Japan National Tourism Organizationの略称です。海外からの訪日旅行者(訪日外国人)を誘致する活動を行う独立行政法人の日本政府観光局の通称として使われています。正式名称は日本政府観光局国際観光振興機構です。
現在では世界の主要な国々が政府観光局を設置しており、昨今のグローバル化に伴い熾烈な外客誘致競争を展開しています。JNTOは前回の東京オリンピックが開催された1964年に日本の政府観光局として発足しました。その後50年間にわたって訪日外国人旅行者の誘致に取り組んできた日本の公的なインバウンド専門機関です。
JNTOは、全世界に海外事務所を21箇所持ち、インバウンド対策として日本へのインバウンド・ツーリズム(外国人の訪日旅行)のプロモーションやマーケティングを行っています。
JNTOの活動
海外広報宣伝事業
JNTOは、日本観光の魅力を海外に広報・宣伝し、訪日外国人旅行者の増加を促進するために以下の事業を進めています。
- ビジット・ジャパン事業
- ビジット・ジャパン事業(略称:VJ)は、訪日外国人旅行者の増加を目的とした訪日プロモーション事業です。ビジット・ジャパン事業の推進のため、JNTOの各海外事務所が、担当市場の最前線で中核的な役割を担っています。
- 海外現地メディアを通じた広報宣伝活動
- JNTOは、海外事務所を活用し、各地域の訪日意欲の促進を目的として以下の戦略を実現しています。
- 現地メディアに、日本を観光地として認知してもらい、訪日を促す広告を掲出し、メディアとの継続的な関係を構築、さまざまな働きかけを行う
- 日本の魅力を紹介する記事を現地メディアに掲載
- 訪日旅行を題材とした現地テレビ番組の作成
- 良質な訪日旅行ガイドを現地で出版
- JNTOは、海外事務所を活用し、各地域の訪日意欲の促進を目的として以下の戦略を実現しています。
- 訪日ツアーを企画する現地の旅行会社による訪日旅行ツアーの企画・販売の促進、現地旅行会社・航空会社との共同キャンペーン
- JNTOは、各地域にある海外事務所を活用して、現地で訪日ツアーを販売する旅行会社や航空会社に働きかけをして、共同広告やキャンペーン、訪日ツアー企画・開発支援(情報提供、招請事業の実施等)、人材育成・研修等を行い、各地域から日本への送客促進に努めています。
- 海外各地位への日本の観光情報発信
- JNTOは、各国から「Japan」で検索するとトップにヒットするように13言語のJNTO公式ウェブサイトを運営しています。その他、8言語のFacebookなどのSNS、旅行博覧会や現地関連団体との連携イベントや、Eメールなどによる情報提供を通じて、海外各地域の外国人に対して、観光情報の提供を行っています。ウェブサイトはスマートフォンにも対応しています。
- オフラインでは、各国語での日本観光の宣伝パンフレットや英文地図を作成し海外各地域で大量配布しています。
- JNTO公式ウェブサイトに、8000点の写真素材を収録した「JapanPhoto Library」を公開し、一般向けに提供しています。
- マンスリーWEBマガジン(記事広告)を多言語で作成し、皆様の海外プロモーションのためのスペース提供もしています。
訪日外国人旅行者受入体制の強化
JNTOは、訪日外国人旅行者の受入体制を強化するために以下の事業を進めています。
- ツーリスト・インフォメーション・センター(TIC)での情報提供
- JNTOが運営するツーリスト・インフォメーション・センター(総合観光案内所。略称:TIC)では訪日外国人に対して、英語・中国語・韓国語での旅行案内、外国語観光パンフレット・地図の提供、電話問い合わせに対する観光情報の提供を年中無休で行っています。
- JNTO認定外国人観光案内所ネットワーク
- JNTOは、観光庁が定めた「外国人観光案内所の設置・運営のあり方指針(平成24年1月)」に基づき、新たな外国人観光案内所の認定制度をスタートしました。外国人受入体制が整った地方自治体や観光関連事業者等が運営する観光案内所を、JNTO認定外国人観光案内所として認定して、ネットワーク拡充を推進しています。2019年3月時点で認定外国人観光案内所数は1,046か所となっています。JNTOでは、JNTO認定外国人観光案内所どうしでの情報交換・共有化を進め、サポートを実施しています。その他、外国語版JNTOウェブサイトや海外事務所を通じてJNTO認定外国人観光案内所ネットワークの情報を海外にPR。外国人旅行者による利用の促進をはかっています。
- 受入体制の整備
- JNTOでは、訪日外客数の増加を図るために、地方自治体や民間企業と連携して、さまざまな形で外国人旅行者をサポートし、国内の受入体制の整備をすすめています。訪日外国人の言葉の壁による不安や不便を解消するため、「善意通訳普及運動」を推進しています。また、外国人受入・接遇研修へ専門講師を派遣したり、指さしで訪日外国人と日本人とがコミュニケーションできる「外国語会話筆談集」の作成・配布したりしています。さらにJNTOは、標識・表示等の多言語化、Wi-Fi(ワイファイ)環境の改善、海外で発行されたクレジットカードに対応可能なATMの整備、ムスリム訪日旅行者の受入環境整備などに関して、関係者への働きかけを行い、訪日外国人が旅行しやすい環境の整備を図っています。
- 通訳案内士試験の実施
- JNTOは、観光庁の代行機関として、国家試験である通訳案内士試験を毎年度実施しています。訪日外国人に対し、彼らの母国語で観光案内を行うプロの通訳ガイド(通訳案内士)は、外国語に堪能なことはもちろんのこと、日本の地理や歴史、産業、政治、経済、文化について幅広い知識をもっていることが必要です。通訳案内士の資格を得るためには、通訳案内士試験に合格し、各都道府県に登録することが必要です。通訳案内士試験の選択外国語は10か国語あり、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語から選択できます。
MICE(マイス)の誘致
JNTOは、国際会議等のMICE(マイス)の誘致を強化するために以下の事業を進めています。MICEの開催は、地域に大きな経済波及効果をもたらすため、インバウンド消費の促進に必要不可欠なインバンド対策です。その他、ビジネス機会・イノベーション創出の促進や、日本の各都市の競争力・ブランド力の向上にも貢献します。
- 誘致支援活動の展開
- MICEの誘致には、一般の観光旅行誘致とは異なるノウハウが必要です。JNTOはMICE誘致のナショナル・センターとして、ニューヨーク、ロンドン、ソウルにMICE誘致専任職員を置き、会議開催地としての認知度向上、誘致のための情報収集やセールス活動を活発に行っています。海外におけるコンベンション専門見本市への出展や、国際団体本部等へのセールス、開催地決定に影響力を持つキーパーソンの日本の候補都市への招請等の事業を実施しています。また、国際会議の誘致を検討している団体等に対し、「国際会議誘致マニュアル」の提供や、誘致から開催支援、運営までの幅広い業務に関するコンサルティング業務も行っています。