大阪・関西万博まで残り1か月となりました。万博の来場者数は約2,820万人と予想されており、世界的にも注目度の高いイベントとなっています。
万博のほかにも、2025年は日本各地で大型イベントが開催されます。こうした催しは、開催地だけでなく、全国各地のインバウンド需要を押し上げる大きなきっかけになります。
観光客が増えれば、飲食店や宿泊施設をはじめ、さまざまな事業者にとって集客の可能性が広がります。ただしその波に乗るためには、事前の準備が欠かせません。
本記事では、2025年に注目したいイベントと、それらをきっかけにインバウンド集客を成功させるためのポイントを紹介します。
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- 大型イベントはインバウンド集客の好機
- 2025年の大型イベント一覧
- 【北海道】2025さっぽろ雪まつり(2月4日~11日)※終了
- 【大阪】大阪・関西万博(4月13日~10月13日)
- 【瀬戸内】瀬戸内国際芸術祭2025(4月18日~5月25日、8月1日~31日、10月3日~11月9日)
- 【岐阜】高山祭(4月14日~15日、10月9日~10日)
- 【東京】三社祭(5月16日~18日頃)
- 【京都】祇園祭(7月1日~31日)
- 【大阪】天神祭(7月24日~25日)
- 【沖縄】JUNGLIA OKINAWA(7月25日開業)
- 【青森】青森ねぶた祭(8月2日~7日)
- 【徳島】徳島市阿波踊り(8月11日~15日)
- 【東京】東京2025世界陸上競技選手権大会(9月13日~21日)
- 【愛知】国際芸術祭「あいち2025」(9月13日~11月30日)
- 【東京】東京2025デフリンピック(11月15日~11月26日)
- 今からしておきたい準備は?
- 予想されるインバウンド需要の拡大、どう活かす?
目次
大型イベントはインバウンド集客の好機
大型イベントの開催は、会場に観光客が集まるだけでなく、その波及効果によって他の地域の集客にもつながるチャンスです。
たとえば、大阪万博に来場する訪日外国人が「万博以外の観光により周辺地域にどの程度の経済効果をもたらすのか」を推計したデータによると、各都道府県の生産誘発額の合計は約3,598.9億円と推計され、関西地区では京都、奈良、兵庫、和歌山の順番で影響が大きくなるとされています。
また、関西だけではなく、日本各地に足を運んでもらうため、万博の会期にあわせてさまざまな取り組みが行われています。
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過去の事例として、2019年のラグビーワールドカップ日本大会も見てみます。
本大会では、のべ170万人以上の観客が訪れ、チケット販売率は過去最高の99.3%を記録しました。さらに、パブリックビューイングやラグビー体験などが行われたファンゾーンにも約113万人が来場し、試合会場以外にもにぎわいが生まれました。
こうした実績からも、大型イベントは、開催地以外の地域にとっても集客のきっかけとなることがわかります。
機会を上手に利用することで、遠方の店舗や施設でもインバウンド需要を取り込むチャンスを広げることは十分に可能です。
2025年の大型イベント一覧
ここからは、外国人観光客の訪問が予想される2025年の注目イベントを紹介します。それぞれの機会をうまく活用し、インバウンド集客につなげましょう。
【北海道】2025さっぽろ雪まつり(2月4日~11日)※終了
毎年2月に札幌市で開催される冬の祭典で、巨大な雪像や氷像が市内各所に展示されます。
2025年は新千歳空港と海外を結ぶ直行便の回復が進んだこともあり、会場には多数の外国人観光客が訪れました。また、すすきの会場で配布した多言語版ガイドブック(1,000部)は、全て配布を完了したということです。
【大阪】大阪・関西万博(4月13日~10月13日)
大阪市の夢洲(ゆめしま)で開催される国際博覧会で、158か国・地域、9国際機関(12月28日時点)が参加を予定しています。
来場者数は約2,820万人、そのうち海外からは約350万人の来場が見込まれています。
また2024年に大阪を訪れる外国人観光客数は1,400万人になる見通しで、これは2019年の観光客数を14%上回り、過去最高を更新する見込みです。
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【瀬戸内】瀬戸内国際芸術祭2025(4月18日~5月25日、8月1日~31日、10月3日~11月9日)
3年に一度、瀬戸内で開催される現代アートの祭典です。
春・夏・秋の3シーズンで約100日間にわたり行われ、瀬戸内海の島と沿岸地域の全17エリアでイベントやアート作品が公開されます。期間中は、約100万人の人々が国内外から訪れるといいます。
今年の春には直島新美術館がオープンし、芸術祭の目玉となります。
関連記事:BBC「2025年に旅行したい25か所」に香川・直島 瀬戸内国際芸術祭の会場に
【岐阜】高山祭(4月14日~15日、10月9日~10日)
岐阜県高山市で毎年行われる、春の「山王祭」と秋の「八幡祭」の総称で、「高山祭の屋台行事」はユネスコ無形文化遺産に登録されています。
2024年の高山祭の時期には、春・秋あわせて37万人の観光客が訪れました。
高山市はインバウンド誘致に積極的に取り組んでおり、今後も多くの訪日外国人が訪れることが見込まれます。
関連記事:多様な食文化を持つ世界に、名産品の魅力を届けるために。高山市が官民連携で目指す「フードバリアフリー」とは
【東京】三社祭(5月16日~18日頃)
多くの訪日客が訪れる浅草で、毎年5月に開催される浅草神社の例大祭です。約100基の神輿が街を練り歩き、活気あふれる雰囲気が特徴です。
多くの外国人観光客も訪れ、浅草の街全体が祭り一色に染まります。
【京都】祇園祭(7月1日~31日)
毎年、7月に京都市で開催される八坂神社の祭礼で、その期間は1か月にわたります。日本三大祭りとして知られており、国内外から多くの観光客が訪れます。
なかでもハイライトは、17日と24日に行われる山鉾(やまほこ)巡行の前祭(さきまつり)と後祭(あとまつり)です。「京都祇園祭の山鉾行事」はユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
【大阪】天神祭(7月24日~25日)
天神祭とは、日本各地の菅原道真を祀る天満宮で行われる祭りのことで、特に大阪天満宮で行われるものは、日本三大祭りの一つとされています。
100隻あまりの船が行き交う船渡御(ふなとぎょ)や花火大会を見るために、たくさんの人たちが訪れます。
2024年には、日本語ガイドと英語通訳が同行した特別船上観覧席とプレミアム体験ツアーが販売されました。
【沖縄】JUNGLIA OKINAWA(7月25日開業)
JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)は沖縄県北部に開業予定の大型テーマパークで、2月下旬には海外向けの展開も開始しました。
運営会社のジャパンエンターテイメントは、ジャングリアにより沖縄のブランド価値を高め、「素通り観光」になりがちだった北部地域でプラス一泊する需要を喚起し、消費額を向上させるとしています。
インバウンドの受け入れも想定し、多言語看板の設置やアプリの開発、中長期的に海外からの高度観光人材の採用も進めるといいます。
関連記事:「ジャングリア」7月開業、訪日客のチケットは“二重価格”採用 日本の観光業への思いを刀CEO森岡氏・石破首相がそれぞれ語る
【青森】青森ねぶた祭(8月2日~7日)
青森県青森市で開催される東北を代表する夏祭りで、「ねぶた」と呼ばれる巨大な灯籠が街を練り歩きます。
フランスのニースのカーニバルや、イタリア、ハワイなど、世界各地でPR活動をしてきた背景もあり、知名度が高く、青森ねぶた祭を目的に訪日する外国人もいるほどです。
【徳島】徳島市阿波踊り(8月11日~15日)
徳島県徳島市で毎年8月のお盆の期間に開催される伝統的な祭りで、2024年には100万人以上が来場しました。
2019年には、世界の阿波おどり関係者が一同に集う「世界阿波おどりサミット」が開催され、海外においても認知度が高まっています。
【東京】東京2025世界陸上競技選手権大会(9月13日~21日)
2年ごとに開催される世界的な陸上競技大会で、今年は東京・国立競技場で行われます。
200か国・地域から2,000人以上の選手が参加する世界最大級のスポーツイベントで、日本での開催は1991年以来34年ぶりです。
選手や関係者も含め、海外から多くの訪日客が来ることが見込まれます。
【愛知】国際芸術祭「あいち2025」(9月13日~11月30日)
愛知県で3年ごとに開催される、国内最大級の国際芸術祭のひとつです。
2022年の開催では国内外から100組のアーティストが参加し、多彩な作品が展示されました。
おもな会場は、愛知芸術文化センターや愛知県陶磁美術館、瀬戸市の街中などで予定されています。
【東京】東京2025デフリンピック(11月15日~11月26日)
4年に1度開催される、「きこえない・きこえにくい人のためのオリンピック」です。
2025年は100周年の記念となる年で、日本では初めて、東京での開催が決定しています。
70~80か国から約6,000人の選手・関係者の参加が予定されています。
今からしておきたい準備は?
イベントの開催により、多くの業種・業態でインバウンド集客の機会が期待されます。
そのなかでも、特に訪日客が訪れる可能性が高い飲食店や宿泊施設は、事前の集客はもちろん、その後の受け入れ体制を整えることが重要です。
飲食店
観光庁が実施した「インバウンド消費動向調査(2023年)」によると、訪日客が期待していたこととして最も多かったのが、「日本食を食べること」(83.2%)でした。
食を求めて日本を訪れる観光客は多く、飲食店のインバウンド対策は集客に直結する重要なポイントとなります。飲食店の具体的な対策としては、以下の施策などが挙げられます。
集客
- SNSアカウントの運用
- Googleマップなど地図サービスの活用
- 口コミサイトの登録・予約手段の拡充
受け入れ環境整備
- ホームページや予約システムの多言語対応
- 無料Wi-Fiの設置
- キャッシュレス決済の導入
- ハラル、ベジタリアン、ヴィーガン対応メニューの提供
とくに宗教や食文化の違いに配慮したメニュー対応は、訪日客の満足度向上に直結するため、積極的に推進していきたいところです。
より詳しい内容は、こちらの記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
宿泊施設
大阪万博では、大阪および関西圏にあるホテルの価格高騰が予想されており、「万博をきっかけとした観光や宿泊は、大阪以外でも起こる可能性がある」と言われています。
このように、開催地からの距離にかかわらず宿泊需要が発生する可能性は高いため、訪日外国人がホテルに求めるものを理解し、適切な準備をすることが重要です。
宿泊施設が重視すべきポイントは以下の通りです。
- 多言語対応
- 無料Wi-Fiの提供
- キャッシュレス決済の充実
- 宗教、文化に配慮したサービス(礼拝スペース、ハラル対応食の提供など)
- 日本食、文化体験の提供(和食体験、茶道、着物体験など)
訪日外国人が快適に過ごせるホテル作りを進めることで、イベント期間だけでなく、その後のリピーター獲得にもつながるでしょう。
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予想されるインバウンド需要の拡大、どう活かす?
2025年は、大型イベントがもたらすインバウンド需要が大きく広がる年になりそうです。ただし、それを自店舗や施設の集客につなげるためには、戦略的な準備が欠かせません。
イベントに合わせた情報発信や、外国人観光客が快適に過ごせる環境を整えることで、より多くの訪日客を迎え入れることができます。さらに、こうした取り組みによって良い印象を持ってもらえれば、イベント期間中だけでなく、その後のリピーター獲得にもつながります。
「集客をイベント任せにする」のではなく、「イベントを活用して集客を行う」ことが重要です。今からできる準備を整え、集客の機会を確実にとらえるようにしましょう。
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<参照>
- 大阪・関西万博:公式サイト
- 2025さっぽろ雪まつり
- 瀬戸内国際芸術祭2025:公式サイト
- 高山市:
- 浅草神社:三社祭
- 八坂神社:祇園祭
- 京都観光オフィシャルサイト:祇園祭「どんな祭?」
- 天神祭:公式サイト
- 大阪観光局:「天神祭」船上特別観覧席ツアー
- 青森ねぶた祭:
- JUNGLIA沖縄:公式サイト
- 徳島市阿波踊り
- 徳島県庁:世界阿波おどり宣言の採択について
- 東京2025世界陸上競技選手権大会:公式サイト
- 国際芸術祭「あいち2025」:公式サイト
- 第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025:公式サイト
- 観光庁:インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)
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