東南アジアに位置するタイは、日本人にとって身近で人気の旅行先の国のひとつです。首都バンコクは「東南アジアのハブ」ともいわれる国際都市で、多くの日本企業が進出しています。
タイ人にとっても日本は魅力的な旅行先で、2023年の訪日タイ人数は国・地域別で6位で、東南アジアのなかではトップとなりました。
文化や歴史の面で両国の共通点も多く、1887年に国交を結んで以来、さまざまな面から親交を深めてきました。
本記事では、タイと日本の関係やタイ人が抱く日本の印象について紹介します。
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1. タイの基本情報
タイは東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟しています。2022年の名目GDPはインドネシアに次いでASEAN第2位となるなど、めざましい経済成長を遂げています。
ここでは、タイの基本情報を紹介します。
1-1. 基本情報
面積 |
51万4,000平方キロメートル(日本の約1.4倍) |
人口 |
6,609万人(2022年時点) |
首都 |
バンコク |
公用語 |
タイ語 |
宗教 |
仏教(94%)、イスラム教(5%) |
一人あたりの名目GDP(US$) |
7,190ドル |
タイからの出国者数 |
約1,044万6,496人 |
タイへの外国人訪問者数 |
約3,991万6,000人 |
訪日外客数(2023年) |
約99万5,500人 |
タイの国土は、インドシナ半島中央部とマレー半島からなり、カンボジア、ラオス、ミャンマー、マレーシアと国境を接しています。高温多湿な熱帯モンスーン気候で、年間の平均気温は約29℃です。
国民の94%が仏教徒で、華やかな仏教寺院や古代遺跡などが国内各地にあり、多くの国民は毎週寺院で礼拝を行います。
タイ人の間では僧侶が尊敬の対象とされ、鉄道には僧侶優先席が存在するなど、仏教を中心とした国家体制が整えられています。
1-2. 日本との距離
日本とタイの距離は4,312kmです。羽田空港からの直行便を利用した場合、羽田-バンコクへのフライト時間は約6時間30分で、バンコク-羽田は約6時間15分です。羽田空港と成田空港、関西国際空港、中部国際空港 、新千歳空港、那覇空港などから直行便が就航しています。
タイではバンコクのスワンナプーム国際空港とドンムアン国際空港の利用者が多く、国際線のほか、LCCの拠点空港として国内線のフライトも発着しています。タイ・バンコクと日本の時差は2時間です。日本のほうが2時間進んでいます。
1-3. タイ市場のインバウンドデータ
2023年の訪日タイ人数は約99万5,500人でした。コロナ前の水準にはまだ戻っていないものの、2022年と比較して4倍以上に増えており、訪日需要は急速な回復傾向にあります。
2023年の訪日タイ人消費額は約1,902億円で、過去10年と比較して最高額を記録しました。
訪日タイ人の一人あたりの旅行支出もコロナ禍前と比較して急激に伸びています。2023年は19万1,026円で、2019年比で145.3%という結果でした。
2019年には買物代が最も多く占めていたものの、2023年には宿泊費が多くを占めるようになりました。これらの変化の要因として、円安バーツ高が緩やかに進むものの、宿泊費や交通費など日本滞在中にかかる費用が高騰したことにより、旅ナカの購買力が低下したと考えられそうです。
関連記事:2023年の訪日タイ人数は2019年比75.5%も、一人あたりの旅行支出は145.3%。タイ市場の最新インバウンドデータを徹底解説!
2. タイと日本の関係をわかりやすく解説
タイと日本は1887年に国交を結んで以来、130年以上にわたって協力関係を築いてきました。タイが親日国といわれる理由や経済面での両国のつながりを紹介します。
2-1. タイが親日国といわれる理由
電通が実施した「ジャパンブランド調査」では、タイは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国・地域のうち同率1位で、親日度が最も高い国として紹介されています。
1887年に結んだ「日暹(にちせん)修好通商に関する宣言」(日タイ修好宣言)により、日本とタイは正式に国交が開かれました。これは明治時代の日本が東南アジア諸国と外交関係を結んだ最初の条約でした。当時それぞれの国が近代化を推し進めていた時期で、以降さまざまな分野で協力し合いながら発展してきました。
なかでも日本とタイの間で大きな役割を果たしているのが、親密な皇室・王室交流です。タイの王室は昭和天皇の国葬や皇族の結婚式に参列しているほか、上皇上皇后陛下は崩御されたタイの国王に敬意を表してタイを訪問しています。
両国間で続く親密な皇室・王室交流を背景に、タイ人はタイ王室と同様に日本の皇室に対しても尊敬の念と厚い信頼を寄せ、親日につながっているようです。
2-2. 経済的なつながりも深い日本とタイ
日本とタイは経済面からも強い結びつきがあります。2016年、当時の外務大臣だった岸田文雄首相がタイで行ったスピーチで「タイは日本にとって欠くことのできない経済パートナーである」と発言しました。
日本はこれまで政府開発援助(ODA)を通して、タイの空港や鉄道、浄水場の整備などのインフラ支援を行い、タイの経済発展を後押ししてきました。技術協力とともに産業分野での人材育成支援も行い、両国間での人材交流も活発化しました。
2022年時点でタイに拠点を構えている日本企業の数は5,856社におよびます。この数は中国とアメリカに次いで第3位で、日本経済のグローバル・サプライチェーンの一大拠点となっています。
貿易においても両国は重要な存在です。日本にとってもタイは主要な貿易相手国のひとつで、タイは輸入相手国として第3位、輸出相手国として第6位となっています。日本からはおもにエンジン部品などの機械類や鉄鋼を輸入しています。
3. タイ人が抱く日本の印象について
タイでは日系自動車メーカーが8割強のシェアを誇るなど、日本製品に厚い信頼が寄せられています。ここではタイ人が日本にどのような印象を抱いているのか紹介します。
3-1. 日本製品は品質が高い
タイ人は、自動車や家電製品を筆頭に日本製品は「高品質」「耐久性・機能性が高い」といった印象を持っています。
日本製の日用品や食品も人気で、タイのスーパーでは日本食材が売られているほか、日本で有名な100円ショップやドラッグストアもタイに進出しています。品質の良さから日本製品はお土産としても喜ばれているようです。
また、日本製の中古品を割引価格で販売するリサイクルショップもタイ国内で店舗展開しています。日本の高品質な製品を安く買える点が魅力のようで、多くのタイ人で賑わっています。
3-2. 四季があり、美しい自然や温泉が楽しめる
タイ人は日本に対して「自然が美しく、どこへ行ってもおいしいものがあり、温泉が楽しめる」という印象を抱いているようです。
一年を通して蒸し暑いタイでは季節の変化を感じにくいことから、紅葉や雪が楽しめる季節、観光スポットを目的に訪日しているタイ人が多くいます。なかでも雄大な自然や温泉、新鮮な海産物などが楽しめる北海道は、タイ人にとって憧れの旅行先のひとつとなっています。
そのほか、豊かな自然や日本の伝統文化が楽しめる富士山、京都、九州なども人気の旅行先です。
4. 両国の友好関係がさらに深まることに期待
タイと日本は経済や政治などさまざまな面から互いに影響を受け、発展してきました。文化や習慣の面で似ている点もあるため身近に感じやすく、日本語学習者が多いことも特徴です。
昨今、日本は労働人口の減少から外国人労働者の受け入れを拡大しており、特定技能の資格を有するタイ人も年々増加傾向にあります。今後、観光や労働市場などさまざまな分野で人材交流が促進され、両国の協力関係がさらに深まっていくことを期待したいところです。
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<参照>
外務省:タイ基礎データ、目で見るASEAN
JNTO:訪日外客数(2023年12月および年間推計値)、外国旅行の動向
観光庁:訪日外国人消費動向調査
外務省:岸田外務大臣ASEAN政策スピーチ「多様性と連結性-パートナーとしての日本の役割」、海外進出日系企業拠点数調査、タイ ODA(政府開発援助)
出入国在留管理庁:特定技能制度運用状況(令和5年12月末)
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