「ユニバーサルツーリズム」という言葉をご存知でしょうか? 年齢や障害などの有無にかかわらず、すべての人が楽しめるように整備された旅行を意味しており、障害に焦点を当てて「バリアフリー観光地づくり」と表現されることもあります。
日本は世界でも類を見ないほどの急激なスピードで高齢化が進んでおり、以前から観光の「ユニバーサルデザイン化」が必要視されていたのですが、2020年東京オリンピック、パラリンピックに向けてさらなる動きを見せています。今回は、なぜ今「ユニバーサルツーリズム」が注目を集めているのか、観光関連業者にはどのようなメリットがあるのかなどについてご紹介します。
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ユニバーサルツーリズムとは?:国内旅行者向けの取り組み
ユニバーサルツーリズムが注目される理由のひとつは前述の通り、国内の少子高齢化。平成10年代から関連団体が活動を行っており、少し調べれば旅行会社各社による旅行商品がいくつも出てきます。高齢化は現代日本を象徴する社会の変化として以前から知られていただけに、観光関連業界に浸透しているようです。
現在のユニバーサルツーリズムを取り巻く状況を「公益財団法人 ちゅうごく産業創造センター」が平成27年(2015年)に発表した資料「高齢化社会におけるユニバーサルツーリズムを軸とした観光振興施策の検討調査」から紐解いてみましょう。
タイトルから分かるように、同資料は高齢化問題を主眼に据えた内容になっています。推計によれば、日本の人口減少に伴い、国内旅行市場は平成22年(2010年)をピークに徐々に縮小。その一方で、ユニバーサルツーリズムの市場は2040年あたりまで拡大し続けます。平成32年(2020年)には、国内市場の4割以上に当たる3兆円を越えるようになる見込みです。現在は「ユニバーサルツーリズム」「バリアフリー観光地づくり」と特別な用語が当てられていますが、いずれポピュラーな旅行商品になるのではないでしょうか。
このような見込みとは裏腹に、観光関連業界では「ユニバーサルツーリズムは利益向上につながらない」という見解が多数。今後、需要拡大していくことは明らかであるものの、車いす使用者用のトイレをはじめとした施設の整備はあまり進められていません。また、それらの整備を行っていても、情報として公開していない施設も少なくありません。
高齢者や障害者などの不便を解消するには健常者とは異なる接客、対応が求められますが、バリアフリー、ユニバーサルデザインに詳しい人が少ないという事情も。人材不足のうえ、従業員を育成したくても方法が分からないというケースも多いようです。
訪日外国人観光客を呼び込むなら、ユニバーサルツーリズムが当たり前?
国内旅行を見ると、ユニバーサルツーリズムの実現に向けた取り組みは、ハード面、ソフト面ともにいまいち進んでいない印象を受けます。まだ需要拡大が本格化しておらず、無視をしてもビジネスとして成立してしまうという理由もあるのかもしれません。
しかし、インバウンドビジネスの場合、話が変わります。そもそもユニバーサルツーリズムの対象となるのは高齢者や障害者だけでなく、健康面や行動面で配慮が必要な子供連れ、妊娠中の人、日本の言葉や慣習に不慣れな訪日外国人観光客も含まれるからです。海外からの旅行者をもてなすうえで、ユニバーサルツーリズムは避けて通れない道なのです。
これから国内では高齢者、国外からは訪日外国人観光客が観光業界を潤す存在になるのは間違いないでしょう。観光庁は平成24年(2012年度)から「ユニバーサルツーリズム促進事業」をスタートし、東京オリンピック、パラリンピックが開催される2020年に向け、対応を進めています。また、国内各社が訪日外国人向けに、アプリやパンフレットなどを活用した多言語対応、景勝地やレストランをはじめとした観光スポットの情報提供などを行っていることはご存知でしょう。
ユニバーサルツーリズムへの対応は遅かれ早かれ必要になるはずです。積極的なアプローチをしている事業者はまだあまり多くありませんが、今後、模索していくべきなのではないでしょうか。
まとめ:日本の観光業の未来を作るために、ユニバーサルツーリズムを!
ユニバーサルツーリズムとは、年齢や障害などの有無にかかわらず、すべての人が楽しめるように整備された旅行のこと。国内では少子高齢化により、需要拡大が見込まれています。また、訪日外国人観光客もユニバーサルツーリズムの対象となるため、インバウンドビジネスでは絶対に避けて通れない道です。
国内の人口減少に伴い、観光業全体の市場がしていく一方で、高齢者の旅行者、訪日外国人観光客は今後も増加していく見込みです。いずれも設備や人材などの投資が必要になりますが、”ジリ貧”に陥らないためには積極的にアプローチしていく必要があるのではないでしょうか。
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