昨年2016年は念願の訪日外客数2,000万人超えを果たした日本のインバウンド市場。今年2017年に入ってからも、4月は前年同期比23.9%増、5月も21.2%増と20%以上の成長率を続けており、夏休み・バカンスシーズンとなる7月〜8月には、より一層の期待が寄せられます。
訪日外客数の増加に伴い、必然的にリピーター訪日外国人観光客も増加傾向にあり、また2016年ごろからインバウンド需要の流れが、インバウンド市場全体が体験やサービスを求める「コト消費」にシフトし始めました。この2つの傾向によって注目が集まっているのが 地方誘致 です。従来のインバウンドでは東京、富士山、名古屋、京都、大阪からなるゴールデンルートが中心でしたが、前述の2つの要素により、よりディープな日本旅行を求めた訪日外国人観光客が地方に足を伸ばし始めています。
このようなインバウンドの流れを掴み、市場の更なる活性化を促す取り組みとして、「インバウンド・ジャパン 2017」が7月に開催されます。今回のインバウンド・ジャパン 2017の開催では、この地方に関するインバウンド誘致やブランディングに関する講演・出展が豊富となっており、今回は「地方」に注目して、このイベントをご紹介します。
インバウンド・ジャパン 2017公式サイト:http://expo.nikkeibp.co.jp/ibj/2017/
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そもそも地方誘致・地方創生とは何なのか
今年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」の改定案。「観光立国推進基本計画」とは、 「観光立国推進基本法」にもとづき、インバウンドを含めた日本の観光に関する基本的な方針・目標を定めたもの で、日本のインバウンドに関わる政策や取り組みの方向性を左右する重要なものとなります。
その、2017年改訂版「観光立国推進基本計画」では、2020年目標数値として、訪日外国人旅行者の地方部における述べ宿泊者数7,000万人泊(2016年のおよそ2.5倍) が打ち立てられました。その施策として、農泊を全国500地域で展開することや、古民家などを活用した取り組みを全国200地域に展開すること、また世界水準DMOを100組織形成することなどが盛り込まれています。
日本の地方部は、現在少子高齢化によって衰退の一途を辿っています。新しい産業を生み出すことも難しく、また観光方面でも日本人旅行者を呼び込めず、地方創生は困難を極めると言われていました。そこでやってきたのがインバウンドです。日本人旅行者の集客が難しい地方であっても、訪日外国人観光客にとっては「日本ならではの体験ができる」としてその観光集客の可能性に見込みがあり、また地方創生の解決手段ともなるとして、注目を集めています。
インバウンド・ジャパン 2017の地方誘致・地方創生に関連するコンテンツ
このようなインバウンド、しいては日本全体の課題として注目をあつめる地方誘致・地方創生。インバウンド・ジャパン 2017では、このような流れを捉え、地方誘致・地方創生に関する講演や出展に力を入れています。
インバウンド・ジャパン 2017で行われる地方誘致・地方創生に関連するKEYNOTE
宗像の世界遺産への取り組み
- 講演者:宗像大社 宮司 葦津 敬之 氏
- 講演日時:2017/07/19 10:00 ~ 10:40
世界文化遺産登録は観光資源戦略として非常に重要なものです。宗像という地は古代に海外交易を担った宗像族の拠点であり、その信仰の中心とされた沖ノ島では大和朝廷による国家祭祀が執り行われています。また、沖ノ島は古来より入島が厳しく制限されてきたため、原生的な自然が現在に留められています。これらを背景とした 世界文化遺産登録の取り組み について講演します。
東北の地方創生、人流拡大に繋がるJALの骨太な社会的取り組み
- 講演者:日本航空 取締役会長 大西 賢 氏
- 講演日時:2017/07/19 11:00 ~ 11:40
大手レガシーキャリアの日本航空(JAL)は東日本大震災後、東北地方にさまざまな復興支援を行ってきました。熊本地震の例でもあったように、今後のインバウンドにおいて、訪日外国人向けの防災対策は必要不可欠と言われています。この講演では、JALが取り組む「防災教育ツーリズム」についてピックアップ。この 「防災教育ツーリズム」 によって、東北内外の学生や観光客等の、東北への人流を拡大し地域活性化に貢献していきます。
「観光先進国」の実現に向けた政府の取組みについて
- 講演者:内閣官房長官 菅 義偉 氏
- 講演日時:2017/07/19 12:00 ~ 12:30
冒頭でも触れたとおり、今年3月に「観光立国推進基本計画」の改定案が閣議決定されました。安倍内閣は政権発足以来、観光を我が国の「成長戦略」と「地方創生」の重要な柱のひとつと位置づけ、「観光立国」に向け大胆な取り組みを進めてきました。「観光立国推進基本計画」で打ち立てられた 訪日外客数4,000万人を実現するための政府の戦略と新たな取り組み について講演します。
ANAグループが担う地方創生について
- 講演者:全日本空輸 代表取締役社長 平子 裕志 氏
- 講演日時:2017/07/21 16:00 ~ 16:40
大手レガシーキャリア全日本空輸を擁するANAグループも地方創生に取り組んでいます。グループの事業概要や、2016~2020年度ANAグループ中期経営戦略「ローリング版2017」で目指すもの、ANAグループの資産を活用した地方創生に資する訪日事業の事例紹介や今後の展開、国際機関との連携 について講演します。
インバウンド・ジャパン 2017で行われる地方誘致・地方創生に関連するテーマセッション
2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合 特別セミナー 自治体の悩みを解決!全国自治体企画会議
- パネリスト:
- 三条市長(新潟県) 國定 勇人 氏
- 高野町長(和歌山県) 平野 嘉也 氏
- エアビーアンドビー(Airbnb)登壇者調整中
- ウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)登壇者調整中
- XPJP 代表取締役社長 エクスペリエンス・デザイナー、元気ジャパン 代表理事 ソーシャル・プロデューサー 渡邉 賢一 氏
- 講演日時:2017/07/19 13:00 ~ 14:30
インバウンドにおいて最も期待が集まる2020年の東京五輪。その東京五輪を活用・推進を進める「2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合」の特別セミナーが開催。今回のテーマセッションでは、先進的な取り組みを進める自治体 新潟県・和歌山県と、テクノロジーカンパニーとして民泊プラットフォーム Airbnb(エアビーアンドビー)・自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリを手がけるUber(ウーバー)がクロストークし、新しい地域活性化策 を探ります。
ガストロノミー・インバウンドの未来形〜山形県鶴岡市の選択〜
- パネリスト:
- 山形県 鶴岡市 企画部 食文化創造都市推進課 伊藤 賢一 氏
- 辻調理師専門学校 企画部 メディア・プロデューサー 小山 伸二 氏
- 講演日時:2017/07/20 11:00 ~ 12:00
「食文化」と「伝統文化」を活用したツアーリズムである「ガストロノミーツーリズム」。インバウンドにおける日本食の評価の高さから、注目が集まっています。このセッションでは、ユネスコ食文化創造都市として精進料理や伝承野菜、野草文化などを育む鶴岡市の取り組みについて紹介。「食を目的」型インバウンド の未来像を追いかけます。
JAPAN HOUSE x 地域活性化 = インバウンド拡大の未来図
- パネリスト:
- Chapter White 代表取締役 ホワイト 美佳 氏
- アトミックスメディアForbes JAPAN 副編集長 兼 シニア・ライター 藤吉 雅春 氏
- べにや無何有 女将 中道 幸子 氏
- 講演日時:2017/07/20 11:00 ~ 12:00
サンパウロの開館後、わずか2ヶ月足らずで15万人の来館者を集め、快進撃を続ける外務省のモンスター・プロジェクト「ジャパン・ハウス」。 サンパウロに続きロンドン、ロサンゼルスでの開館を控え、全く新たな切り口による日本の魅力の発信と世界が求めるインバウンドのあり方が拓く地域活性化の未来について、第一線の当事者達が鋭く迫ります。
スポーツによるまちづくり~ホストタウンの取り組みを考える
- 講演(10:00~10:40 講演):
- 内閣官房 東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会 推進本部 企画・推進統括官 多田 健一郎 氏
- パネリスト(10:40~11:40 パネルディスカッション)
- 地域活性学会 副会長 御園 慎一郎 氏
- 慶応義塾大学 システムデザイン・マネジメント研究科准教授 神武 直彦 氏
- 講演日時: 2017/07/21 10:00 ~ 11:40
デジタル解析と外国人視点で高めるインバウンド力~Diamond Route Japan の事例より
- パネリスト:
- 福島県 観光交流局観光交流課 課長 吾妻 嘉博 氏
- 日本オラクル 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 兼 クラウド・アプリケーション事業統括 マーケティングクラウド統括本部長 下垣 典弘 氏
- 講演日時:2017/07/21 14:00 ~ 15:00
公開からわずか2週間で合計1,100万再生超えを果たした福島・栃木・茨城の広域DMO「Diamond Route Japan」のPR動画。このPR動画は、科学的分析と外国人視点での映像表現を重視して制作されました。発注者の福島県、SNSソリューション提供の日本オラクル、プロデューサが登壇し、DMO戦略でのデジタル・マーケティングの重要性 について解説します。
神社仏閣インバウンドの未来 ~伊勢市モデルの可能性
- パネリスト:
- 伊勢市役所 産業観光部 理事 須﨑 充博 氏
- 神社本庁 教化広報部 広報国際課 岩橋 克二 氏
- 日経BP社 社会インフラ研究所 高津 尚悟
- 講演日時:2017/07/21 15:30 ~ 16:30
国内の神社は約85,000社から10万社、寺院は約7.7万社を数えます。参拝やお参りを通じてだけではなく、地域の祭りや風習など、日本中の神社仏閣の存在は私たちの生活様式として欠かせない文化資源です。当プログラムでは 伊勢市の先進事例を通じて神社仏閣とインバウンドの本質的な可能性 について考えてゆきます。
まとめ:地方創生・地方誘致で盛り上がる2017年のインバウンド
冒頭でも解説したとおり、2017年からのインバウンドのキーワードは「地方誘致・地方創生」にあると言っても過言ではありません。 訪日外国人観光客は、よりディープな訪日旅行を求め、また地方は活力を取り戻すためにも積極的なインバウンドに対する取り組みを見せています。
今回ご紹介したKEYNOTEやセッションなどのセミナーのほか、インバウンド・ジャパン2017では地方ブランディング支援を得意とする企業も多数出展します。
なお、セミナーについては予定人数を超えた場合申込みが締め切られてしまうので、興味があるセミナーについては、早めに申し込みをしておくと良いでしょう。ただし、もし事前登録が締切になっていても、当日会場での受け付けで受講できるケースもありますので、会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
問い合わせ
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<インバウンド・ジャパン事務局>
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インバウンドでの事業拡大支援 18,000人来場を見込むインバウンド・ジャパン2017の取り組みとは
2016年のインバウンド市場は訪日外客数にして2,400万人、インバウンド宿泊数にして7,000万人泊を突破し、2020年の東京オリンピックに向けてますます盛り上がりを見せています。こうした好調なインバウンド市場のなかでも、2016年は様々なインバウンドトレンドの移り変わりがあった年と言えるでしょう。2015年に最盛期を迎えた「爆買い」が失速したと言われ始めたのと同時に、インバウンド市場全体が体験やサービスを求める「コト消費」にシフトし始めました。日々激変していくインバウンド市場。このイン...
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2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。
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