【DMO向け】観光庁「観光地経営に役立つガイドブック」を解説

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観光庁は「観光地域づくり法人(以下、DMO)」の協力や、課題把握調査、先進事例調査および有識者による助言のもと、観光地域マーケティングのあり方や具体的な手法を解説してきました。それをまとめたものが、「DMO による観光地経営ガイドブック」です。その最新版が、4月1日に公開されました。

そこで本記事では、全109ページにおよぶ資料の中から注目したいポイントを抜粋しました。DMO関係者はもちろん、民間事業者も参考になる内容になっています。

関連記事:地域DMO、地域連携DMO、広域連携DMOの事例を紹介/地域観光を主導する「DMO」とは

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今、観光に求められること

令和5年3月31日、観光立国推進基本法(平成18年法律第117号)に基づく、「観光立国推進基本計画」が閣議決定されました。

この基本計画では観光立国の持続可能な形での復活に向け、観光の質的向上を象徴する「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の3つをキーワード゙に、「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」の3つの戦略に取り組むこととしています。

「持続可能な観光地域づくり」「国内交流拡大」には地域の魅力向上を通じて、旅行者と地域住⺠双方の好循環を実現する「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりが欠かせません。

国内旅行者のみではなく、近年の働き方や住まい方のニーズの多様化なども踏まえ、ワーケーション(自宅とは異なる場所で仕事をしつつ余暇を過ごすこと)やマイクロツーリズム(自宅から1〜2時間程度の移動圏内で行う近距離旅行)など、゙国内における新たな交流市場を開拓する取り組みも有効です。

もちろん「インバウンド回復」のための誘客も重要ですが、オーバーツーリズム(過度な混雑や観光客のマナー違反など)が発生する可能性があります。それにより地域住民の協力を得ることが難しくなってしまうこともあるため、観光地域づくりは地域としての意思決定を行い、ビジョンや方向性を明確にしながら進めていくことが重要です。

そのためDMOには地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った、司令塔としての役割が期待されています。

観光地経営に重要な4つのポイント

観光地経営を行う上での重要なポイントとして、次の4つの項目が挙げられています。
  1. 多様な関係者との連携・調整
  2. 「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくり
  3. 観光地のマネジメント
  4. 観光地経営戦略の策定・実行

1:多様な関係者との連携・調整

観光地経営においては、事業者・地域住⺠・行政・業界団体といった地域の多様な関係者と連携を行いながら、地域全体をひとつの組織と捉えて経営を行っていくことが求められます。

観光地経営戦略*の策定、それに基づいた取組の実行・結果の評価・戦略を見直すという一連のプロセスを、関係者の合意を得ながら実施していくことで、合意形成しやすく、協力体制が確立されていくでしょう。

そこで大切なのが、DMOの存在です。地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った、観光地域づくりの司令塔としての役割が期待されています。

経営判断を担うトップ人材(理事長・理事・CEOなど)、経営と現場の実務の橋渡しを行う中核人材(事務局⻑など)、そして実務人材(スタッフ)といった、観光地経営に必要な能力を持った人材を確保することが肝要です。

*観光地経営戦略…「観光地全体として中⻑期的に目指すビジョンや、ビジョンを実現するための具体的な戦略」のこと

2:「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくり

「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりの実現には、観光による受益を地域内の多様な事業者・業種に波及させる必要があります。また、観光従事者が高い満足度と安心感を持って、観光業界で働けるような環境を整備することも欠かせません。

DMOによる「観光従事者の育成・雇用機会の創出」といった直接的な支援や、「事業者の表彰や認定」といったインセンティブづくりは、それらを同時に実現可能にします。しかし本当に求められていることは何か、地域の実情に応じて必要な取り組みを検討していきましょう。

また、オーバーツーリズムによる弊害を少しでも減らすため、「レスポンシブル・ツーリズム」(来訪者への啓蒙・教育を行うこと)の考え方も重要となります。

3:観光地のマネジメント

地域で新たな活力を創り出し、活性化へ繋げていくには、「資金の獲得」「人材の獲得」「観光関連企業の誘致と育成」が有効です。一方で、地域に存在する幅広い観光資源(自然・歴史・文化・景観など)を保全・活用することも求められます。

また、いざというときのために、観光危機(天候・災害・感染症・風評被害など)に対する方針や役割分担も事前に決めておきましょう。

4:観光地経営戦略の策定・実行

多様な関係者とともに同じ目標に向かうためには、一貫性のある観光地経営戦略の策定を行うことから始めます。定性的なものだけではなく、定量的な目標を設定し、PDCA(Plan-Do-Check-Action)を常に回していきましょう。

PDCAを回す間、DMOは、関係者から意見収集することを怠らないようにすべきです。その際にさまざまな意見をどのように反映するかを判断するためにも、軸となる最初の経営戦略が重要となります。

DMOの組織経営:司令塔としての意思決定を明確に

DMOは観光地経営の司令塔を担う組織であり、組織の健全な運営のためには盤石な組織体制の構築と、活動指針となる中⻑期の組織経営戦略の策定が不可欠です。

DMOの組織経営戦略は、主に「全体方針」「人材」「財源」「DX」などの方針によって構成されます。

「全体方針」にはDMO組織としてのビジョン(目指す姿)やそれを達成するためのミッション(使命)、「人材」「財源」「DX」については、いずれもDMOのビジョンや目標達成のための方針という視点で策定しましょう。

ガイドブックでは、事例やコラムを多数掲載

本記事では重要な部分のみ抜粋していますが、ガイドブックでは国内外の事例やコラム、具体的に策定すべきことなどを掲載しています。

2023年に訪日外国人旅行消費額が5兆2,923億円と過去最高を記録し、今後もさらなる伸長が期待されている今だからこそ、あらためて観光地経営について見直す必要がありそうです。

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<参照>

観光庁:「観光地域づくり法人(DMO) による観光地経営ガイドブック」

訪日ラボ セミナー紹介&最新版インバウンド情報まとめ

「稼ぐ観光・地域活性化」のヒントがわかるセミナーが目白押し!

RX Japan株式会社は、2024年5月8日〜10日に東京ビックサイトにて、「観光業/宿泊業」「ツーリズム」に関わるBtoB商談展「国際ツーリズムトレードショー」(iTT)を開催します。

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訪日ラボを運営する株式会社movも、「インバウンド×観光DX戦略」のテーマで登壇します!ご興味のある方はぜひご参加ください。

※訪日ラボは、「観光DX・マーケティングEXPO」「国際ウェルネスツーリズムEXPO」の公式メディアパートナーです。

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「稼ぐ観光・地域活性化」のヒントがわかるセミナーが目白押し!観光DX・マーケティングEXPO / 国際ウェルネスツーリズムEXPOセミナーのご紹介

日本のインバウンド事業者が知らない「中国現地の最新旅行トレンド」

コロナ禍の収束後、インバウンド需要が順調に回復を続ける中、唯一回復が大きく遅れていた中国市場。

一方、ここ数か月の間は訪日中国人客数が順調に回復してきており、訪日旅行消費額も2024年1〜3月期では台湾を抜き、1位となったことがわかっています。

今、中国市場がどのような動向になっていて、今後どうなっていくのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は訪日ラボから、複数の中国SNSで在日中国人インフルエンサーとしても活動中の熊 孟華(ユウ モウカ)と、中国最大級の店舗・施設検索プラットフォーム「大衆点評」などを活用した中国向けプロモーションのコンサルティングを行う金子 泰士が登壇。

中国SNSや訪日プロモーションの「プロ」である2人が、気になる中国市場の最新トレンドについて語り尽くすセミナーをお届けします。

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【インバウンド情報まとめ 2024年4月】3月訪日外国人数「300万人」突破 他


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、2024年4月版レポートから、3月〜4月のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください!

本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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3月訪日外国人数「300万人」突破 / 2月の世界航空需要、コロナ前から完全回復【インバウンド情報まとめ 2024年4月】

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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