年々その客数を増やし続ける訪日外国人観光客。その受入環境整備として急務と言われているのが多言語対応です。特に観光するにあたって公共空間での案内掲示物の多言語化は、訪日外国人観光客が快適に訪日旅行をするために非常に重要となるでしょう。
しかしながら、単純に案内をいくつもの言語で表示して多言語化すると、表示がごちゃついてしまい却ってわかりづらいものとなってしまします。デザインと利便性の共存、そのソリューションとして2016年8月にリリースされたのが銀座交通デザイン社の「XPANDコード」です。スマホをかざすだけで看板を多言語化してくれるという「XPANDコード」とは、どのようなものなのでしょうか。
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
「XPANDコード」とは:バーコードでサインの多言語化拡張が可能
XPANDコードとは、スマートフォンをかざすだけで看板を多言語化してくれるものです。QRコードやバーコードなどと同様、スマホでスキャンすることで機能します。
XPANDコードはサインや看板、案内に最適化されたコードです。サインなどに提示されたXPANDコードをスマホでスキャンすると、多言語対応・個人別最適化(パーソナライゼーション)、バリアフリー/ユニバーサル対応した情報を表示させることができます。
「XPANDコード」をリリースした銀座交通デザイン社とは
銀座交通デザイン社は公共交通企画デザインや工業製品企画デザイン、多言語対応・ウェブ開発を手掛ける2000年創業、2002年設立のデザイン会社です。
2006年から鉄道駅向け旅客案内デザインに参画し、近年では東京メトロの多言語された案内サイネージ「新型行先案内表示器」のデザインを担当しています。この「新型行先案内表示器」については、東京メトロのキャンペーン「すすメトロ!」でもプロモーションされています。
<関連記事>
東京メトロ ドラえもんを起用し、訪日外国人対応を紹介するキャンペーン「すすメトロ!」を展開
2016年2月、アメリカ版ドラえもん「DoRaEMON」が日本に逆輸入されたことが話題になりました。アニメ「ドラえもん」の公式なアメリカへの輸出は比較的遅く2014年のこと。しかしながら、アジア諸国では1990年代から輸出スタートし、最も知名度の高い日本のキャラクターの1つに数えられます。東京メトロのキャンペーン「すすメトロ!」ー東京メトロより引用そのドラえもんを起用した東京メトロのキャンペーン「すすメトロ!」が2016年4月1日からスタートしました。そして2016年7月1日からキャンペー...
「XPANDコード」導入のメリットは
それではXPANDコードは何が優れているのでしょうか。そのメリットを◯点ご紹介します。
その1:貼るだけでサインが多言語対応になる
XPANDコードは、サインや看板、案内に貼るだけでサインが多言語対応になります。そのため、現状のサインなどのデザインを大幅に変更することなく多言語化対応できます。
その2:訪日外国人観光客をはじめとした利用者は、簡単に多言語化された情報を受け取れる
XPANDコードは専用のアプリを必要としません。スマートフォンのWEBブラウザで「xpand.codes」にアクセスし、表示される手順に従ってサインに貼られたコードを読み取るだけで母国語表示などの拡張されたサインの情報を受け取ることが出来ます。
その3:サインデザインを損なわず導入可能
現在日本でスマートフォンによるコード読み込みで主力なのはQRコードです。しかしながら、視認性が重要となるサインはサイズが大きく、したがってQRコードも読み取り可能なサイズにするにはサインの大幅な面積が必要となってしまいます。そのため、デザインに縛りが生じてしまい、またQRコードそのものもデザイン性が良いものでもなく、サインのデザインが台無しになってしまうことも。
XPANDコードは細長いスリット状のコードになっています。これにより、読み取りに必要な面積を確保しながら、サインのデザインを損なわないようになっています。また、一定の範囲内なら縦横比・配色を自由に変えられる仕様となっており、よりサインのデザインに調和するように設計されています。
今後の展開は?
現在は、XPANDコードはベータ版でありコードの配布は行っていません。XPAND公式ウェブサイトによれば、2016年末には無料作成やダウンロードが可能になるとのこと。
現状では建設・建築関連など、サイン計画・サイン施工を行う企業を対象に、コードから表示システムまでの導入サービスを提供しています。
また、XPANDコード関連商品として「XPANDサイン」を販売中。店舗や施設向けに、「飲食禁止」や「火気厳禁」「禁煙」などといった汎用的なサインをステッカー形式で販売しています。XPANDサインにも、もちろんXPANDコードが表示されており、スマートフォンで読み取ることで、より詳しい情報を配信できます。
サービス概要
サービス名 |
XPANDコード |
リリース日 |
2016年8月16日 |
サービス概要 |
公共サイン向け多言語化拡張サービス |
提供会社 |
銀座交通デザイン社 |
URL |
https://xpand.codes/web/ |
まとめ:多言語化対応の新しい形、普及なるか
XPANDコードは、現在スマートフォンを使って読み取らせるコードとして普及しているQRコードのデザイン性の悪さを解決するおもしろい取り組みだと思います。また、QRコードと同様に利用が無償である点を考慮すると、その利便性の高さから普及する可能性は大いにあるのではないでしょうか。
懸念点といえば、XPANDコードの利用方法が訪日外国人観光客に周知されるまでの期間でしょうか。しかしながら、これも時間の問題かと思われます。QRコードも1994年に日本で生まれ、2000年には各規格化、現在では海外でも普及しています。現在の訪日外国人観光客の増加を見るに、日本でのサインに普及すれば、その利用方法についても自然に広まっていくのではないでしょうか。
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!