノ消費」というよりは「コト消費」の流れで、日本ならではの体験ができるものを求めているとみられます。ただし円安の影響から、日本で安く買えるブランド物などにも注目が集まっています。

エリア別では、感染の心配が比較的少ない地方に流れていく可能性はあるものの、結局はいわゆる「ゴールデンルート(東京・箱根・富士山・名古屋・京都・大阪などを辿る旅行ルート)」を中心とした人気の観光地が賑わうことになると考えられます。

その中でも成田空港、羽田空港が近い首都圏に一極集中しているのではと思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。地方空港にも国際線が戻ってきていますので、人気の神社仏閣を有する京都や日光などにはすでに多くの外国人観光客が訪れている他、雪が見られない国・地域からは北海道などが人気となっています。春には桜が見られるスポットも人気を集めるでしょう。

タイやインドネシア、フィリピンなど東南アジアの国は中国人観光客を歓迎している状況。日本が”争奪戦”に出遅れることはないのか

中国人に人気の観光地は、

  • 1位:タイ
  • 2位:日本
  • 3位:韓国

となっており(タイ現地メディア参照)、中国人観光客を奪い合うとすれば、タイが日本の”最大のライバル”だと言えます。

タイをはじめとした各国はプロモーションなどにも力を入れており、“争奪戦“は確かに起きると思いますし、日本側が水際対策を敷いている状況でタイに中国人が流れてしまっているというのはあるかもしれません。

ただし東南アジアに先手を打たれたからと言って、日本に全く来なくなるということはありません。なぜなら、観光コンテンツが全く異なるからです。

もちろん先手を打たれていることは問題と言えばそうなのですが、極端に言えば「中国人全員が人生に1回しか旅行ができない」ならば渡航再開後のこのタイミングで積極的にプロモーションを行っていくことが日本の経済的にも重要であると思いますが、そうではないわけです。タイに行った後に日本に来る中国人も当然いるでしょうから、独自の観光コンテンツをたくさん持っている日本に「全く誰も来なくなる」ことはない、というのは明白です。

関連記事:中国春節の旅行予約、日本が「トップ10」入り 予約件数は前年比6.4倍に

1月16日現在で日本側としては、感染拡大が広まらないよう「入国を”完全には止めずに”制限している」形です。今は落ち着いて様子を見るほかないでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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