訪日外国人観光客が急増しており、インバウンド市場が拡大して嬉しい半面、日本のホテル・旅館などの宿泊施設や小売店、飲食店などを悩ませるのが多言語対応です。やはり「インバウンド対応」といったら真っ先に思いつくのが多言語対応であり、近年翻訳サービスなどが続々と登場していたり、政府が言語教育に対する補助金を出したりしています。
人力翻訳Gengo:高品質&低価格で言語の壁を破る翻訳サービス、FITの増加で高まる需要
訪日外国人観光客の旅行形態が「団体旅行」から「個人旅行(FIT)」に変遷しつつあります。これは、主に訪日中国人観光客といった中華圏訪日外国人観光客の「爆買い」をしていた層が「体験」を訪日目的にする、というシフトが起こっているためだと思われます。団体旅行客の割合推移 出所:観光庁 消費動向調査観光庁が発表する「訪日外国人消費動向調査」によれば、団体旅行で訪日する割合は全地域で25.6%(平成27年通年)から22.3%(平成28年4-6月期)に減少、団体旅行での訪日が多いと思われている訪日中国...
観光案内所の多言語対応、スタッフ教育などの費用を一部補助する制度:地方への訪日外国人観光客流入を目指す
観光庁は6月20日~7月20日まで「訪日外国人観光客旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金」の公募を行っています。訪日外国人観光客が利用しやすい観光案内所づくりを推進するもの。地方での消費拡大を目的に、無料公衆無線LAN環境の整備、多言語対応などの一部経費を支援します。訪日外国人観光客の誘致に向けた取り組みを行っている地域にとっては、大きなメリットがあるのではないでしょうか。今回はこの制度の詳細をご紹介します。 目次訪日外国人観光客旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金とは?訪日外国人観光...
特に、満足度基準にコミュニケーションが重要になるホテルや旅館などの宿泊施設にとっては、多言語対応は急務とも言えます。しかしながら、多言語対応といっても、ビジネスとしてやるからには、「どの言語からはじめるか?」と優先順位をつけなければなりません。
今回は、主にホテル・旅館などの宿泊業の方向けに各国の平均宿泊数と訪日外客数からみる「本当に対応すべき言語」についてご紹介します。もちろん、宿泊施設だけでなくても、「どの言語を優先的に対応するべきか?」という疑問の解決に活用いただけます。
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国籍・地域別平均宿泊日数は?
それでは、まずは国籍・地域別に平均宿泊日数を見ていきましょう。
全訪日外国人観光客の平均宿泊日数は7.3泊です。TOP17までが平均値を上回っており、1位のベトナムは18.6泊しています。しかしながら、この数値は日本での長期研修が影響しており、実際にはホテルや旅館などの宿泊施設を利用した宿泊数は、もっと少なくなります。
訪日外客数を考慮した「総宿泊数」および使用言語での比較
平均宿泊数が長い国の言語を優先的に対応するのは早計です。なぜならば、いくら平均宿泊日数が長い国であっても、その国からの訪日外客数が少なければ、対応するかしないかの判断をするボリュームゾーンは小さいままだからです。また、国によって公用語が2種類以上あることもあり、どの言語を優先すべきかを考えるのは若干複雑になります。
「総宿泊数」とは:平均宿泊日数×訪日外客数
今回は、そのボリュームを測るために「総宿泊数」という単位で考えてみましょう。
総宿泊数とは、上のイメージ図のように、各国・地域の平均宿泊日数に訪日外客数を乗じたものです。これを用いることに寄って、ホテル・旅館などの宿泊施設はもちろん、飲食店や小売店なども「この国・地域の訪日外国人観光客と接遇する可能性」を測るための指標になります。
国籍・地域別の総宿泊数を比較
まずは、今回取り上げる国や地域の2015年の訪日外客数を見てみましょう。
こちらは訪日ラボでも何度かご紹介している数値ですが、2015年は訪日中国人観光客が500万人、訪日韓国人観光客が400万人、続いて訪日台湾人観光客が368万人、訪日香港人観光客が152万人と、TOP5を東アジア勢が占める結果となりました。
続いて多いのが訪日米国人観光客が103万人、訪日タイ人観光客が80万人となっており、訪日外客数だけでみると「中国語と韓国語が最優先」というように見えます。
しかしながら、平均宿泊日数と訪日外客数を加味した総宿泊数を見てみると、特に訪日韓国人観光客の全体に対するボリュームがかなり下がったことが確認できます。また、訪日台湾人観光客や訪日香港人観光客においても同様の傾向が見られます。
これは、訪日韓国人観光客などは、地理的な要因から日帰りや週末旅行で訪日するため、平均宿泊日数が比較的短いためです。ちょうど、日本人が週末海外旅行として台湾や韓国に旅行に行くのと同様の感覚です。
逆に、ボリューム比重が増したのが訪日米国人観光客です。訪日米国人観光客などの欧米系外国人は、「せっかくはるばる日本まで来たのだから」という心理が働いているのか、平均宿泊日数が長めの傾向があります。また、訪日米国人観光客は、単純に訪日外客数においても、全体のなかで5位につけているため、総宿泊数で見たときには、存在感がより大きくなります。
言語別で見る延べ総宿泊数
それではいよいよ、どの言語を優先的に対応していくべきかを見ていきましょう。それぞれの国の公用語から、言語別延べ総宿泊数を算出してみます。
例えばシンガポールのように公用語が、英語、マレーシア語、タミル語、中国語普通話と4つあるような国の場合、それぞれの言語に訪日シンガポール人観光客の総宿泊数を加算しています。そのため「延べ」総宿泊数としています。
シェア率を見てみると、やはり訪日中国人観光客を筆頭とした中華系訪日外国人観光客の延べ宿泊数が多いため、シェア率46.7%で半数弱を占める結果に。また、その次に続くのが英語でシェア率23%を占めます。
まとめ:中国語と英語をおさえれば訪日外国人観光客の75%に対応可能
言語別延べ総宿泊数では、訪日中国人観光客の外客数パワーもあって第1は中国語でした。ランキングでは
- 中国語:46.7%
- 英語:23.0%
- 韓国語:9.8%
- タイ語:4.0%
という結果に。そのため、中国語と英語の言語対応をしておけば、全訪日外国人観光客のおよそ75%には対応可能となります。
しかしながら、中国語においては口語(喋り言葉)では公用語でおおよそ通じますが、文語(書き言葉)では、中国本土では簡体字、香港・台湾では繁体字が使用されているので注意が必要です。
また、東南アジア系訪日外国人観光客に対しては、「訪日できる所得がある≒ある程度の教育を受けている≒英語を第2言語として習得している」場合が多いので、おおよそ英語で対応可能です。
以上のことから、自ビジネスがターゲットとしている訪日外国人観光客と、全体の使用言語割合から考えて、対応する言語の優先順位付けを考えていくと良いでしょう。
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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