熊本・人吉の老舗旅館に外国人観光客が集まるワケ【トークイベント取材レポ】

THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ- アーカイブ無料配信中
完全無料 訪日ラボ会員 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

近年、日本でもよく目にするようになった「ベジタリアン」「ヴィーガン」「ハラール」といった言葉。旧来から存在した宗教的なニーズに加え、動物保護、環境問題、健康面などを背景に、食に関する特別な対応を必要とする人が増えています。日本でもインバウンド需要の高まりを背景に、食の多様性(フードダイバーシティ)対応の重要性は年々高まっています。

そんな中、アジア最大級の食品・飲食展示会「FOODEX JAPAN 2024」では、3月8日にトークイベント『「食の多様性」対応を考える』を開催。

  • 清流山水花あゆの里(株式会社鮎里ホテル)取締役運営統括兼女将 有村友美氏
  • フードダイバーシティ株式会社 代表取締役 守護彰浩氏
  • ファシリテーター:株式会社mov 訪日ラボ インバウンド事業部長 川西哲平

の3名で、食の多様性対応について議論しました。今回は、本イベントのレポートをお届けします。

ベジタリアン ヴィーガン ハラール インバウンド対応
▲トークイベント『「食の多様性」対応を考える』の様子:訪日ラボ撮影

訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)

世界で進む、食の多様性。日本では未だ対応可能な企業・施設が少ない

川西:はじめに、フードダイバーシティの最前線で企業や自治体を支援する守護さんに伺います。「食の多様性」対応に関する日本の現状について教えてください。

守護氏:現在、訪日外国人観光客の全体の約4割がベジタリアンヴィーガンハラールなど、何かしら食に対する制限・禁忌を持つ方だと言われています。そんな中、日本ではそうしたニーズに対応する企業や施設は多くありません。コロナで外国人観光客が減ったのを機に取り組みをやめてしまったという方もいて、コロナ禍が明けた今も、数少ない対応可能な施設に需要が集中しているのが現状です。

ただ、変わらず取り組みを続けてきた事業者が今大きな成果を出していることから、食の多様性に注目する地域や企業が少しずつ増えています。

たとえば九州では最近、台湾の半導体メーカーTSMCが熊本に生産拠点を持ったことで、台湾の食文化への対応が話題となっています。実は、台湾は人口の14%が「台湾素食」と呼ばれるベジタリアン食を求めていて、肉や魚のほかニンニクやニラ、ネギなど香りの強い野菜を避けた食生活を送っています。そうした台湾の食文化にしっかりと対応し、九州に移住する台湾人や訪日台湾人観光客のニーズを獲得していこうという動きが強くなっています。

フードダイバーシティ株式会社 代表取締役 守護 彰浩氏
▲フードダイバーシティ株式会社 代表取締役 守護 彰浩氏:訪日ラボ撮影

川西:なるほど。対応するお店が少ない中で、訪日外国人観光客はどのように情報収集をしているのでしょうか?

守護氏:ベジタリアンなら「HappyCow」、イスラム教徒なら「Halal Gourmet Japan」という専門のアプリを使って、対応が可能なレストランを探す人が多いです。まだ競合店が少ないので、そういったメディアできちんと情報発信しているお店はお客様に見つけてもらいやすい状況だと言えるでしょう。

川西:日本でも多くの人が口コミを参考にしてお店を探すように、自分と同じ食のルールを持つ人の声や経験を参考にする、という話も聞いたことがあります。「友達が行ってたから行ってみよう」といった形で広まり、いつの間にか外国人観光客が増えている、みたいなケースもありそうですね。

訪日ラボ インバウンド事業部長 川西 哲平
▲訪日ラボ インバウンド事業部長 川西 哲平:訪日ラボ撮影

コロナ前から食の多様性対応に取り組む、熊本の老舗温泉旅館「あゆの里」

川西:熊本県人吉市の温泉旅館「あゆの里」ではコロナ前から食の多様性への対応を進めてきたとのことですが、どのようなきっかけで始めたのか教えてください。

有村氏:はい。今から10年ほど前、日本で初めてハラール牛の認証をとった、ゼンカイミート株式会社(地元の食肉工場)の社長との出会いがきっかけでした。ハラールに興味を持ち単身でマレーシアまで勉強しに行き、帰国後には和洋会席料理でハラール認証をとりました。

その後、こうした食の取り組みを地域と一緒にやっていきたいと考え、感染症拡大や熊本豪雨の打撃を受けながらも、地域の企業や農家と協力をしながら食の多様性への対応を進めてきました。

清流山水花あゆの里(株式会社鮎里ホテル)取締役運営統括 兼 女将 有村 友美氏
▲清流山水花あゆの里(株式会社鮎里ホテル)取締役運営統括 兼 女将 有村 友美氏:訪日ラボ撮影

川西:現在はどのような取り組みをしていますか?

有村氏:ハラール会席が好評で、その後、ヴィーガンのお客様にも対応できる店舗を地域内で増やし、旅行商品を作りました。当館では、たとえばアスパラガスのムースとか、丸茄子と豆腐で作る熊本の伝統料理「ひりゅうず(※がんもどきに似た料理)」とか、普段からヴィーガンの方もそうでない方も食べられるようなお料理を提供しています。

この続きから読める内容

  • アクセスが良いとは言えない立地ながら、インバウンドの人気を集めるように。なんと53%が「食の禁忌」あり
  • 食の多様性対応は難しい?現場の理解を得るには
  • サスティナブルツーリズムの普及と共に、食の多様性のビジネスチャンスは今後ますます広がっていく
  • 日本の魅力ある商品を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
  • 【インバウンド情報まとめ 2026年1月後編】インバウンドの市場規模を他産業と比較する / 2025年の訪日外客数、過去最高の4,268万人 ほか
このページの続きを読むには会員登録が必要です
\無料・1分で登録完了/

訪日ラボ無料会員
登録すると…

50,000ページ以上の
会員限定コンテンツが
読み放題

400時間以上の
セミナー動画が
見放題

200レッスン以上の
インバウンド対策の
教科書が学び放題

\無料・1分で登録完了/

今すぐ会員登録する
完全無料 訪日ラボ会員 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに