普段の生活以上に移動の多い旅行時には、より使い勝手のいい交通機関が必要とされます。特に日本語に不慣れな訪日外国人観光客にとっては、なおさらのことでしょう。
各種交通機関では、多言語対応や案内所の設置、充実化などが進んでいます。しかし、路線バスはまだ対応が進んでいないと言われており、訪日外国人観光客に向けた対策を打ち出していく必要があると思われます。
訪日外国人観光客にとっては、路線バスのどのような点が使いにくいのでしょうか。今回は対策方法の事例とともに、路線バスの現状について見ていきましょう。
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日本の路線バスは、訪日外国人観光客にとってなぜ使いにくいのか
電子マネーで支払いができないことがある
鉄道や路線バスで利用できるSuica、ICOCAなどの電子マネーは広く普及していますが、路線バスでは現金でしか運賃の支払いができない場合があります。
中国をはじめとした訪日外国人観光客の中は、自国内で電子マネーが普及していることもあり、それぞれの国での普段の買い物で電子マネーを使っている人もいます。そのため、そもそも現金を持ち歩く習慣がないことから、日本旅行中において、特に細かいお金を用意しなければならない路線バスの支払いでは、日本人以上に不便さを感じると思われます。
地域によって、路線バスの運賃の支払い方法が異なる
運賃を受け取る乗員がいて、その人に渡す、乗員が集金に来る、事前に切符を購入するなど、バスの料金の支払い方は地域によって異なります。海外旅行者がトラブルを起こしやすいポイントで、訪日外国人観光客も例外ではありません。
鉄道、路線バスの乗り継ぎ方法が分からない
鉄道と路線バスを併用すれば、移動範囲が拡大し、より旅行を楽しみやすくなります。また、鉄道以上に路線バスが使われている地域もあります。しかし、平成21年10月、日本政府観光局(JNTO)が発表した「『訪日外国人個人旅行者が日本旅行中に感じた不便・不満調査』報告書」では、鉄道からバスへの乗り換え方法を調べるのが難しいという訪日外国人観光客の声が取り上げられています。日本人の中にも、路線図や時刻表を見るのが苦手で、調べるのに時間がかかってしまう人は多いのではないでしょうか。
路線バスの環境整備:訪日外国人観光客向けの改善策
自国とは料金の支払い方が異なる、鉄道との乗り継ぎ方法が分かりにくいなどの難点を持つ路線バス。訪日外国人観光客の集客に向け、どのような対策が行われているのでしょうか。
乗車トラブルを防ぐ掲載物、コミュニケーションボード
2016年4月22日、西東京バスは、一般路線バスでの「訪日外国人向け英語案内」を制作し、運用を開始したことを発表。路線バスの乗車トラブルに対応したものとなっています。なお、同社の路線バスは、東京都西部、隣接する山梨県を運行しており、奥多摩方面に向かう1~2割の乗客は訪日外国人観光客とのこと。
乗車口付近には、英語と写真で整理券などの使い方を説明するステッカー、車内には運賃の支払い方法、支払額を説明するポスターを掲載。また、訪日外国人観光客の質問に答える際、運転手が併用する「コミュニケーションボード」を用意しています。よくある質問に対する解答などが英語で書かれており、運転手が指し示しながら会話できるようになっています。
小銭のいらない乗り放題チケット
西日本鉄道は、福岡市内の一般路線バス全線が1日乗り放題になる「福岡市内1日フリー乗車券」を2016年6月に発売。訪日外国人観光客の増加を受けたもので、日本語、英語、韓国語の3ヶ国語を記載したものと、日本語、簡体字、繁体字のものが用意されています。路線バスを利用するたびに現金を用意する必要が無いので、移動の多い訪日外国人観光客には重宝されそうです。
また、博多、太宰府間を運行するライナーバス「旅人」の1日乗り放題チケットのセット販売も行われます。
アプリで訪日観光をトータルサポート
昭文社による無料観光アプリ「DiGJAPAN!」は宮崎交通の協力により、宮崎エリアの各種情報を2016年3月から掲載。バス停番号や位置、時刻表、モデルルートなどを掲載しており、訪日前から路線バスの使用を前提とした詳細な旅行プランが立てられるようになっています。また、オフライン環境下で、最寄りのバス停情報を取得することも可能です。宮崎県の観光スポット、特産品、ワイファイ(wi-fi)スポット情報も発信し、訪日観光をトータルにカバーしています。
まとめ:今後も訪日外国人観光客向けの改善策を実施か
訪日外国人観光客に限らず、旅行者を集客するうえでは、分かりやすく利便性の高い交通機関はきわめて重要です。訪日外国人観光客が使いやすい路線バスの環境づくりは、さまざまな地域で行われているものの、十分と言える状況ではありません。
鉄道でも、都心部などでは「駅構内が複雑で分かりにくい」「乗り換え方法が分からない」などの不満があがっています。インバウンドビジネスに向けた交通機関の整備は、引き続き実施されると思われます。
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