京都市に学ぶ「最新インバウンド対策」まとめ GWの対策も

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日本を代表する観光地のひとつとして、インバウンドにも人気の京都。そんな京都の観光政策の中核的な役割を担っているのが、公益社団法人京都市観光協会(DMO KYOTO)です。

日本に3法人しかない「先駆的DMO」の一つでもある京都市観光協会は、行政や関連団体と連携し、京都ならではの観光資源を活用した観光振興を積極的に推進しています。

そこでこの記事では、京都市観光協会による最新のインバウンド対策や、ゴールデンウィーク(GW)における観光対策の取り組みについてご紹介します。

関連記事:京都で外国人に人気の観光スポット!「伏見稲荷大社」は2位、1位は?

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先駆的DMO・京都市観光協会とは

訪日ラボが調査した「インバウンド人気観光地ランキング」で、全国4,700箇所の中から2位となった清水寺や、3位の京都侍忍者ミュージアムなど、さまざまな観光資源を有する京都市。税収効果390億円(市税収入の12.8%)、雇用効果15万3,000人(全雇用者の5人に1人、京都の産業に占める割合12.4%)と、観光が基幹産業のひとつになっています。

そんな京都市の観光政策を担う京都市観光協会は、2017年より「日本版 DMO」に認定され、さらには2023年3月に観光庁より「先駆的DMO(※)」にも選定されました。日本全国のDMOや自治体においては、観光政策を考えるにあたり、その最先端を走る京都市観光協会がどういった施策を実施しているのかは押さえておくべきです。

※持続可能で国際競争力の高い魅力ある観光地域づくりを行う「世界的なDMO」を目指す「観光地域づくり法人(DMO)」に対し、観光庁が戦略的に支援を実施するために募集・選定したDMOのこと

関連記事:外国人に人気の観光スポット!2位は「清水寺」、1位は?日本全国4,700箇所の観光地から選ばれたTOP30を発表

1. わかりやすさを追求した「ハンドブック」発行

▲観光コンテンツ造成支援ハンドブック:京都市観光協会
▲観光コンテンツ造成支援ハンドブック:京都市観光協会

2024年4月、京都市観光協会はインバウンド向けアクションプランに対する成果の一部として、事業者の共通課題をはじめ、京都で体験コンテンツの企画や販売、受け入れを行う上で知っておきたいポイントなどをまとめた「観光コンテンツ造成支援ハンドブック」を発行しました。

このハンドブックの大きな特徴は、文字ばかりのわかりにくい資料と一線を画す構成です。図や写真などを多用し、できるだけ長文にならないよう意識しながら、わかりやすく制作されています。

また、結論に至るまでの過程も詳細に紹介することで、応用しやすくなっています。もちろん複数の事例も参考になるでしょう。コンテンツづくりやマーケティングについても体系的に学べるため、教科書として常に手元に置いておきたくなるハンドブックです。

その他にも、観光庁が発行している「観光地域づくり法人(DMO) による観光地経営ガイドブック」も併せて確認すると、観光地経営の参考になります。

関連記事:【DMO向け】観光庁「観光地経営に役立つガイドブック」を解説

2. すぐに役立つ「外国語表記ガイドライン」

▲外国語表記ガイドライン:京都市観光協会
▲外国語表記ガイドライン:京都市観光協会

インバウンドフレンドリーでありたい事業者にとって、外国語表記は欠かせないものです。しかしいざとなると、「翻訳が正しいのか判断できない」「最適な掲示場所がわからない」「現場スタッフが何度も同じことを尋ねられる」など、さまざまな問題が起こりかねません。

そこで参考にしたいのが、京都市観光協会が作成した「外国語表記ガイドライン」です。京都市内の観光事業者を対象に外国語表記の実態調査を実施し、その結果をふまえて、間違いやすい表現や観光客にわかりやすい外国語表記を行うためのポイントをまとめています。

以下のような、気をつけるべきポイントについてビフォーアフターで具体的に図解されています。

  • 翻訳ミス(Mistranslation)
  • 表示サイズ(Text Size)
  • 掲載場所(Placement)
  • 英語がない、英語ではない(No English)
  • 言葉遣い(Tone)
  • 前提知識(Lack of Context)
  • レイアウト(Layout Design)

参考になるテンプレート案も豊富なため、すぐに取り入れることが可能になっています。

関連記事:「残念な外国語」防ぐには?

3. 事業者だけでなく、市民も巻き込んだ観光地域づくり

京都市および京都市観光協会は、国内外の観光客を誘致してさらなる観光地域へと発展させるため、事業者だけではなく市民を巻き込んだ取り組みも開始しています。

地域の観光資源を活用した実証事業支援制度

京都市と京都市観光協会が、観光地の分散化による観光課題解決と地域活性化を目的として取り組んでいるのが、「とっておきの京都プロジェクト」です。

主体的に観光誘客に取り組む事業者による、地域ならではの観光資源を活用したツアーや体験、イベントなどの実証事業を募集。採択事業には50万円を上限に助成したり、事業計画や企画内容へのアドバイス、人材や企業の紹介をしたりするコンペを実施しています。

2022年度と2023年度は、6事業が採択されています。

募集期間は5月13日(月)17時までとなっており、5月中には採択事業が公表される予定です。

市民が思う観光課題を募集

京都市は、市民の暮らしの豊かさ向上と、京都観光に関わるすべての人の満足度向上につながる「持続可能な観光」を実現するため、観光課題や必要と考える対策を市民より広く集めるフォームを作成しました。

外国人観光客が多く訪れる環境はオーバーツーリズムと隣り合わせであり、そこで暮らす市民の日常を脅かしかねません。そこで具体的なエピソードを集めることにより、迅速に課題解決に向けて動き出せる体制づくりに取り組んでいることがうかがえます。

関連記事:改めて読みたい「オーバーツーリズム」特集

【GW中の対策は】京都市観光協会が観光課題への対策を実施

京都市観光協会は、ゴールデンウィークにおける観光課題について、下記のような対策を実施しています。

  • デジタル広告を活用した啓発活動
  • 京都駅における手ぶら観光の周知・啓発
  • ライブカメラ映像へのテロップ表示機能
  • ポータブルライブカメラの設置

昨年から実施している対策をリニューアルして強化したほか、新たに手荷物預かり窓口への誘導案内を設置するなど、京都の観光モラルおよび“手ぶら観光”の推進に向けた取り組みを行っています。

日本を代表する観光地・京都市に学ぼう

京都市は、国内外の観光客から人気を集める、日本を代表する観光地のひとつだと言えます。そんな京都市がインバウンド対策に取り組むことは必然であり、その試行錯誤は他の自治体やDMOでも参考になるものであるはずです。引き続き、これからの動向にも注目していくべきでしょう。

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<参照>

京都市情報館:観光収入の分かりやすい還元について

京都市観光協会:京都市観光協会が「先駆的 DMO」に選定されました

京都市観光協会:「観光コンテンツ造成支援ハンドブック」の発行について

京都市観光協会:外国語表記ガイドライン

京都市観光協会:「とっておきの京都プロジェクト」 実証事業支援制度 事業募集

京都市観光協会:令和6年度ゴールデンウィークにおける観光課題対策

京都市情報館:皆さまが実際に経験した観光課題等に関するご意見をお聞かせください

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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