歯ブラシの袋を透明にするだけでも効果アリ!? 観光庁、宿泊業向けの「カイゼン」事例集を公開

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観光庁は平成29年(2017年)3月27日、宿泊業のいわゆる「カイゼン」のノウハウを紹介する動画、事例集を発表しました。昨年度に日本旅館協会との連携のもと、生産性向上に関するワークショップを行っており、それに参加した宿泊事業者からの報告をまとめたもの。

今回は旅館ホテルなどで活用できる職場環境改善に向けたアプローチについてご紹介します。

 


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労働力不足解消に向け、生産性向上を推進

今回、宿泊業の生産再向上に関する事例集が発表された背景には、平成27年(2015年)6月からスタートした「サービス業の生産性向上協議会」があります。第1回開催時に、安倍総理は「労働力不足の克服のために、生産性向上が重要」だとするスピーチを発表。特に、宿泊業を含むサービス業に関しては「我が国の雇用の7割を担うサービス業は、飛躍的に生産性を高める潜在力を秘めている」と強調していました。

このスピーチの翌年である平成28年(2016年)には、訪日外国人観光客数が2000万人を突破。これは2012年の2倍以上であり、宿泊に利用できる部屋不足が課題視されています。今後も宿泊業の需要拡大は続くことが予想され、それに応えるためにも早急に導入できる可能性がある「カイゼン」に取り組む意味は大きいのではないでしょうか。

 

テーマは人材育成から水光熱費の削減まで

動画のテーマは以下の通り。いずれも10分未満で見ることができ、7本すべて合わせると1時間半程度の内容となっています。

  • 人材育成による一人三役で人手不足解消
  • 作業改善・標準化で人手不足解消[1]
  • 作業改善・標準化で人手不足解消[2]
  • シフト改善で人手不足解消
  • IT化・機械化・道具化で人手不足解消
  • 5S・3定で生産性向上
  • 水光熱費の削減

詳細を理解し、実際に導入するためには動画と合わせて冊子形式の事例集を見るべきかとは思われますが、ここではざっくり把握できるよう動画内容の説明をしていきます。

人材育成による一人三役で人手不足解消

https://www.youtube.com/watch?v=peIl4g7vlC8&feature=youtu.be

「他の業務を手伝わない縦割り意識を解消し、1人2、3役担うことで人手不足を解消する」というアイディア。このためには働き手の能力を可視化し、未習得の仕事を覚える人材育成が欠かせません。

3社の事例が紹介されていますが、いずれもこの際に「スキルチェックシート」を利用。自社の業務を細分化して、それぞれでスタッフの能力を分析することで、客観的に判断を行っています。

作業改善・標準化で人手不足解消[1]

https://www.youtube.com/watch?v=6GiF8bPicSA&feature=youtu.be

業務の見直しや、作業内容の個人差を無くすことで効率を改善。そのためには利用率の低いサービスを撤廃することも必要ですが、サービス品質を下げないための配慮が欠かせません。

  • 歯ブラシの袋を透明にし、中の状態を分かりやすくする
  • 各部屋のアメニティをロビーなどに配置し、管理の手間を省く
  • 運搬作業などには台を使用する

このような小さな工夫の積み重ねが大きな「カイゼン」につながるそうです。また、マニュアル制作はサービス品質の安定化にも効果があります。

作業改善・標準化で人手不足解消[2]

https://www.youtube.com/watch?v=LPBcVA-le7g&feature=youtu.be

「カイゼン」をするためには、まず課題を発見しなくてはなりません。失敗から原因を話し合い、考えることで、作業内容の見直しが可能になります。

また、その結果に即してマニュアルを分かりやすく書き換えたり、スタッフがマニュアル通りに行動できるているのか定期的に確認したりすることも必要です。

シフト改善で人手不足解消

https://www.youtube.com/watch?v=sk7j1TcknRo

シフトの見直しは、人材を適材適所に配置できるようになる効果があります。

このためには、必要な作業時間、人員などを把握することが必要。1人2、3役担えるよう人材育成している場合は、忙しい時間帯だけサポートに入ってもらうということも可能です。

IT化・機械化・道具化で人手不足解消

https://www.youtube.com/watch?v=xNkAl7sJAow&feature=youtu.be

IT、機械などの導入について、低コストで導入できる事例を紹介。

施設各所にタブレットを配置し、LINEで情報共有をスムーズに行う
日報を手書きから、Excelに変更。内容のパターン化がしやすく、見やすさも向上する可能性がある
背負えるタイプの掃除機を使い、机の多い場所での清掃を効率化

5S・3定で生産性向上

「5S」は「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」、「3定」は「『何を(定品)』『どこに(定位置)』『いくつ(定量)』を保管するかを決めること」を指します。

特に出し入れの多い食器をテーマにした内容が多く

  • 片付ける場所をルール化することで、道具の出し入れが簡単になる
  • 片付け時に同じ食器だけをまとめることで、破損しにくく洗いやすくなる
  • 発注数などを、棚に表示する

といった効果が紹介されています。

水光熱費の削減

https://www.youtube.com/watch?v=7_UyQ-eQ0Nc&feature=youtu.be

大浴場、食器洗い場などの水光熱費の削減に関する「カイゼン」方法を紹介。大浴場では、使用量を可視化するシステムを導入した事例が取り上げられています。決して手軽なものではありませんが、年間300万円以上の経費削減につながったとのこと。

また、電気代がかかる食洗機の使い方を見直した事例も。必要なときだけ動かせばいいようにスタッフの行動を改めることで、効果が現れたそうです。

 

まとめ:ちょっとしたことから始められる宿泊業の「カイゼン」

観光庁が、宿泊業で使える生産性向上のためのノウハウを紹介する動画、事例集を発表。人手不足の解消から、経費の削減までテーマは多岐にわたります。コストがかからず、すぐに実践できそうな内容のものも多いので、目を通す価値があるのではないでしょうか。

動画、冊子形式で制作しているので、自分で見たり、会議で紹介したりと、いろいろな形で役立てることができそうです。

 

<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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