【データで見る中国インバウンド市場】最新の消費トレンドと効果的な対策は?

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日本のインバウンド市場の中でも、大きな影響力を持つ中国。近年は消費傾向が大きく変化しており、その動きを把握することがこれまで以上に重要になっています。

訪日ラボは2025年4月、訪日中国人の消費トレンドと今後の対策をテーマにしたセミナーを開催。中国市場を熟知した専門家が、今後の中国インバウンド戦略について解説しました。

本記事では、セミナーの内容をご紹介します。

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第1部:インバウンド市場の最新動向と戦略の考え方

第1部では、最新のインバウンド動向について、株式会社mov インバウンド支援事業部 金子が解説しました。

訪日外国人数は過去最高に 中国市場も急回復

2024年の訪日外客数は3,687万人と、コロナ前2019年の3,188万人を大幅に上回り、過去最高を記録しました。コロナ禍の落ち込みから回復し、さらに拡大している状況です。

中でも特筆すべきなのは、訪日中国人の急増です。2019年の訪日中国人数は959万人と、全体の3割ほどを占めていました。近年はコロナ禍からの回復に遅れがあったものの、2024年には698万人と、コロナ前の7割ほどに回復しました。

また2025年4月には、2019年を4万人ほど上回る77万人を記録しました。2024年比の増加率は43.4%と、急速な回復を見せています。

関連記事:4月の訪日外客数390.9万人 単月で初めて390万人突破

▲最新のインバウンド市場/入国状況(2024):セミナー資料より
▲最新のインバウンド市場/入国状況(2024):セミナー資料より

また訪日消費額に関しても、インバウンド全体で過去最高となる8.1兆円に達するなか、訪日中国人による消費額は1.7兆円と、そのうち21%を占めました。1人当たり消費単価では欧米豪が上回るものの、訪日数との掛け合わせで考えると、中国の存在感が際立っています。

▲最新のインバウンド市場/訪日外国人旅行消費額:セミナー資料より
▲最新のインバウンド市場/訪日外国人旅行消費額:セミナー資料より

インバウンドマーケティングが難しい理由

順調に拡大傾向にあるインバウンド市場ですが、効果的なマーケティングを行うには難しさもあります。

まず、コンテンツの差別化です。例えば、日本のコンビニを利用する訪日客の多くは各社のブランドの違いを認識しておらず、簡単に代替される可能性があります。

次に、ライフタイムバリュー(LTV)です。訪日外国人は再度日本に来るまでに時間がかかるため、一人当たりの消費額を上げることが難しくなっています。

さらに、施策の効果が見えづらい点も挙げられます。必要なデータが不足していたり、ターゲットとする国や言語によって打ち手が異なったりするため、十分な対策が難しくなっています。

効果的なインバウンド戦略の作り方

こうした課題を解消し、効果的なインバウンド戦略を作るために、訪日ラボではプロセスに沿った進め方を推奨しています。

まず、マーケットを理解するために情報収集を行います。国や政府、自治体などが公開しているデータや、自社の購買・来店データ、各ソリューションやWebサイトのデータなどを掛け合わせ、理解を深めていきます。訪日外国人の動向は、玄関口である航空便に影響されるため、そうしたデータを使うことも効果的です。

このように多角的に情報を収集・分析したうえで、実際に狙うべきターゲットを絞り込んでいきます。

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その後、ターゲットに設定したユーザーのカスタマージャーニーを想定します。

全体像としては、訪日する前に情報収集する「旅マエ」、訪日期間中に検索する「旅ナカ」、帰国後にレビューなどを共有する「旅アト」の3つに分類されます。どのタイミングで自社が検索されているかを理解し、適切なタイミングと方法でプロモーションを行うことが大切です。

また、インバウンドプロモーションは、実施して終了ではありません。ユーザーの口コミの分析を行うことで効果測定し、PDCAを回すことが重要です。

▲訪日外国人のカスタマージャーニーの全体像:セミナー資料より
▲訪日外国人のカスタマージャーニーの全体像:セミナー資料より

第2部:大衆点評からわかる訪日中国人のトレンド

第2部では、大衆点評での訪日中国人の動向について、Meituan(美団)アウトバウンド広告事業部 日本支社 統括責任者の草刈氏より解説がありました。

大衆点評は、中国最大のライフサービス検索プラットフォームです。飲食店やショッピング施設、観光施設などの情報が掲載されており、訪日中国人の2人に1人が使っているといいます。

大衆点評は、旅直前から、旅ナカ旅アトでも利用されています。旅行の2週間ほど前から飲食店ランキングやインフィードを確認し、行き先を決める方が多いようです。そして実際に訪日した際には、キーワード検索やフィルター機能を活用して店舗を絞り込み、予約をしたり、クーポンを利用したりします。

▲大衆点評でのユーザー行動:セミナー資料より
▲大衆点評でのユーザー行動:セミナー資料より

訪日中国人の人気エリアを解説

セミナーでは、2025年1月〜2月における訪日中国人の人気エリアについても解説がありました。ランキングトップ3には東京、大阪、京都が並びました。 

1位:東京

東京は年間を通して常にユーザーが多く、飲食ではラーメン、焼き肉、すき焼き、焼き鳥、ショッピングではドン・キホーテ、ドラッグストア、ユニクロなど、大衆的なワードが多く検索されています。

2位:大阪

大阪は、特に前年からの増加が顕著なエリアです。 検索されている内容としては、かに道楽、お好み焼きなどローカルな飲食店が多いことに加え、百貨店の人気が高いことも特徴です。

3位:京都

京都も大阪と同様、前年からの増加率が高いエリアです。食べ物では、ラーメン、お寿司などの定番ワードとともに、すき焼き、うな重、抹茶など、日本の伝統的な食が検索されています。

セミナーでは、4位〜10位のエリアについても、年間推移や検索ワードが紹介されました。

第3部:中国人の訪日意識&インサイト

第3部は、株式会社博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター(MTC) グローバル開発グループ 上席研究員の江氏が、訪日中国人が感じる日本の魅力や、今の旅行者が求める体験について解説しました。

MTCと美団は、「中国における訪日インバウンド予報調査」を、これまで4回実施しています。今回は、2024年12月〜2025年2月に行われた第4回の調査結果について発表しました。

関連記事:中国生活者の3か月後の訪日意欲を表す「インバウンド予報指数」、5月は過去最高に

訪日中国人を5つのクラスターに分類

調査では、対象者を日本好き意識・行動に基づき、ソフト面共感層、全方位大好き層、偶発的消費層、体験重視層、消費重視層の5つのクラスターに分けています。

たとえばソフト面共感層は、全体的に因子得点が高くないものの、「日本人マインド共感」や「日本カルチャー触れ合い」を特徴として捉えられます。このクラスターは、さまざまな体験をするために訪れたことのないエリアに行き、地域特産品を購入して、その体験を友人・知人に共有することが多い傾向があります。

▲各クラスターの訪日意識の特徴:セミナー資料より
▲各クラスターの訪日意識の特徴:セミナー資料より

今後は体験重視の傾向が強まる

セミナーでは、調査分析の結果を踏まえたこれまでの訪日状況の振り返りと、今後期待される体験についても紹介されました。

中国人がこれまで訪日旅行中に行った体験については、マンネリ化が進行しており、買い物など、定番であったほとんどの項目のスコアが軒並み下がっていることがわかりました。

一方、今後の訪日目的としては、温泉入浴、大衆料理を楽しむ、高級レストランを体験するなどの項目が買い物を上回っており、体験重視の傾向が一層強まっています。特に、「四季の体感」と「スキー・スノーボード」の意向は顕著に増加しており、季節ごとの特別な体験を求める傾向が表れています。

ウィンタースポーツは中国でもブームとなっており、セミナーでは、ウィンタースポーツにおける訪日中国人の動向についても解説されました。

関連記事:中国で「氷雪経済」が発展 日本のスノーコンテンツの現在地と今後の可能性は?

▲今後訪日時の目的 過去の訪日時体験との比較:セミナー資料より
▲今後訪日時の目的 過去の訪日時体験との比較:セミナー資料より

詳しい内容はセミナー動画で公開中

ここまで、セミナーで紹介された内容をもとに、訪日中国人に関するトレンドや、インバウンド戦略についてご紹介しました。

より詳しい内容を知りたい方は、ぜひセミナー動画をご覧ください。

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<参照>

JNTO(日本政府観光局):

観光庁:インバウンド消費動向調査

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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