阪神電気鉄道株式会社のグループ会社である六甲山観光株式会社が運営する「六甲オルゴールミュージアム」が主に中国語圏からの訪日外国人観光客の間で話題となっています。ニュースリリースでも訪日外国人団体の誘致への取り組みが紹介されていました。
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年々増加する中国語圏を中心とした訪日外国人団体観光客の来館 今年度も前年度比2,5倍の伸び
六甲オルゴールミュージアムは神戸市灘区に位置するオルゴールを主に扱っているミュージアム。2013年から中国語圏を中心とした訪日外国人団体観光客に人気の観光地になっています。同社のニュースリリースに添付してあるグラフを見てみましょう。
ここ数年から多数の訪日外国人観光客を獲得してきたことがわかります。2015年には12,200人と過去最高の訪日外国人観光客数を記録。今年に目を向けても4-6月の段階で昨年度同期間の来館数である800名の2,5倍である2100人を記録しています。
そんな、六甲オルゴールミュージアム。多くの訪日外国人団体観光客を引き付けるためにどのようなインバウンド対策をとっているのでしょうか?
免税システムの導入、多言語化などをベースとしたインバウンド対策の実施
六甲オルゴールミュージアムからのニュースリリースを確認してみましょう。訪日外国人観光客の集客増加のためにいくつかのインバウンド対策をとっていることが確認できます。
免税店登録、免税システムの導入:買い物時における利便性の向上
各種オルゴール等を販売している館内の売店では、2015年7月から免税システムを導入しています。これにより、訪日外国人観光客にとってスムーズな買い物が可能になりました。さらに政府の発表により2016年5月に免税対象金額が5,000円以上に引き下げられたことで、利用も急増しているそうです。免税手続きの簡略化、対象額引き下げによって多くのインバウンド収益をあげています。
外国語対応のサービス拡充:英語、中国語を中心にあらゆる言語への対応を進める
英語・中国語・韓国語による公式ページ運営、館内サインの英語表記を行っています。オルゴールコンサート時の多言語(英語・中国語・韓国語)での字幕表示も実施。外国語対応可能なスタッフの確保も含め、外国語対応サービスに関してはこれからも拡充に努めていくとしています。
成功の最も大きな理由は海外の旅行会社への売り込みか:ターゲットを団体観光客へ。知名度向上、ターゲット地域の拡大
大手観光サイト「Trip Advisor」や訪日台湾人観光客に人気のメディア「樂吃購(ラーチーゴー)」の六甲オルゴールミュージアムのレビュー欄を見てみましょう。意外にも中国語圏からの個人訪日外国人観光客の書き込みが少ないことがわかります。ここから確認できるのは六甲オルゴールミュージアムでは冒頭でもご紹介したように団体観光客を主にターゲットにしているということです。
プレスリリースをみてみるとこんなことが書かれています。
近年、台湾や香港、韓国などへ営業スタッフを派遣し、現地の旅行会社に直接セールス活動をしており、ここ数年は、タイ・インドネシア・マレーシアなど東南アジアにもエリアを拡大し、誘致を強化しています。六甲オルゴールミュージアム ニュースリリースより引用
より多くの訪日外国人団体観光客を呼び込むために海外の旅行会社にむけたプロモーション活動も行っていることがわかります。
積極的な海外への売り込み+体験型プログラムの好評が追い風に 背景にはトレンドの変化が
六甲オルゴールミュージアムではオルゴールの組み立て体験を訪日外国人に提供しています。1600円から参加可能で、実際に職人による指導を受けながらオルゴールを作ることができます。ニュースリリースでは、この「オルゴール組立体験」が訪日外国人観光客からの人気を博していることが確認できます。積極的な中国語圏を中心とした訪日外国人団体観光客を取り込むための海外旅行会社への売り込みに体験型プログラムがうまくマッチしている形です。
「爆買い」のイメージから「コト」よりも「モノ」への強い関心を示す傾向にあると考えられる中国語圏からの訪日外国人観光客。今回、実体験という「コト」が人気を集めている背景とは何なのでしょうか?
「爆買い」から「体験」への変化。ニーズに応じたサービスの提供
今回のニュースリリースによると、六甲オルゴールミュージアムは中国語圏からの訪日外国人観光客のニーズを上手く汲み取って実績を上げてきたことが伺えます。
> 従来、「モノ」に強い関心を示していた中国語圏からの訪日外国人観光客は、徐々に「体験」を重視している模様です。
> 訪日目的のメインであった「爆買い」から「体験」へと変化しつつある中で、併せて行っている組立体験のニーズも高まっているため、今年度も前年を上回る実績(4~6月累計2,100名 対前年+1,300名)で訪日外国人が 来館しています。六甲オルゴールミュージアム ニュースリリースより引用
下記の関連記事でもご紹介した通り、一時流行語にまでなった中国語圏からの訪日外国人観光客による大量購買活動は徐々に収まりを見せています。 中国語圏を中心とした訪日外国人観光客に向け、今回の六甲オルゴールミュージアムのように 「体験を売る」ことでのインバウンド対策は1つの選択肢となってくるでしょう。
<関連記事>
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まとめ:海外旅行会社への売り込み+「体験」を提供することで 主に中国語圏からの訪日観光客の団体誘致に成功。
先述の通り、六甲オルゴールミュージアムでは、インバウンド対策として免税システムの導入、主要言語による外国語対応を行いました。また、訪日外国人団体観光客にターゲットを絞り、海外の旅行会社への積極的な売り込みを実行。 さらに、状況やニーズを汲み取った体験型サービスの提供により主に中国語圏からの訪日外国人団体観光客を誘致したことがわかります。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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