インド人は日本に来ても「カレーしか食べない」って本当?意外と人気な日本の〇〇とは

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2024年、訪日インド人旅行者数は10月時点で192,500人を超え、過去最高記録だった2019年の年間総数(175,896人)を上回りました。富裕層や消費意欲の高い若年層の増加を背景に、今後も訪日インド人旅行者数のさらなる増加が期待されています。

では、現在日本を訪れているインド人旅行者はどのような人々で、何を求めているのでしょうか?また、彼らはどの地域を訪れているのでしょうか?

日本滞在中、本当に「カレーだけしか食べない」のか?これらの疑問について、弊社BRANDitがこれまでに実施したFAM(招請旅行)の経験などを基にまとめました。

文/大瀧直文(BRANDit Japan)

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1. 世界中に増えるインド人観光客

2023年には年間2,800万人が海外へ。

360万人の富裕層旅行者を軸に、年々旅行者数、消費額が増えています。

どこに行っているのか?

海外旅行の行き先のランキングとしては、インド観光省の2024年8月の統計によると、UAEがインド出国者の24.45%を占め、続いてサウジアラビア(10.88%)、アメリカ(7.58%)、タイ(5.98%)、シンガポール(5.02%)の順番となっています。


(参照:インド観光省データ2024年8月

どんな人が旅行するのか?

首都デリー、富裕層が多く住む金融都市ムンバイからの渡航者が半数近くを占め、その他はバンガロール、チェンナイ、ハイデラバードなどの都市からの渡航者となります。

彼らは欧米では一泊あたり500USD以上を使い、かつ、2週間以上と長めの旅行をする事より、グローバルホテルチェーン、世界の旅行会社から注目を集めています。


(参照:Pushpa 2 Box Office Collection Day 3: Allu Arjun-Rashmika Mandanna’s movie crosses ₹550 crore worldwide

どんな目的で?

4割以上が「余暇・レジャー」

全体の42.1%が「余暇・レジャー」を目的に渡航しています。文化体験、買物、新婚旅行が主な目的。特に家族旅行の割合は多く、治安が良く、安全で、子供向けの施設が充実していることは重要となります。

インドコミュニティ訪問」の増加

家族、親類を訪ねる事を主目的とした「インドコミュニティ訪問旅行」は全体で35.1%を占め、8月には45.0%と顕著に増加しています。特に学校休暇、インドの祭事期間のお休みなどの時期に、親族や知人を訪問を目的に海外へ渡航するインド人は多い状況です。

「ビジネストラベル」の安定したシェア

「ビジネストラベル」目的での渡航割合は、年間通じて14.7%。


(参照:インド観光省データ2024年8月

2. インド人は旅行中でも本当にカレー(もしくはインド料理)だけしか食べないの?

インド人にとってのカレーとは?

インド人にとっての「カレー」は日本人にとっての「カレーライスのためのカレー」とはニュアンスが異なり、単なる一種類の料理ではなく「豊富なスパイスが用いられた風味豊かなソースやグレービー」として捉えられています。よって、一度に出てくるカレーの種類も少量が複数あり、日本でも馴染みのあるナンや、ライスと一緒に食べる事が多いです。

北と南や地方の違いにより、見た目、味、共に大きく事なり、複数のバリエーションが存在します。

私たち日本人の視点からは、「インド人は毎日カレーを食べている」「旅行先でもカレーを求める」「カレー以外は食べない」といったイメージを持ちがちです。しかし、実際には彼らは自国で親しみのある他国料理を楽しむこともあり、日本食を含めさまざまな料理を楽しんでいます。

(参照: The Key Difference Between Japanese And Indian Curry

インド料理店が近隣にない! その場合はどうする? ベジタリアン対応の食事環境

インド料理店は日本国内でも増加傾向にありますが、未だ存在しない地域もあります。その場合の次の選択肢として挙げられるのがイタリア料理です。

インドでは、地域や階層を問わずイタリア料理が人気を集めています。その理由として、濃い味付けや辛めの味付けなど、インドの嗜好に合わせたローカライズがしやすいこと、そして何よりも「ベジタリアン対応が容易である」点が挙げられます。パスタやピザに加え、インド人の嗜好に合った甘いデザートも充実しており、インド料理でなくてもフルコースで楽しめる料理として日本旅行の際にも重宝されています。

辛い料理が好きな一方、スイーツ好きな一面も! 日本酒、日本ウイスキーにも目がない!?

日本の抹茶スイーツやクリームたっぷりのケーキなど、東京や京都のスイーツ専門店がSNSで話題となり、日本旅行の楽しみの一つとして注目されています。

また、ムンバイにある有名スイーツ店で「日本風チーズケーキ」が販売されるなど、近年ではインドでも楽しめる「日本スイーツ」がインド国内でも人気を集めています。

(参照:https://lbb.in/mumbai/daniel-patissier-bandra/

グループツアーで日本を訪れるインド人は旅程にインド料理店が組み込まれていることもあり、日本でもインド料理をメインに食べる観光客が多い傾向がありますが、FIT個人旅行の場合は日本料理、寿司ラーメン、日本のウイスキー、日本酒。と他国の観光客と同様の日本ならではの「食」を楽しむ傾向にあります。

3. 2024年現在、インド人に人気のスポット(日本)は?

ゴールデンルート(東京、大阪、京都)は依然として人気がありますが、「日本ならではの体験や文化」、「インドでは味わえない体験」ができる以下のエリアも注目を集めています。

インドでブームとなっているペット文化!日本のペットカフェが人気に!

近年、インドでは可処分所得の増加や核家族化による住環境の変化から、ペットを癒しの存在として求める傾向が強まっています。さらに、コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたこともこのブームを後押ししています。

そんなブームも後押しし、犬や猫と触れ合いながらリラックスできる犬カフェや猫カフェがインド人観光客にも人気となっています。また、インドでは普段触れる機会が少ない動物がいるウサギカフェやフクロウカフェなど、よりユニークな体験を求めるインド人旅行者も増加しています。

「ふくろうの里」(武蔵野、原宿)は、こうした理由からインド人観光客にも特に人気のスポットとなっています。

(参照:India’s pandemic pet boom just the start of rapid industry growth, say analysts

広島の原爆ドーム、平和記念資料館も人気

インドの首都、デリーは王朝時代からの「戦争・占領」などの歴史的背景を持つが故に、原爆ドームのように、当日の様子がそのまま残させている建物は世界的にも珍しく、訪れたい日本の観光地として人気です。実際の旅行者の声を聞くと、「戦後の復興を遂げた日本の今の美しい姿」に対する敬意から、インド人旅行者の心を強く引きつけているとの事です。背景として、インドの学校教育にも多く取り上げられており、広島の認知、旅行先としての関心を深める要因となっています。

また、2023年5月にG7広島サミットでモディ首相が訪れた事によりさらに注目度があがっています。

まとめ

ご覧頂いた通り、インド人旅行者の目的や旅行スタイルは多様化しており、旅前に収集した情報を基に、「歴史や文化、流行など、もともと興味のあるもの」「その土地ならではの人や文化を通じた特別な体験」を旅を楽しむ傾向が一層強まっています。

インド人旅行者は日本人が思う以上に「豊かな経済力」「多様な目的」「柔軟な嗜好」を備えた洗練された旅行者へと進化しており、訪れた地で新しい文化を積極的に楽しむ姿勢がますます顕著になってきています。

これまでのインド人に対する印象は変わらない部分もあると思いますが、一方、私たちが知らなかったインド人を理解することは、今後のインバウンド対策において必須となります。

「まずは相手を知り、自分たちの事も知ってもらう。好きになってもらう。」が、いつの時代でも、コミュニケーションに必須だと考えています。

今後も「インド人が好きな具体的なアクティビティは?」「どのようなホテル体験を好む?」など、よりDeepな情報を発信していきたいと思います。

<その他参考>

著者プロフィール:BRANDit Japan・カントリーマネージャー 大瀧直文


日本、海外の広告業界で18年の実績を持ち、オンオフ統合メディアキャンペーン、インフルエンサーマーケティング、クリエイティブ制作、イベント、TV番組制作などの現場実績を持つ。
5年間のインド駐在を経てインドにおける観光マーケティングに精通。JNTOデリー事務所をクライアントとし、「Japanブランド」のブランド戦略、メディアキャンペーンの実行、ブランドリフト調査、セールスレップ活動、イベントプロデュースなどを牽引。その他日系企業のメディアキャンペーン、クリエイティブ制作など多数プロデュース。

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この記事の筆者

大瀧直文

大瀧直文

BRANDit Japan・カントリーマネージャー

日本、海外の広告業界で18年の実績を持ち、オンオフ統合メディアキャンペーン、インフルエンサーマーケティング、クリエイティブ制作、イベント、TV番組制作などの現場実績を持つ。
5年間のインド駐在を経てインドにおける観光マーケティングに精通。JNTOデリー事務所をクライアントとし、「Japanブランド」のブランド戦略、メディアキャンペーンの実行、ブランドリフト調査、セールスレップ活動、イベントプロデュースなどを牽引。その他日系企業のメディアキャンペーン、クリエイティブ制作など多数プロデュース。

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