インバウンドマーケティングにおいて、集客施策をするのであれば訪日外国人観光客の生活にも密着しているスマートフォンのシェア率を把握しておくことは重要です。
例えば、訪日米国人観光客向けスマートフォンアプリを作ろうとした際に、iPhone(iOS)とAndroid向けのどちらを先に作るべきか、またはダウンロード施策としてどちらに予算を割くべきなのか、などは各国でのOSシェアを把握していないと判断ができません。
そこで、今回は各訪日主要国でのiPhone(iOS)とAndroidのシェア率の比較、そして人口とスマホ普及率から見るターゲットボリュームについて調査しました。これらを把握することで、例えばタイでシェア率10%を目指すなら何ダウンロード必要、といった目標設定に活用することができます。
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
iPhone(iOS)vs Android:各訪日主要国のシェア率は?
まずはそれぞれの国でのスマートフォンのシェア率を比較してみます。
全体の傾向として、中国やタイをはじめとしたアジア勢はAndroidのシェア率が高く、アメリカなどの欧米系訪日外国人はiPhone(iOS)の保有率が高くなります。
グラフ右端には、感覚的に比較するために日本のシェア率を掲載しています。こうしてみると、日本では際立ってiPhone(iOS)のシェア率が高いことが見て取れます。東アジアや東南アジアでは、Androidは安価な機種が普及していることから、Androidのシェア率がまだまだ高い傾向にあります。日本のiPhone(iOS)とAndroidのシェア率が逆転した格好なので、そのAndroidの普及率を想像しやすいのではないでしょうか。
iPhone(iOS)vs Android:各訪日主要国のユーザー数を比較すると?
それぞれの訪日主要国の人口、スマホ保有率および各OSのシェア率から、iPhone(iOS)とAndroidのユーザー数を割り出して比較すると、以下のようになります。
このようにして見てみると、中国の人口およびスマホシェア率によるAndroidユーザーの莫大な数に驚きを隠せません。その数およそ8億ユーザー。また、中国のiPhone(iOS)シェア率は22%弱と比較的低水準でありながら、iPhone(iOS)ユーザー数で比較すると断トツで1位となります。
それでは、人口、およびスマホ普及率から見えてくる各訪日主要国のスマホ事情を見ていきましょう。
各訪日主要国でのiPhone(iOS)vs Android:ユーザー数などスマホ事情
中国
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 13億5312万人 |
スマホ普及率 | 79.00% |
スマホユーザー数 | 10億68,97万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 21.81% |
iPhone(iOS)ユーザー数 | 2億3314万ユーザー |
Androidシェア率 | 76.59% |
Androidユーザー数 | 8億1872万ユーザー |
中国は人口およそ13.5億人を有しており、スマホ普及率は79%です。そのため、スマホユーザー数はおよそ10.7億人と莫大な数になっています。
ただし、訪日中国人観光客向けAndroidアプリを作るには注意が必要です。現在中国ではAndroidアプリストア「GooglePlay」は、中国政府により規制がかかっています。多くの中国人はGooglePlay以外のアプリストアからアプリをダウンロードしているため、通常のダウンロード施策が通用しにくいという実情があります。
ただ、今年始めの報道によれば年内にはGooglePlayの中国版が復活するとの見通しがあり、今後の動向に注目です。
<関連記事>
訪日中国人観光客が愛用するスマホSNSアプリ事情(番外編1):ネット規制のアプリへの影響&ニュースアプリ篇
昨年(2015年)以来、中国経済を語るうえで重要なキーワードとなっているものに「互聯網(フーリエンワン)+」(インターネットプラス)があります。これは中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏が唱えたコンセプトです。
台湾
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 2351万人 |
スマホ普及率 | 82.00% |
スマホユーザー数 | 1928万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 26.56% |
iPhoneユーザー数 | 512万ユーザー |
Androidシェア率 | 72.87% |
Androidユーザー数 | 1405万ユーザー |
台湾は人口およそ2350万人で、スマホ普及率は82%です。スマホ保有者は1930万人ほど。AndroidとiPhone(iOS)のシェア率は中国とほぼ同水準になっています。
台湾では中国本土とは違い、ネット規制がかかっていません。そのため通常通りGooglePlayからアプリをダウンロードすることが出来ます。
香港
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 728万人 |
スマホ普及率 | 79.00% |
スマホユーザー数 | 575万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 37.90% |
Androidシェア率 | 61.12% |
iPhoneユーザー数 | 218万ユーザー |
Androidユーザー数 | 352万ユーザー |
香港は人口およそ730万人で、スマホ普及率は79%です。スマホ保有者は570万人ほどになります。欧米文化が浸透していることもあってか、中華系の国としてはiPhone(iOS)のシェア率が比較的高いことが特徴です。また、香港も台湾同様に中国政府のネット規制を免れています。
韓国
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 5029万人 |
スマホ普及率 | 91.00% |
スマホユーザー数 | 4577万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 20.24% |
Androidシェア率 | 79.47% |
iPhoneユーザー数 | 926万ユーザー |
Androidユーザー数 | 3637万ユーザー |
韓国は人口およそ5030万人、スマホ普及率は91%と、今回取り上げる国の中では1番スマホが浸透しています。スマホ保有者はおよそ4580万人です。
Samsung(サムスン電子)やLG(LG電子)という大手Androidスマホメーカーを有しているだけあり、Androidのシェア率がかなり高水準であることも特徴です。
タイ
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 6796万人 |
スマホ普及率 | 70.00% |
スマホユーザー数 | 4757万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 29.09% |
Androidシェア率 | 69.10% |
iPhoneユーザー数 | 1384万ユーザー |
Androidユーザー数 | 3287万ユーザー |
タイは人口およそ6800万人、スマホ普及率は70%ほどで、今回取り上げる東アジア・東南アジア勢の訪日国の中ではスマホ後進国であると言えます。しかしながら、日本のスマホ普及率は59%であることを考えると、70%という数字がいかに浸透しているか、ということが伺えます。
OSシェア率はAndroid:iPhone(iOS)でおよそ7:3となっています。しかしながら、タイでは地方と都市部でかなりの経済格差があり、訪日観光ができるのは現状都市部に暮らす富裕層が多い、という背景があります。その富裕層に限って言えば、(残念ながらデータはないものの)iPhone(iOS)がかなり普及している、という特徴があります。
アメリカ
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 3億2177万人 |
スマホ普及率 | 72.00% |
スマホユーザー数 | 2億3168万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 53.06% |
Androidシェア率 | 45.25% |
iPhoneユーザー数 | 1億483万ユーザー |
Androidユーザー数 | 1億2293万ユーザー |
アメリカは人口およそ3.2億人、スマホ普及率は意外と低く72%ほどです。スマホ保有者は2.3億人程度。
iPhone(iOS)をリリースするAppleのお膝元ということもあって、iPhone(iOS)のシェア率は53%でAndroidをしのぎます。
カナダ
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 3594万人 |
スマホ普及率 | 73.00% |
スマホユーザー数 | 2624万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 50.60% |
Androidシェア率 | 42.42% |
iPhoneユーザー数 | 1328万ユーザー |
Androidユーザー数 | 1113万ユーザー |
カナダは人口は3600万人でスマホ普及率は73%です。スマホユーザー数は2600万人程度になります。
OSシェア率はアメリカとほぼ同水準で、iPhone(iOS)が約50%で過半数を占めます。また、1999年に世界初のスマホと言われる「BlackBerry」を排出した国というだけあり、BlackBerry OSのシェア率が5%ほどあることも特徴です。
イギリス
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 6472万人 |
スマホ普及率 | 74.00% |
スマホユーザー数 | 4789万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 43.75% |
Androidシェア率 | 46.52% |
iPhoneユーザー数 | 2095万ユーザー |
Androidユーザー数 | 2228万ユーザー |
イギリスは人口6500万人ほどで、スマホ普及率は74%です。スマホユーザーは4800万人程度となります。
今回取り上げる欧米圏の訪日国の中では唯一Androidのシェア率がiPhone(iOS)より高い国です。また、主要スマホOSであるAndroid、iOS以外のシェア率がおよそ10%程度と高水準なことも特徴。その中身はBlackBerryが5%、Windows Phoneが3%程度となっています。
オーストラリア
タイトル | 数値 |
---|---|
人口 | 2397万人 |
スマホ普及率 | 80.00% |
スマホユーザー数 | 1918万人 |
iPhone(iOS)シェア率 | 58.42% |
Androidシェア率 | 39.64% |
iPhoneユーザー数 | 1120万ユーザー |
Androidユーザー数 | 760万ユーザー |
オーストラリアの人口は、その広大な土地の割に少なく2400万人ほど。スマホ普及率は東アジア・東南アジア並に高水準で80%となっています。スマホユーザーは1900万人ほど。
オーストラリアでもiPhone(iOS)の人気が高く、シェア率はiPhone(iOS):Androidでおよそ6:4という構成になっています。
まとめ:Androidの東アジア・東南アジア、iPhone(iOS)の欧米圏
訪日主要国では、スマホ普及率が軒並み70%を超えており、日本の59%と比較するとかなりスマホが浸透していることが伺えます。特に東アジア・東南アジアでは90%を超える国もあり訪日プロモーション・インバウンド対策にスマホを絡めることは必須といっても過言ではありません。
全体の傾向として、東アジア・東南アジアではAndroidのシェア率が高く、おおよそ70%ほど、欧米系訪日国ではiPhone(iOS)が優勢で50%程度のシェア率となっているのが特徴的です。
日本のスマホ事情(普及率59%、iPhone(iOS)シェア69%)というのは、訪日主要国でのスマホ事情と比較するとかなり特殊です。そのため、日本での感覚でスマホを活用した訪日プロモーション・インバウンド対策をすると足元をすくわれかねません。それぞれの国の数値を把握することで、効果的な対策ができるのではないでしょうか。
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
<データ参照>
- 人口
- UN, World Population Prospects: The 2015 Revision
- 台湾に限り中華民国統計資料網参照
- スマホ保有率
- Consumer Barometer with Google(2016)
- スマホOSシェア率
- Statscounter(2016年1月〜9月)
<関連記事>
訪日外国人に人気のSNSまとめ:中国、台湾、香港、韓国のアプリストアランキング
訪日外国人観光客に効率よくアプローチをしていくためにはSNS戦略が重要になります。それでは、各国のアプリストアではどのようなSNSアプリやメッセージアプリが人気なのでしょうか?今回はAppAnnieというアプリストア分析ツールを使って、東アジア各国(中国、台湾、香港、韓国)のApp Store(iPhoneアプリのマーケット)とGoogle Play(Androidアプリのマーケット)でのSNS関連アプリTOP5をまとめました。Google Playの集計については「SNS」と「メッセー...
訪日外国人に人気のSNSまとめ:タイ、米国、豪州、英国のアプリストアランキング
先日「訪日外国人に人気のSNSまとめ:中国、台湾、香港、韓国のアプリストアランキング」として、東アジア各国のSNSの人気アプリのランキングをご紹介しました。今回は、その続編として、タイ、米国、豪州、英国のアプリストアでの人気SNSランキングをご紹介します。今回もAppAnnieというアプリストア分析ツールを使って、各国のApp Store(iPhoneアプリのマーケット)とGoogle Play(Androidアプリのマーケット)でのSNS関連アプリTOP5をまとめました。Google ...
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!