観光庁村田長官が就任後初会見、香港「予言」動向・宿泊予約トラブル問題・参事官新設などに言及

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観光庁の村田 茂樹長官は7月16日、就任後初の定例記者会見を実施しました。

冒頭、同日発表された日本政府観光局JNTO)訪日外客統計、および観光庁 インバウンド消費動向調査の結果について報告。2025年6月の訪日外客数は338万人で、前年同月から伸び率8%増を記録し6月として過去最高に。上半期累計では2,152万人と、過去最速で2,000万人を突破しました。また、2025年4-6月期の訪日旅行消費額は2兆5,250億円となり、これも四半期として過去最高を記録しています。

さらに長官は、就任後の抱負に加え、香港市場を中心とした「予言」の動向、旅行予約サイト・Agodaにおける宿泊予約トラブル問題、観光庁に7月1日付で新設された「参事官(旅行振興)」の狙いなどについて、それぞれ所感を述べました。

観光庁の村田 茂樹長官 定例会見
▲観光庁の村田 茂樹長官 定例会見:訪日ラボ撮影

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村田長官の就任後初会見、今後の抱負は

2019年〜22年の3年間に観光地域振興部長、観光庁次長を務め、2025年7月1日付で観光庁長官に就任した村田氏。抱負について問われると「消費額15兆円の政府目標に向け、来年3月の基本計画の改定などの重要課題にしっかりと取り組んでいく」とした上で、注力したい事項については「持続可能な観光地域づくり」「地方誘客の促進」の2点を挙げ、「好調なインバウンドの流れを確固たるものにしていく」としました。

また前長官の秡川氏からは、観光立国推進基本計画の策定に加え、観光庁の働き方改革を進めるよう引き継ぎを受けたことも明かし、「(秡川長官からの)バトンを受け継ぎ、観光産業の一層の発展のために誠心誠意取り組んでまいりたい」と述べました。

インバウンド経済効果は「四半期で5兆円」好調な訪日客数・消費額に対する受け止めと見通し

長官は、訪日外国人消費額の概ね2倍とされる「訪日観光の支出がもたらす経済波及効果」について、「4-6月期の波及効果は5兆円程度」としました。

また、好調な訪日客数の背景として堅調な訪日需要や航空便の回復、消費額が伸びた背景としては中国からの訪日客数の回復や欧米豪をはじめとする好調な客数、平均泊数の増加を要因に挙げ、「力強い成長軌道に乗っていると受け止めている」としています。

今後の見通しについては明確な言及を避けたものの、7月以降多くの市場において訪日旅行者数がピークとなる時期を迎えることについて、「7月は夏の学校休暇等があり、年間を通じても多くなる時期。観光需要が高まることが期待される」と所感を述べました。

香港からの訪日客数33%減…「予言」による旅行動向の変化について

「7月に日本で大災害(震災)が起きる」という噂が広まり、特に香港市場を中心に訪日旅行のキャンセルが相次ぎました。6月の香港からの訪日客数は前年同月比33%減となっており、来月発表される7月の数値が気になるところですが、一方で「予言の日」とされた7月5日が終わり、旅行が少しずつ再開されているとの報道もあります。

長官は、香港における旅行状況について「大地震が起こるという噂が広まり、旅行のキャンセルが生じた。一部の航空会社では減便を行なっている会社があると承知しているが、経済状況など総合的に判断した結果と考えている」とした一方で、「(7月5日以降に)旅行商品の販売キャンペーンを実施している旅行会社や、香港消費者からの問い合わせが大きく増加している会社も見受けられる」と状況の変化について言及しました。

また、風評被害を払拭するための対応については「地震の予知については、内閣府・気象庁から困難であると繰り返し発信している。観光庁としては5月にJNTO香港事務所を通じて、『公的機関による科学的な発信を参考にする』よう発信した」とした上で、「絶対にこれをやればよいと言う解決方法があるわけではない。今回を教訓に考えてまいりたい」と述べました。

Agodaにおける宿泊予約トラブルの問題について

旅行予約サイト・Agodaにおいて、予約した部屋が確保されていない、通常の料金よりも高い値段で販売される、などの予約トラブルが発生し、一部ホテルが注意喚起を行う事態に至りました。

長官は「利用者の声が寄せられていたことから、3月からトラブルの改善を申し入れてきた。6月から第三者サプライヤー経由の販売を停止したほか、AIを活用した監視システム、サプライヤーへの監視強化を公表したことと承知している。観光庁としては引き続き予約トラブルの発生、改善策の進捗の確認を続けていき、必要に応じて適切な対応をとっていく」としました。なおAgodaは7月15日付で、予約トラブルの原因となった事業者との取引を停止したことを公式サイトで明らかにしています。

また長官は「一般消費者に対しても、利用規約や約款、問い合わせ先をあらかじめよくご確認いただくよう、一層の注意喚起を行なった。引き続き進めてまいりたい」としました。

なおAgoda以外のトラブルについては「現時点ではAgoda以外の事業者において同様のトラブルがあるというのは承知していない。今後利用者からの声が多いということになれば、Agoda以外の予約トラブルに対しても適切に対応してまいりたい」と述べました。

「参事官(旅行振興)」新設の狙いについて

観光庁は、2025年7月1日付で「参事官(旅行振興)」を新設しました。

この狙いについて問われると、「インバウンドをこれから進めるにあたり、相手国との双方向の交流を進めていくことが極めて重要。国際相互理解の増進による友好関係のさらなる進化や、航空ネットワークの維持拡大にも資する」としたほか、「人手不足が高まっている。観光人材の確保育成を協力に推進する必要がある」として、参事官新設はアウトバウンド促進と観光人材確保育成を目的としたものであるとしました。

北海道における統合型リゾート(IR)の誘致について

統合型リゾートIR)について、北海道への誘致の声があがっています。観光庁北海道でのIR誘致の可能性をどう見ているかについて問われると「IR整備法上、(認定は)自治体の発意に基づき行われる。観光庁自治体自治体が選定した事業者に基づいて判断する立場であることから、特定の地域のコメントは差し控えさせていただきたい」としました。また、自治体からの申請期間についても「現時点で決まったスケジュールはない」としました。

IR整備の経済効果については、「カジノだけではなくMICE施設、ホテル商業施設等が一体で整備される、滞在型観光の拠点。地方創生にもつながる」と期待感を示しました。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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