先日のニュースで、観光庁から2016年の訪日外国人観光客数が2400万人になるとの見解が発表されました。観光庁は、2020年までに4000万人という目標に対しても実現可能との見通しを出しており、今後ますます訪日外国人観光客が増えていくことは確実といっても良いでしょう。
しかしながら、インバウンドの現場レベルでは受け入れ体制の構築、いわゆるインバウンド対応が手付かずのところも多いのではないでしょうか。今回は、前回のGoogle翻訳のアップデートをお伝えした続編として、Google翻訳のスマホアプリをご紹介します。
グーグル翻訳が新翻訳方式GNMTの採用で日→英翻訳の精度が劇的に向上
インバウンド対策と一言で言ってもあらゆる側面を持っています。ターゲットとなる訪日外国人観光客の国・地域別の数値やニーズの把握、それによるマーケティング分析、商品開発、Wi-Fiや多言語対応といったインフラの設備、人材教育ないし外国人採用などなど。その中でも「とりあえずこれから」と始めやすいながらも、意外と壁が高いのが「多言語対応」でしょう。とりあえずWEBサービスで翻訳をしてみたものの、違和感のある英語にとまどった、という経験のある方も多いのではないでしょうか?そんななか、中国語→英語で採...
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
Google翻訳スマホアプリ
先日解説したGoogle翻訳にはスマホアプリ版がリリースされています。iOS(iPhone)およびAndroidに対応。
- iOS(iPhone)→App Store
- Android→Google Play
Google翻訳スマホアプリのアップデートで非常に便利に
Google翻訳スマホアプリの大きな利点は画像からの翻訳が出来ることにあります。2012年に行われたアプリのアップデートにより、撮影した画像からテキストを読み取り翻訳することが出来るようになりました。
カメラで写した文字をオフライン&リアルタイム&ARで翻訳できる「Word Lens」が凄い!
さらに、2015年のアップデートにより「Word Lens」という画像内テキスト翻訳機能が追加されました。この「Word Lens」とは、スマホのカメラで写した文字列をオフライン、かつリアルタイムで翻訳してくれる機能です。AR(拡張現実)技術を利用しており、カメラに写っている文字列に覆いかぶさる形で翻訳文が表示されます。
Google翻訳スマホアプリの機能
さて、それではGoogle翻訳のスマホアプリの機能について見ていきましょう。
通常の翻訳:テキストを入力して翻訳
まずは通常の翻訳です。Google翻訳アプリを立ち上げてテキスト入力欄に任意の言語を入力することで翻訳することが出来ます。
先日の記事でも取り上げたとおり、新翻訳方式GNMTが採用されたことにより、日本語・英語間や英語と中国語をはじめとした外国語間で、より自然な翻訳ができるようになりました。
音声会話モード:マイクに吹き込んだ音声を認識&翻訳
「音声会話モード」は、マイクにむかって音声を入力することで言語を自動認識。ほぼリアルタイムで翻訳することができるので、より会話らしく異言語同士でコミュニケーションをとることができます。
テキストを入力する手間が省けるため、異言語間で会話する際に重宝します。また、他の言語のキーボード設定をする手間も省けるため、とっさのときに活用しやすい機能です。
カメラ翻訳モード:写真に写った文字列をなぞってて翻訳
「カメラ翻訳モード」は、スマホカメラで撮影した写真内にある文字列を認識し、翻訳することが出来る機能です。
対応言語が下記のWord Lensよりも多いため、利用シーンは広めです。また、スマホ内に保存している画像内の文字列も翻訳することが可能。
Word Lens:カメラに写った文字列をARで自動翻訳
「Word Lens」は、スマホのカメラに写った文字列を、オフラインかつリアルタイムに翻訳することが出来る機能です。縦組みの文字にも対応しており、例えば、「烏龍茶」に向けてスマホのカメラをかざすと、以下のようになります。
また、Google BrasilがYouTubeにアップしたこの動画を見ると、この機能の素晴らしさが一目瞭然です。
動画内では英語で書かれたパネルをリアルタイムでポルトガル語に翻訳している様子を紹介しています。アプリのUI(ユーザーインターフェース)が現バージョンより古いですが、コアとなる機能は現バージョンと同様です。
残念ながら現バージョンでは日本語に対応していません。しかしながら、英語に翻訳するのであれば、中国語、スペイン語、フランス語など36言語に対応しています。
Google翻訳スマホアプリのインバウンドでの使用シーン
以上の豊富な入力形式を持つGoogle翻訳スマホアプリ。インバウンドにおいても様々な活用シーンが想定できます。
訪日外国人観光客の接客・接遇
訪日外国人観光客のお客様が持っているガイド本を翻訳できる
インバウンドの現場では、会話でのやり取りの他にも、ガイド本などを見せられて質問される場合もあります。
例えば、訪日中国人観光客のお客様自信は英語や日本語ができるのである程度の意思疎通はできる。しかしながら、中国語で書かれた日本旅行のガイド本を見せられ、「これはどこにある?」と尋ねられた、といったケース。
こういったケースであっても、接客・接遇する担当者がある程度英語を理解できるのであれば「Word Lens」を活用でき、素早い対応をすることが出来ます。また、担当者が英語に明るくなかったとしても、「カメラ翻訳モード」であれば日本語に翻訳することができます。
訪日外国人観光客のお客様に音声吹き込んでもらう
また、接客・接遇する上で対応できない言語で話しかけられたり、英語でも聞き取れないフレーズがあったりした場合、または担当者が英語に明るくない場合には、「音声会話モード」を利用すると良いでしょう。
「音声会話モード」は、ほぼリアルタイムで言語を認識し翻訳してくれるので、訪日外国人観光客のお客様と、より会話らしいコミュニケーションをとることができます。
海外サイト・文献の調査に使える
このGoogle翻訳アプリの最も画期的な点は「カメラ翻訳モード」と「Word Lens」にあると言って過言ではないでしょう。
例えば、訪日外国人観光客の母国サイトを調査しようとした時、テキスト形式で表示されている文字列であればコピー&ペーストで翻訳することが可能です。しかし、画像内に組み込まれた文字列については、その言語を理解していなければなりませんでした。
そのような場合でも「カメラ翻訳モード」や「Word Lens」を利用すれば、Google翻訳が文字列を認識し、テキスト化&翻訳までしてくれます。また同様に、今まで機械翻訳が難しかった本に書かれた文字も翻訳できるため、より深い調査をすることが可能になります。
まとめ:お手軽多言語対応をするならGoogle翻訳が便利
通常の翻訳や、音声会話モード、カメラ翻訳モード、Word Lensなど、翻訳機能だけでなく様々な便利機能をもつGoogle翻訳スマホアプリ。ダウンロードも無料ですので、導入コストもかからない分、お手軽に多言語対応するのであれば非常に便利なツールなのではないでしょうか。
ただし、主要インバウンド顧客の1つであるタイのタイ文字については、カメラ翻訳モード、Word Lensが非対応となります。また、WEBサイトや印刷物向けの翻訳の場合、新翻訳方式GNMTが採用されたとはいえ、訪日外国人観光客にとって読みやすい、自然な翻訳が出来ているかというとなんとも言えないところです。そのため、多数に読まれる文章の場合は翻訳サービスを頼ったほうが良いでしょう。
<参考>
- INTERNET Watch:「Google翻訳」アプリ、撮影画像からの翻訳が日本語・中国語・韓国語に対応
- 気になる、記になる:Google、「カメラ翻訳モード」や「Word Lens」機能を追加した「Google翻訳 3.1」をリリース
- 男子ハック:「Google翻訳」が神アプリに!オフラインでもカメラをかざすだけ翻訳できる機能などを搭載
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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