鳥取県が平成28年(2016年)10月11日から年内いっぱい、スマートフォンアプリ「鳥取県バーチャル観光ガイド」を使って遠隔地の訪日外国人観光客と会話し、同県の観光関連情報を提供する実証実験を行うことを発表しました。NTTドコモとの協創事業となっています。
類似の取り組みは国内でも多数見られますが、ついに地方自治体が自ら取り組むほど浸透してきたようです。今回は、スマートフォンアプリなどを活用した訪日外国人観光客とコミュニケーションを取るメリット、類似サービスなどについてご紹介しましょう。
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遠隔地から鳥取県の観光関連情報を質問できる「鳥取県バーチャル観光ガイド」
鳥取県の「鳥取県バーチャル観光ガイド」の機能はインターネット電話サービス「Skype(スカイプ)」、ソーシャル・ネットワーキング・サービス「LINE(ライン)」とほぼ同じでテレビ電話、テキストチャットの2種類。訪日外国人観光客が連絡すると、通訳案内士が英語、中国語、韓国語の3か国語で応対し、同県内の観光情報、交通手段などを紹介します。
アプリはAndroid、iOSに対応しており、所有のスマートフォンによる制約はほぼ無いと思って差し支えはないでしょう。利用料金は無料で、遠隔地から「観光地までのアクセス」「おすすめの観光スポット」「どんなご当地グルメが、どこで食べられる?」といった情報を知ることができます。
鳥取県は、これまでにも訪日外国人観光客向けの無料アプリ「TOTTRIP」をリリース。こちらは英語、韓国語、日本語に対応しており、以下のような機能を搭載しています。
- 観光スポット、モデルコースの紹介
- 宿泊施設、グルメ、ショップ・土産、交通などの情報提供
- インターネット決済機能(paypalへの登録が必要)
- 米子鬼太郎空港から宿泊先に荷物を配送するスーツケースデリバリーサービス(有料)
「TOTTRIP」だけでも十分旅行に活用できそうですが、「鳥取県バーチャル観光ガイド」は「テレビ電話による多言語観光ガイド」の実証実験を目的としています。改めてアプリを開発し、「TOTTRIP」ではできなかった取り組みを行おうとしているのかもしれません。
観光案内所、コンビニなどでも類似のサービスを提供
このように遠隔地の訪日外国人観光客に対し、ただ情報提供するだけではなく、コミュニケーションを取ろうとする試みは各所で見られます。利便性の向上につながることから、注目を集めているようです。いくつか事例をご紹介しましょう。
東京と各地をつなぐ「TIC TOKYO」
専用アプリではなく、国際的に利用者の多い「Skype(スカイプ)」を活用しているのは仙台観光国際協会。東京都の観光インフォメーションセンター「TIC TOKYO」を訪れた訪日外国人観光客に対し、東北地方の観光関連情報を提供しています。
「TIC TOKYO」は同様の方法で、東京に滞在している訪日外国人観光客と静岡県伊豆市や新潟県糸魚川市、長野県飯山市をつないでおり、各地の情報をリアルタイムで得られるようになっています。現地スタッフと話せるため、旅行先のイメージが湧きやすくなる効果も見込めるかもしれません。なお、詳細はこちらの記事に掲載しています。
仙台観光国際協会、Skypeを使い東京都「TIC TOKYO」から情報発信:観光案内所同士をシームレスに
仙台観光国際協会が平成28年(2016年)9月1日、仙台市観光情報センター(仙台駅2階びゅうプラザ内)に、インターネット電話サービス「Skype」を使った訪日外国人観光客の案内サービスを開始したことを発表しました。東京都の観光インフォメーションセンター「TIC TOKYO」と連携しており、東京にやってきた訪日外国人観光客に、東北地方の情報を提供する取り組みです。訪日外国人観光客の中には、しっかりとした予定を決めずに日本を訪れる人もいます。というのも、短期滞在ならともかく1週間を超えるような...
7カ国語以上に対応する「多言語対応観光コンシェルジュサービス」
翻訳ソフトなどを手掛ける東京都の企業・クロスランゲージは、24時間365日対応で訪日外国人観光客からの質問に答える「多言語対応観光コンシェルジュサービス」を実施しています。英語、中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語、フランス語、ロシア語の7カ国語に対応しており、さらに他の言語でコミュニケーションを取ることも可能です。この対応言語数は国内最多としており、翻訳、通訳に強い同社の強みを活かしたサービス内容になっています。
企業が導入する場合、訪日外国人観光客が案内する情報ソースを選定し、オペレーターの現地研修を実施。外国語対応のノウハウがない場合でも導入できるよう商品開発されています。
コンビニでも通訳を活用した多言語対応
コンビニ・セブン‐イレブンは平成28年(2016年)8月31日、コールセンターを活用して多言語対応するサービスを開始することを発表しました。遠隔地ではなく、実際に来店した訪日外国人観光客とのとのやり取りを想定していますが、「外国語に対応し、口頭でコミュニケーションをする」というコンセプトは同様です。
なお、大手コンビニでは各国語を記載した指差しシートや商品情報を表示するアプリなどが導入されており、日本語が分からない訪日外国人観光客向けの情報収集手段がいくつも準備されています。対応言語は対応言語は英語、中国語。
まとめ:日本語が分からなくても会話できる環境づくりが進む
鳥取県が10月11日からスマートフォンアプリ「鳥取県バーチャル観光ガイド」の実証実験を行います。現地の通訳案内士が同県の観光関連情報を提供するサービスで、ここ数年、同様のサービスに取り組む観光案内所や企業などがいくつも現れています。パンフレットなどの読み物を用意することでも多言語対応は可能ですが、やはり実際に会話することを重要視している自治体、団体が現れているようです。
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