JNTO、韓国・サウジ・ブラジルで訪日プロモーション強化 二国間の周年を記念

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日本政府観光局JNTO)は7月23日、メディアブリーフィング(メディア向けの報告会)を開催。

インバウンド観光をめぐる最近の動向や、二国間関係の節目を契機とした訪日プロモーションMICEに関する取り組みなどについて説明しました。

関連記事:前回(4月)のメディアブリーフィング

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インバウンド観光をめぐる最近の動向について

はじめに、インバウンド観光をめぐる最近の動向について、日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏より説明がありました。

▲日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏:訪日ラボ撮影
▲日本政府観光局(JNTO)理事 出口 まきゆ氏:訪日ラボ撮影

訪日客数・消費額・宿泊数で好調が続く

6月の訪日外客数については337万7,800人となりました。また上半期の累計は2,151万8,100 人となり、2024年を370万人以上上回るとともに、過去最速で2,000万人を突破しました。

中国については、引き続き2024年を上回っており、回復基調が続いています。東アジア3市場および東南アジア6市場は2024年同月をほぼ上回る水準で推移しており、欧米豪市場も2024年同月を上回る水準となっています。

観光庁が発表している訪日消費額については、2025年4-6月期は2兆5,250億円(前年同期比18.0%増)で好調でした。また宿泊者数については、三大都市圏の宿泊者数だけでなく、地方部でも増加傾向にあると述べました。

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二国間関係の節目を契機とした訪日プロモーションについて

続いて、二国間関係の節目を契機とした訪日プロモーションについて説明がありました。

韓国:国交正常化60周年

まずは海外プロモーション部の小島氏より、日韓国交正常化60周年を契機とした訪日プロモーション事業について説明がありました。

韓国交正常化から60周年を機に、6月から1か月間で日韓4空港において、双方の国民の入国審査優先レーンが設置されていました。

JNTOは同取り組みの周知として、韓国語公式Webサイト上での紹介や、現地旅行フェアにおける宣伝活動を実施したと述べました。

またJNTOでは、日韓両国のさらなる友好の促進に貢献するため、「日本のおすすめ小都市60選」を選定し、小都市の魅力を発信することで、地方誘客につながる取り組みを実施する予定です。

小都市(소도시 / ソドシ)は韓国語で地方都市のことを指します。「未発見の魅力を探したい」という旅行者の需要を表すワードであり、近年の訪日旅行におけるトレンドの一つだとしています。実際に韓国NAVERでは、「日本 小都市」の検索ワードが年間8万件を超えるなど、高い関心が集まっているようです。

また今回の取り組みでは、小都市にインフルエンサーを招請し、キャンペーンの周知を図るとしています。そのほかにも、特別イベントの開催やトークショーなどを実施し、選定した小都市と周辺地域への訪問意欲を高めていくとしました。

なお、小都市の選定については、人流データの分析や各都道府県との調整をもとに決定していくとのことです。

関連記事:日本と韓国、4空港で優先レーンを設置して入稿審査時間を短縮 6月に実施

サウジアラビア:外交関係樹立70周年

続いて、海外プロモーション部の熊野氏より、日・サウジアラビア外交関係樹立70周年を契機とした事業の実施について説明がありました。

JNTOでは、高付加価値旅行者の誘致促進に向け、GCC6か国(アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート)とトルコ、イスラエルの計8か国を重点市場としています。

なかでもサウジアラビアは、GCCにおいて最大の人口規模となっており、2024年の訪日客数は約1万7,000人でした。現時点ではサウジアラビアと日本を結ぶ直行便はないものの、訪日客数は継続的に伸長しています。

また現在開催されている大阪・関西万博の次に、2030年にサウジアラビア・リヤドにて万博の開催が決定していることもあり、これまで以上に日本への関心が高まっているとしています。

熊野氏はサウジアラビアについて、今後の伸びしろが多く残されている市場だと述べました。特にほとんどが訪日初心者であることを踏まえて、日本の伝統文化体験を通じた地方誘客を図るとしています。

ブラジル:外交関係樹立130周年

熊野氏は続いて、日・ブラジル外交樹立130周年を契機とした事業の実施について説明しました。

2024年の訪日ブラジル人は8万5,609人で前年比69.3%増となり、大きく増加しました。ブラジルには日系移民が多く、日本への関心が高まっているとしています。

とはいえブラジルと日本の間には直行便の就航がなく、地理的距離の問題から移動時間が長時間となるため、ブラジル人にとって日本はラグジュアリーな旅行先という認識があるようです。

JNTOは、ブラジルの旅行者に向けた取り組みとして、ブラジル最大の都市サンパウロのジャパンハウス*に常設の観光PRデスクを設定し、来館者のニーズにあわせた観光情報を提供しています。

また世界最大級の日本の祭典である「サンパウロ日本祭り」出展し、日本の地方の魅力や大阪・関西万博についても積極的にプロモーションを実施したとしています。

旅行会社向けの事業としては、大使公邸での訪日観光セミナーを実施したほか、ブラジル最大の旅行博「ABAV EXPO2025」に出展予定だとしています。どちらも外交関係樹立130周年を契機とした、初めて実施する取り組みです。

*ジャパンハウス…対外発信の強化に向けた取り組みの一環として、外務省が世界3都市(サンパウロ、ロサンゼルス、ロンドン)に設置した対外発信拠点。日本に関するさまざまな情報をまとめて入手できるほか、レストランやショップなどの商業スペースも設置。

MICE・国際会議の傾向について

最後に、MICEプロモーション部の直井氏より、ICCAランキングと国際会議の傾向について説明がありました。

MICEとは、「M:Meeting(企業などの会議)」、「I:Incentive Travel(インセンティブ旅行)」、「C:Convention(国際会議)」、「E:Exhibition&Event(展示会・見本市)」の総称です。インバウンドの文脈では、こうしたイベントを目的とした訪日旅行の形態およびその旅行者を指す言葉としても使用されます。

MICEの開催によって高い経済効果が見込まれるほか、ビジネス機会の創出、ブランド力の向上、交流人口の平準化など、さまざまな効果が期待できます。

日本をはじめ世界各国でMICEを経済戦略の手段の一つに位置づけており、日本政府は国際会議開催地として2030年までに「国際会議の開催件数世界5位以内、アジアで最大の開催国」となることを目標にしています。

既報の通り、ICCA国際会議協会)によると、2024年における日本の国際会議件数は428件で、前年に続き世界7位となりました。

また分野別の国際会議の開催件数については、全世界では医学分野が最も多い一方で、日本で開催される国際会議はテクノロジー分野が最も多く、開催件数は世界で2位となっています。

また、アジア太平洋地域では2位以下を大きく引き離して1位となっています。三大都市圏以外の地方都市における開催件数が2023年比で28%増加しており、開催件数の押し上げに寄与しています。

JNTOMICE誘致の取り組みの一つとして、「MICEアンバサダープログラム」を実施しています。同プログラムでは、MICEを戦略的に誘致するため、産業界や学術分野において、国内外への影響力を持つ人をMICEアンバサダーとして任命しています。

MICEアンバサダーは、主に以下のような活動を実施しているとのことです。

  • 国際会議などの誘致・開催に向けた促進活動
  • 日本国内における国際会議の開催意義に関する普及啓蒙活動
  • 会議開催地としての日本の魅力を世界に発信する広報活動

MICEアンバサダーは現在66名が任命されており、JNTOとしては大都市圏のみならず地方部においても選定することで、地方開催を促進しているとしました。

また国際会議の誘致・開催におけるベストプラクティスを表彰する「国際会議誘致開催貢献賞」を実施し、功績を称えることで開催件数の増加を目指しています。

ほかにも直井氏は、MICE専門国際見本市への出展や情報発信などを通じて、MICEの地方開催を推進していく方針を示しました。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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