コロナ禍が収束し、10月には月間の訪日外客数がコロナ禍前を上回る水準まで回復した2023年。訪日需要の拡大に伴い、各地の飲食店や小売店などでは、インバウンド客を見越した受け入れ態勢の構築が急務とされています。
そこで今回は、株式会社リクルートでキャッシュレス決済サービス「Airペイ」のプロダクト担当を務める山本 智永氏にインタビューを実施。インバウンドにおけるキャッシュレス決済のメリットや、Airペイのインバウンドに関する取り組みについて伺いました。
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お店の決済サービス「Airペイ」とは
Airペイは、クレジットカード、交通系電子マネー、QRコード決済、ポイントに対応できるキャッシュレス決済サービスです。対応する決済ブランドは業界最多水準の68種類で、様々な決済方法にiPadまたはiPhoneと1台のカードリーダーで対応できます。
中小規模の事業者を中心に、百貨店など大規模事業者まで、幅広く導入が進んでいるといいます。専用アプリとカードリーダーを使ったシンプルなオペレーションで、初期費用や月額コストがかからない点も利用者の増加を後押ししているようです。
Airペイでできるインバウンド対応は
ーー Airペイでできるインバウンド対応について教えてください。
AirペイのQRコード決済サービス「AirペイQR」では、中国の「Alipay」「WeChatPay」や韓国の「Kakao Pay」など合計18種類の海外ブランドに対応しています。
AirペイQRを導入すれば、外国人観光客は自国で利用している決済手段を使って支払いができます。初期費用がかからず運用ハードルも低いので、地域の飲食店や小さなお土産店などでも、手間をかけずにインバウンド対応していただけます。
ーー 2023年11月に、対応する海外決済サービスに大幅な追加がありましたね。
連携している「Alipay+」の対応ブランドの拡大に伴い、新たに8種類の海外決済ブランドが追加されました。これにより、元々中国、韓国、フィリピン等、各アジア諸国のQRコード決済に対応しておりましたが、今回新たにイタリアやモンゴル、マカオのQRコード決済ブランドにも対応しました。
インバウンド向けキャッシュレス決済対応のメリットは
ーー外国人観光客にとってのキャッシュレス決済のメリットは。
やはり両替する必要がないのは、カスタマーにとって大きなメリットですね。旅行の終盤に手元の現金を計算しながら買い物をするという煩わしさもありません。
また、各決済サービスにもよりますが、ポイント還元率についてクレジットカードでの買い物よりも高く設定されているサービスもあります。スムーズに支払いができることに加え、お得に買い物ができるということも、カスタマーにとっては嬉しいですよね。
ーー事業者にとってのメリットについてはいかがでしょうか。
手元の現金を気にせずに買い物ができると、カスタマーの購買意欲は上がります。その結果、一人上がりの購買単価が高くなる可能性が高く、事業者としては売上アップが期待できます。
また、日本国内のQRコード決済事業者は時折、大幅なポイント還元キャンペーンや販促クーポンの配布を行いますが、これは海外でも同じです。海外の決済サービスが展開する販促キャンペーンの恩恵を受けられることも、外国人向けにキャッシュレス対応を行う大きなメリットだと思います。
Airペイがインバウンド対応を拡大する背景とは?
ーー Airペイがインバウンド対応を拡大している背景にはどのような想いがあるのでしょうか?
私たちの根底にあるのは「事業者の課題を解決したい」という想いです。
Airペイは、私たちリクルートが提供する業務・経営支援サービス群「Airビジネスツールズ」に含まれる一つのサービスです。Airビジネスツールズが目指すビジョンは「商うを、自由に」。Airペイ以外にも、業務管理や効率化を叶える16のツールを提供しています。
※Airビジネスツールズ:https://airregi.jp/brand/
飲食店であれば、料理の提供や、来店客への接客に集中できたらいいですが、決済や勤怠管理など店舗運営には煩わしいことがたくさんありますよね。インバウンド対応しようにも、小さいお店であれば人材などにも限りがあり、“やりたくでもできない状況”になっている場合はたくさんあるはずです。
そうした状況を、私たちのサービスでできる限り解決したいと思いながら日々、事業に取り組んでいます。
ーー Airビジネスツールズの中で、Airペイ以外にもインバウンド対応に活用できるサービスはありますか?
Airペイと合わせて、レジ決済サービス「Airレジ」や管理分析アプリ「Airメイト」を導入すると、インバウンドによる売上について、より詳細な分析をすることができます。Airビジネスツールズのサービスは、「AirID」1つで紐づけて導入できるので、組み合わせて活用いただいている事業者様も多いですね。
また、飲食店のオーダーシステム「Airレジオーダー」は、多言語に対応していて、言葉の壁を気にせず注文作業が可能です。さらに受付管理サービス「Airウェイト」は、カスタマーに対して待ち時間を多言語で表示し、呼び出し機能もついています。専用のスタッフを配置する必要がなく、対応工数や人件費の削減にもつながると、導入事業者様からは好評です。
インバウンド向けキャッシュレス決済対応の重要性が増している
ーー Airペイを導入している企業の特徴を教えてください。
2023年9月時点で全国43万件の事業者の方々にAirペイを活用いただいています。業種としては小売業が多い他、同じリクルートでホットペッパーグルメ、ホットペッパービューティーを展開している関係で、飲食店や美容室の導入が多い点もAirペイの特徴です。
ーー インバウンド対応という観点で、どのような事業者にAirペイを活用してもらいたいですか?
これまでインバウンド対応に対して「自分たちには関係ない」と考えていた事業者の方々にこそ、Airペイを使っていただきたいなと思います。
コロナ禍前後で、訪日外国人の消費行動は大きく変化しました。AirペイQRの海外決済は、以前はいわゆる「爆買い」に代表されるように、百貨店やドラッグストアなどで利用されることが多かった認識です。しかし今は、リピーターの増加に伴い、京都などの有名観光地以外の場所を訪れる外国人観光客も増加傾向にあることから、地域の小規模事業者の決済が増えてきています。町の洋服屋や土産物屋、着物レンタルなどの体験アクティビティなどへの消費も増えました。
エリアや事業規模に関わらず、インバウンド対応の必要性は日本全国に広がってきていると言えるでしょう。そうした状況だからこそ、これまでインバウンドを意識してこなかった事業者の方々に、Airペイを使っていただきたいと思います。
ーー 最後に、Airペイの今後の目標を教えてください。
「商うを、自由に」というビジョンに沿って、事業者の皆さんの課題を少しでも多く解決できるよう、サービスを推進していきたいですね。Airペイは決済サービスなので、チャンスがあれば今後もできる限り多くの決済ブランドに対応して利便性を高めていきたいと考えています。
あとは、Airペイを知らない人に、いかにサービスを知っていただけるかも今後の課題ですね。店舗の運営や経営課題に悩む事業者の方々は多いですが、インバウンドに限らず、店舗の課題に合わせたソリューションはきっとあると思っています。「知らなくて損した」という状況をなくすためにも、より多くの事業者の方々に私たちのサービスに触れていただく機会を作っていきたいです。
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