日本は、増え続ける訪日外国人観光客の受け入れにおいて、「外国語対応」や「荷物保管場所の増設」など、未だに多くの課題を抱えています。
その一方で、外国語対応に関しては、以前ご紹介した「接客指さし会話」や「スマイルコール」など、一般企業による新たな訪日外国人観光客向けサービスが提供され始めています。
また、「荷物保管場所の増設」においては、国土交通省による、具体的な計画案も出されており、訪日外国人観光客受け入れ環境の整備へ、官民一体となったインバウンド対策が、少しずつ進んでいることがわかります。
大手電機メーカー「パナソニック」と大手旅行会社「JTB」でも、協業でインバウンド向けサービス開始することを発表しています。
訪日外国人の「手ぶら観光」の促進へ 国交省「手ぶら観光カウンター」を大幅に拡充 地方におけるインバウンド効果に期待
平成28年8月17日の発表によると、国土交通省は訪日外国人観光客の「手ぶら観光」を推進するため、整備や機能強化をおこなう民間事業の2次募集を行っています。認定された事業には国から経費の1/3が支給される予定です。これから整備が進んでいくであろうインバウンド対策「手ぶら観光」。一体どのようなシステムなのでしょうか? 手ぶら観光・受け入れ環境整備で注目浴びる「荷物預かり」サービスについてより詳しい資料のダウンロードはこちら 「荷物預かり」の資料をDLして詳しく見てみる [cta_toc_...
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
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「JTB」と「パナソニック」が協業でインバウンド向けサービス開始:「多言語案内」と「手ぶら観光」促進へ
2016年8月31日の、大手電機メーカー「パナソニック」によるプレスリリースによると、パナソニックと大手旅行会社「JTB」は、協業で訪日外国人観光客の観光を支援するため、「JAPAN FITTER」と「LUGGABE-FREE TRAVEL」の2つのサービスを開始すると発表しました。9月から試験導入し、2016年度中の商用化を目指します。
これらのサービスは、訪日外国人観光客の旅行情報などを、管理する両社のプラットフォーム「Traveler Relationship Management」として提供されるとのこと。
では、この2つのサービス。具体的にどのようなものなのでしょうか?順に説明していきます。
「JAPAN FITTER」:訪日外国人観光客向け多言語案内サービス。4か国語で観光情報を提供
「JAPAN FITTER」は、多言語対応の観光案内サービスです。タブレットとマイクから構成され、日本語の音声が、外国語で音声と文字で翻訳されます。対応言語は日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語。
「JAPAN FITTER」では、飲食店や、観光地、交通機関などの観光地情報の提供を行っており、JTBの提供する旅行商品の検索、購入も可能となります。
観光立国ショーケース(*)にもなっている、長崎・雲仙の宿泊関連施設や、JTBと提携している全国各地のホテル、旅館等、全国27か所で、実用化に向けた実験も既に行われており、今回のサービス開始に踏み切りました。
*観光立国ショーケース: 訪日外国人旅行者を地方へ誘客する際のモデルケース。北海道釧路市、石川県金沢市、長崎県長崎市が、選ばれている。
「LUGGAGE-FREE TRAVEL」:訪日外国人観光客の「手ぶら観光」を支援するサービス。配送はヤマトホールディングスが担当
「LUGGAGE-FREE TRAVEL」は、訪日外国人観光客の「手ぶら観光」を支援するサービス。手ぶら観光とは、文字のごとく訪日外国人観光客が訪日旅行時、荷物を持たずに観光することを指します。
訪日外国人観光客にとって、大きな荷物などを持ったまま旅行をするのは、大変不便です。しかし、ロッカーなどの一時保管場所は、全国各地で不足しており、確保が難しいというのが現状。
今回、「JTB」と「パナソニック」が共同で開発した「LUGGAGE-FREE TRAVEL」は、「JTB」の提供する旅行商品を利用することで、併せて手荷物配送サービスにも申し込みができるというもの。
旅行案内書に添付されているバーコードを、空港やホテルのカウンターで専用端末のカメラに、読み取らせることで、送り状が印刷され、訪日外国人観光客の荷物の配送が可能になります。
配送は、ヤマト運輸株式会社などを傘下に持つ「ヤマトホールディングス株式会社」が担当。
同社がこれまで培ってきたノウハウを生かし、訪日外国人観光客にとって、より便利で快適な訪日旅行が、実現できるようインバウンド事業を進めていくとしています。
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きっかけは2015年のインバウンド事業での協業合意
「JTB」と「パナソニック」の訪日外国人観光客向け新サービス開発、背景には2015年の、インバウンド事業における協業合意があります。
2015年6月22日のパナソニックのプレスリリースによると、パナソニック株式会社は、株式会社JTBと、観光分野で新たな事業創出と、商品開発を目的に協業を開始すると、発表しました。
JTBの持つ観光分野での知見やノウハウと、パナソニックの持つ技術とを組み合わせることで、訪日外国人観光客受け入れ環境の整備に貢献していくとのこと。
今回の「JAPAN FITTER」と「LUGGAGE-FREE TRAVEL」は、その一環の事業として、開始されたことがわかります。
まとめ:「電機メーカー」×「旅行会社」。異なる業界同士によるインバウンド対策に期待
先述の通り、大手電機メーカー「パナソニック」と大手旅行会社「JTB」という異なる業界に属する企業が、共同で行うインバウンド対策には、大きな可能性があるといえます。
それぞれの企業が、それまで培ってきた知見や技術を掛け合わせ、補完しあうことで、新たなインバウンド事業の創出につながることが予測できます。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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