じゃらんリサーチセンターは6月13日、「観光振興セミナー2024 オープン・ラボ Online」を開催しました。全国の先進事例やじゃらんリサーチセンター(JRC)独自の調査・研究を、研究員自らが解説するセミナーイベントです。
訪日ラボでは、各講演の中から特にインバウンド観光に関連する講演を取り上げ、解説していきます。第四弾として、じゃらんリサーチセンター研究員 北 真理子氏による「人生観と資源の『見え方』が変わるトランスフォーマティブ トラベルとは?」の内容をお届けします。
トランスフォーマティブトラベルとは?
米国のThe Transformational Travel Council(トランスフォーメーショナルトラベル評議会)の定義によれば、トランスフォーマティブトラベルとは、意図的に旅をすることで新しいあり方や世界との関わり方を学び、成長することを目指す旅です。
トランスフォーマティブは日本語で「変革的な」という意味で、自分自身の内面の変化を目的とした旅行のことを指すようです。
トランスフォーマティブトラベルと、他の旅行との違いは?
似た概念であるアドベンチャートラベルやウェルネスツーリズム、着地体験型ツーリズム、コンシャストラベル(目標貢献型トラベル)と比較すると、トランスフォーマティブトラベルでは「楽しみ」よりも「学び」を重視し、リフレッシュだけでなく「新しい成長・変化」「レベルアップ」まで目指します。
また、必ずしも地球環境や保護活動などといったサステナビリティを意識した旅だけではなく、あらゆるテーマの旅を対象としています。

近年、このトランスフォーマティブトラベルの注目度は増しており、過去10年間のSNS投稿トレンドを見ると、先に挙げた4つの類似した旅行よりも大きく話題量が増加しているといいます。
そこで北氏は、どのようにしてトランスフォーマティブトラベルの旅行者と日本の地域を結び付け、地域に新しい観光の可能性をもたらしてくれるかを研究しています。
日本市場におけるトランスフォーマティブトラベルの可能性
北氏は、日本は以下の理由からトランスフォーマティブトラベルに最適な環境であると述べています。
- 異国文化…「モダン・伝統」の2つの側面があり、世界中の旅行者がその独特性に興味津々
- 大自然への没頭…自然景色の多面性に加え、日本の美しい「四季」が世界中の人々を魅了できる
- 現地人との交流…日本人の日常生活のユニークな習慣が旅行者に驚きと刺激を与え、当たり前であった自分の価値観に挑むきっかけとなる
- 神秘性の実践…アニミズム(神道)、仏教13宗派、自然宗教(修験道)など、インドを除き、日本ほど豊富な精神的な体験を提供できる国は他にない
- 挑戦…「便利と不便」(例:言葉が通じない(=英語が苦手)の多数場面、靴を脱ぐ習慣…)両方を体験するからこそ、日本は「ちょうどよい」具合の挑戦感を与える国である

一方で、日本の文化として根付いている礼儀や精神性といったものを本当の意味で理解することは難易度が高く、また各地の観光地が「表面的に」似ており、一定訪問・体験すると似たようなものを見た感覚になってしまうといった、日本の観光資源をアピールする上での難しさを挙げています。
そこで地域観光資源の“内面”を読み解き、その背景にあるストーリー(生き方や考え方)を浮かび上がらせ体験させるコンテンツを造成することが重要ではないかと指摘し、実際にストーリーと体験の観点から有識者を招き、「日本版トランスフォーマティブトラベル」の造成に取り組みました。

滋賀県での実証実験事例:織田信長・井伊直弼に今の生き方を学ぶ旅
実際に滋賀県を実証地として、トランスフォーマティブトラベルのコンテンツ造成を行っています。
テーマは「湖の国、違う時代に生きた二人の侍の歴史・史跡を辿り、今の生き方を学ぶ旅」。織田信長、井伊直弼を主人公とするストーリーで、ターゲットは20代後半〜40代半ばのアメリカ・カナダ・イタリア・シンガポールの外国人としてモデルツアーを実施しています。

旅の最初には、太郎坊宮でのお守りづくり体験や、安土城跡を訪れる体験などが続きます。古来自分で作るものだったというお守りの文化体験や、「景色はきれいだが行っても何もない」という人も多い織田信長ゆかりの安土城跡を、安土城に真っ直ぐに続く道や、信長の権威を示す石仏などに着目しながら見ていくといった体験を通して、ただ観光地を訪れるだけではない体験が盛り込まれています。
さらに井伊直弼が勉学・修行に励んだ埋木舎を訪問し、直弼公が立ち上げた流派を継ぐ「彦根一会流」のお点前体験や、直弼公が考案した懐石を参考にしたお弁当を食べるなどの貴重な体験も実施。こうした体験の合間には、経験・体験したことを感じる時間・場を設定したといいます。
この続きから読める内容
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