インバウンド対策で香港人を外国人雇用する際に知っておくべきこと:平均年収や仕事観、国民性について解説

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2016年9月の訪日香港人観光客は約13万人で、前年同月比13.6%増加しています。2016年1月の前年同月比42.5%増でと比較すると、やや失速気味な印象ですが、香港の人口は台湾のおよそ1/3の730万人であることを考えれば、人口比訪日率では台湾や中国を凌ぐほどの訪日観光人気を博しています。

香港は、中華圏御三家(中国、台湾、香港)訪日外国人観光客の中では最も訪日外客数が少ないものの、インバウンド市場のの外客数ベースでは米国を凌ぐ第4位のシェア率を誇ります。

今回は、そのような訪日香港人観光客向けインバウンド対策として、香港人を外国人雇用する場合に知っておくべき国民性や賃金の目安について解説していきます。

 

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香港人を外国人雇用する際に知っておくべき国民性

訪日香港人観光客向けに香港人を外国人雇用する場合、また面接をする際に知っておきたいのが、香港人の国民性です。

香港は、中国の特別行政区という立ち位置ながら、大陸の中国人とは異なる文化、国民性を持っています。そのため、その歴史的背景を知ることが、香港人の国民性を理解する手助けになります。

香港は、1839年に勃発したアヘン戦争、そして1842年に締結された南京条約によって、現在の香港の一部である香港島はイギリスに割譲されました。以降、香港は資本主義国家であるイギリス国の植民地になり、貿易拠点として発展していきます。

その後、太平洋戦争で日本軍が一時的(約3年半)統治するものの、終戦後から再びイギリスの植民地となります。中国はイギリスに対し、香港の主権移譲を求め続けていたものの、内線の勃発などにより、1997年にようやく主権移譲されます。

また、中国に主権移譲されたものの、2047年までは社会主義政策が実施されないことが約束されているため、香港は中国の一部であるにも関わらず資本主義経済を採用する特殊な地域となり、また文化的背景もイギリスの影響を色濃く受けています。

香港人の国民性の特徴は以下のとおり。

  • 植民地としての歴史が長く、中国人としてのアイデンティティは弱い
  • 自他の国の文化や歴史への関心が弱い一方で、エンターテイメントなどへの関心は強い
  • 自立心が強く、周囲の意見に左右されない。好みがはっきりしている
  • 無表情で冷たい印象を受けるが、世話好きな一面もある
  • 個人主義的な考えを持つ
  • 損得勘定をする反面、好きなものにはしっかりお金を使う
  • せっかちで、気が強い

といったように、中華圏文化と欧米圏文化のハイブリット的な性質を持つことが特徴です。

香港人の仕事や会社に対する価値観

香港人の国民性は欧米圏と中華圏のハイブリットであることは前述のとおりです。その特徴はビジネス面でも現れています。

香港は、歴史的に激動の中を生き抜いてきた背景、そしてイギリス統治下の影響により意思決定やリスク管理、効率性といった能力において定評があり、競争心が強い傾向にあります。

また、その歴史的背景からか、国や国民性に対するアイディンティティが希薄な一面があり、個人主義的な考えを持ちます。その一方で、中華圏系の傾向としての年功序列社会的な一面もあり、肩書を重要視する傾向にあります。

中華圏の国らしく「面子」を重要視する傾向にあるため、雇用後についても「面子」には注意が必要です。いわゆる「顔に泥を塗る」ような行為は非常にプライドを傷つけるので、注意や指導が必要な場合は公然の場は避けるようにしたほうがベターです。

以上のことから、マネージメントにおいては、個人個人を尊重するという意味での中立性、そして年功序列社会による服従性の両面に注意を払う必要があります。

 

香港人を外国人雇用する際に知っておくべき母国での平均年収

香港人を外国人雇用するにあたって、募集をかける際、または雇用条件を交渉する際に参考になるのが、母国での平均年収です。

平均年収の算定にあたって、スイスの大手金融機関であるUBSが作成・公表している調査「Prices and Earnings」と、日本の厚生労働省が作成・公表している「賃金構造基本統計調査」をもとにして、香港の平均年収を算出しました。東京の平均年収と比較して見てみましょう。

 
 
2012年
2015年
 
香港
188万円
355万円
 
日本(東京)
 406万円
 460万円

香港は中国主権下にある特別行政区であるため、先進「国」として定義されない場合もありますが、その経済発展性、通貨取引高からいって、先進国同様と捉えて良いでしょう。

2012年の平均年収は188万円にとどまっていたものの、2015年には167万円アップの355万円となっています。東京都と比較すれば、まだ平均年収は少ないものの、他の東アジア諸国(中国、台湾、韓国)の中ではトップ水準となっています。また、まだ経済的発展余地があるので、待遇などについては、ほぼ日本水準が必要と言ってよいでしょう。

なお、東京比で香港の平均年収が低いからといって安易に賃金を低くすることは労基法違反の可能性があります。日本では、労働基準法第3条において、均等待遇の定めがあり、労働者の国籍による賃金などの労働条件に差別をつけることは禁止しています。そのため、日本人と外国人雇用する香港人が同じ業務をしている場合は、賃金を低めにする、といったことはできないので注意が必要です

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<参考>

※UBSの「Prices and Earnings」はニューヨークの平均年収を100として、世界各都市の平均年収を比較。その比較値を東京を100として算出しなおし、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による東京の平均年収と掛け合わせることで各都市の平均年収を算出。同一国に複数都市ある場合は、その平均値を平均年収とする。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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