これからのインバウンドは地方からの底上げが必要不可欠…日本経団連が考える「日本が観光先進国になるために政府が講ずるべき施策」(後編)

これからのインバウンドは地方からの底上げが必要不可欠…日本経団連が考える「日本が観光先進国になるために政府が講ずるべき施策」(後編)

一般社団法人 日本経済団体連合会は、2月14日に「改定観光立国推進基本計画に対する意見」を取りまとめています。

その中から日本経済団体連合会が「政府が講ずるべき」と考えている施策について2回に渡って見ていますが、前回は観光関連産業の成長力強化という内容で、(1)消費の喚起・創造、(2)技術開発・普及促進、(3)規制改革、(4)人材の育成・確保について解説してきました。今回は前回の続きとして、受け入れ体制の整備という内容について解説していきましょう。

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今後のインバウンドの行く末に関わる重要な提言か…日本経団連が考える「日本が観光先進国になるために政府が講ずるべき施策」(前編)

2017年もまだまだこれから先は長いですが、今年度末には観光庁が定める2017~2020年度を主な対象期間とするインバウンド向けの方針「観光立国推進基本計画」が改定されます。[blogcardurl=https://honichi.com/14586]2020年にはご存知、東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されており、日本のインバウンド観光を始めとしたあらゆる産業を取り巻く環境は大きく変化すると予測されています。こうした流れを受けて一般社団法人日本経済団体連合...

インバウンド受入体制の整備について

受入体制の整備については、

  1. 交通インフラ
  2. 大規模MICE施設
  3. 安全・安心の確保について

という3つの項目でまとめられています。

1.交通インフラ

空港・港湾

観光客数の急増に伴う受入キャパシティの拡充は最重要課題であり、特に島国である日本にとって空港と港湾の整備はインバウンド誘客の生命線としています。

また税関、出入国管理、検疫については、より快適な環境の整備が不可欠で、自動化ゲートの普及および事前登録制度の見直し、入国審査官の質的向上、審査ブースの機動的な運用を加速すべきとしています。

二次交通

インバウンド観光客数の増加を各地域での実際の消費へと結びつけるためには、二次交通を整備して、玄関口となる主要駅、空港、港湾等から、観光資源・ショッピングエリアといった「消費を促す場」へのアクセスを改善・充実することが欠かせません。

東京においては2020年の東京オリンピック、パラリンピックが控えており、羽田空港から東京中心部へのアクセス強化を急ぐべきとしています。

クルーズ船が寄港する港湾については、中心街への道路整備に加え、バス等の交通手段や駐車場を十分に確保することが重要となる。二次交通が縮小傾向にある観光地については、自動運転の導入やピーク期間の限定運行等も視野に、交通手段の維持に資する施策を検討すべきとしています。

2.大規模MICE施設

多くの集客交流が見込まれるビジネスイベント(MICE)は、イノベーション・ビジネスチャンスを創出するのみならず、日本の魅力を参加者に体感し、発信してもらうことで、ブランド力を強化する絶好の機会です。

また、国際会議の規模拡大に伴い、世界では10万人規模のMICE誘致をめぐる熾烈な競争が繰り広げられており、日本でも競争力を保つために、大規模MICE施設の整備が課題としています。

3.安全・安心の確保

観光地の主要駅、観光資源付近でのWi-Fi整備を加速し、多言語かつリアルタイムでの災害情報をさらに発信するとともに、外国人対応を想定した防災訓練に注力すべきとしています。

また、登山、自転車、ダイビング等のアクティビティを楽しむ外国人観光客の増加に伴い、事故等に備えた保険加入の徹底や、安全に関わる標識等の多言語化も強化する必要もあるとしています。

 

地域主導による自律的成長について

地域主導による自律的成長という内容については、

  1. 日本版DMOの形成支援
  2. 財源の確保
  3. 東北等被災地における観光の振興

といった項目ついてまとめられています。

1.日本版DMOの形成支援

観光を基盤産業とする地域において、将来に渡り自立的な成長を実現するには、観光資源をフルに活用して、戦略的かつ持続的に交流と消費を呼び込み、「稼ぐ力」を磨く努力が不可欠としています。

日本版DMO(観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人)の形成が進められていますが、これをより一歩進めて、地域の幅広い関係者が参画し、その合意に基づいた観光戦略を策定、実行しうる、良質なモデル的DMOの設立を集中的に支援すべきとしています。

2.財源の確保

地域の持続的な観光地経営が可能となるよう、自治体における宿泊税等の設定、国の財源移譲等により必要な財源を確保することが重要で、上記1.の日本版DMOに関しても、観光資源への入場料、旅行商品や地場産品の販売など、地域の判断に基づき自ら稼ぐ仕組みを構築することが望ましいとしています。

3.東北等被災地における観光の振興

東日本大震災から5年が経過した今も観光客数は震災前の水準を回復したに過ぎず、全国の伸び率には追いついていません。風評被害等の影響も強く残るなか、東北観光地の再生・振興に向けた施策を継続する必要があるとしています。

 

まとめ

日本が観光先進国になるために、2020年までに取ったほうが良いだろうと日本経済団体連合会が考えている施策について、「改定観光立国推進基本計画に対する意見」から前後編で詳細に見てきました。

こうした俯瞰的な視点で日本の観光を取り巻く課題を見ていくと、普段民間レベル、個人レベルでは意識しない課題があるのだという事がよく理解出来ます。民間レベルでもこうした大きな方針を理解し、2020年までにどんな施策が登場するか、法改正がありそうか?など考えて手を打っていきたいですね。

<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!