11月免税改正は「インバウンドの転換点」 Oceanが目指すショッピングプラットフォームの形とは

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今年11月、訪日外国人旅行者向けの免税制度は、これまでの店頭での即時免税から、後日返金となる「リファンド方式」に移行します。

インバウンド業界に大きな変化をもたらすことが予想される今回の変更について、「日本の観光体験をアップデートする絶好の機会」と捉えるのが、免税ソリューションを展開する株式会社Oceanです。

訪日ラボは、代表取締役 星野 遼氏に取材し、制度改正への所感や同社が描くビジョンについて話を聞きました。

関連記事:11月の免税制度改正、何が変わる?事業者の本音を取材

▲株式会社Ocean 代表取締役 星野 遼氏:Ocean提供
▲株式会社Ocean 代表取締役 星野 遼氏:Ocean提供

制度改正は「転換点」 インバウンド業界のDX進める機会に

ーー過去に訪日ラボが免税対応の担当者へ制度改正について取材した際には、「不安が大きい」という声が聞かれました。星野さんは、今回の改正について、どのように捉えていますか。

業種業態や立場によっていろいろな意見がありますが、事業者の方と話していると、たしかに多くの方が今回の改正をネガティブに捉えていると感じます。

市場全体で「こうすれば良い」というスタンダードがないからこそ、どうすれば良いかわからないのだと思います。統一されたプラットフォームがないことで、訪日客はそれぞれの店舗で免税申請のための情報登録をする必要があり、手間に感じて利用を控えるということも考えられます。そうしたことも、事業者にとっては課題ですね。

一方で、個人的にはポジティブな側面もあると思っています。現在、事業者は買い物後の顧客接点をほとんど持てていません。しかし今後は、制度上、決済情報などの入力が必須になるため、来店後にも確実な接点が持てるようになります。

ーーOceanでは、今回の改正を「日本全体のインバウンド消費構造を再設計する転換点」と表現していましたね。

小売業界では、これまでアナログでサービスを提供してきた事業者が多く、特に中小企業は人手不足もあり、キャッシュレスを進めるだけでも一苦労でした。

リファンド方式では、出国時に空港で持ち出し確認を受けたうえで、免税分が返金される仕組みになります。ただ、現金で受け取りたい場合は、混雑しがちな空港で、カウンターやATMなどで追加の手続きが必要になってしまいます。

中国大陸や韓国台湾など、デジタルに慣れている訪日客は多く、「並ぶのが嫌だからキャッシュレス」となる可能性も十分あります。そうすると、事業者はキャッシュレスに対応せざるを得なくなるでしょう。

今回の改正は「半ば強制的にデジタルにアップデートするタイミング」であり、業界全体にインパクトを与える出来事だと思います。そうした意味では、前向きに捉えられる側面もあります。

日常で使うアプリから免税申請 購買データは集客に活用

ーーOceanが提供するソリューションについて、具体的に教えてもらえますか。

私たちが提供する「Ocean Tax Refund」は、訪日客免税対象商品を購入した際に、オンラインで返金申請ができるサービスです。

リファンド方式に移行した際、観光客側のペインとしては「免税方法がわからない」「面倒で不便」などがあります。

一週間程度の旅行のために、わざわざ専用アプリをダウンロードしたくありませんよね。そのためOceanでは、中国ならWeChatミニプログラム、台湾タイ韓国ならLINEミニアプリと、その国や地域で普段使われているサービスからの申請を可能にしています。

想定しているプロモーションとしては、まず旅マエの段階において、海外のSNSOTAを通じて「免税制度が変更されたので、事前に登録しよう」という発信を行います。そして訪日旅行中の店頭では、二次元バーコードが載った販促物を設置し、購入後にそれぞれのツールで読み取ることでWeChatLINEなどに遷移してもらいます。

訪日客はそこでユーザー登録を行い、パスポートや返金受取口座などの情報を入力します。空港では、事前登録した口座に指定した通貨で返金されます。

▲Oceanのリファンド申請の流れ(訪日客側):Ocean提供
▲Oceanのリファンド申請の流れ(訪日客側):Ocean提供

ーー店舗には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

店舗側では、免税販売におけるインフラ導入フェーズは過ぎていて、今は「付加価値として何を提供できるか」というところに移っています。

Oceanでは、海外OTASNSなどと連携し、キャンペーンやクーポンなどを効率的に配信することで、送客支援を行います。また、免税販売によって購買情報のデータがたまることで、店舗でのデータの分析や一人ひとりのパーソナライズができるようになります。

既存のソリューションが使いづらい事業者や、これまで免税をやってこなかった事業者が使うことも考えられます。「アプリ一つでできて、意外と簡単でお金もかからないから始めてみよう」という方もいるため、それは嬉しいですね。情報不足でこれまで対応できていなかった事業者にも、使いやすいものを作りたいです。

▲Oceanの免税手続きの流れ(店舗側):Ocean提供
▲Oceanの免税手続きの流れ(店舗側):Ocean提供

店舗のポテンシャル最大化し、インバウンド消費を促進

ーー単なる免税対応ではなく、いかに訪日客・店舗のペインをなくし、集客できるかが考えられているんですね。インバウンド市場全体で消費を活性化させていくためのビジョンはありますか。

買い物代の金額は中国大陸が圧倒的に多いですが、リピーターが多い台湾香港韓国などの消費も高めていきたいと思っています。

リピーターは東京、大阪などの都市部だけでなく地方にも訪れる傾向にあるため、加盟店を増やして地方への導線を作ることで、地域での消費を促進したいです。

日本には、まだ海外の方に十分に知られていない地方の名産や、魅力を秘めた事業者が数多く存在しています。

私たちは、「ポテンシャルのある事業者の魅力を発信しなくてはいけない」というミッションを感じています。LINEWeChatを始めとした海外で使われているスーパーアプリOTAなど、さまざまなプラットフォームと連携することで、都市部だけでなく、地方の店舗への送客を支援したいです。

また、個々の事業者だけでなく、地方の自治体DMOなどとも提携し、地域全体の消費を促進できればと思います。

ーー最後に、サービスに込めた想いを教えてください。

2024年の調査では、インバウンド消費(8.1兆円)の3割を買い物代が占めています。これだけ大きな市場に対して、ホテルならAgoda、アクティビティならKlookといった、代表的なソリューションがショッピングにはないと思い、以前から注目していました。

私たちが本当にやりたいことは、免税対応ではなくショッピング全体にあります。今回の免税改正をフックに、観光客の買い物に関する情報格差を埋め、「海外旅行に行ったらOcean」と言ってもらえるプラットフォームにしたいです。

日本発で世界中に広く使われているインターネットサービスは、残念ながらまだ多くありません。Oceanは、そうした現状を打開し、日本発で世界に通用するプラットフォームへと成長させていきたいと考えています。まずは訪日インバウンド市場からスタートし、将来的には海外展開も見据えながら、日本を代表するグローバルプラットフォームを目指していきます。

<参照>

観光庁:インバウンド消費動向調査

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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