地域活性化、インバウンド誘致のモデルケース商店街「戸越銀座商店街」:サイトの多言語化、SNS運用、マナー対策が鍵

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戸越銀座商店街は日本でもB級グルメ、下町グルメの町として人気ですが、近年は訪日外国人観光客がこうした食文化を楽しむ為に訪れており、商店街も新たな賑わいを見せています。しかし同時にポイ捨てなどのマナーの問題も増えてきており、こうした問題に対して商店街連合会は対策を進めています。実際の例を見てみましょう。

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戸越銀座商店街とは

戸越銀座商店街は、東急池上線の「戸越銀座駅」に接する、全長約1.3kmにわたる関東有数の長さを誇る商店街で、商店街沿いに約400の店舗が軒を連ねています。大正12年の関東大震災で壊滅的な被害を受けた東京の下町や横浜方面の商業者たちが、当時発展の著しかった大崎周辺の工場地帯に集まってきたこと、昭和2年に東急池上線「戸越銀座駅」が開業し、それまで散在していた周辺の商店が駅を中心に集まってきたことで、現在の戸越銀座商店街の元になる商業集積ができたといわれています。

戸越銀座商店街は下町情緒あふれる商店街としてメディア等からの注目度が非常に高く、B級グルメや下町グルメの流行の波に乗った「戸越銀座コロッケ」プロモーションを契機として、「食べ歩きの街」、「下町グルメロケの聖地」などと呼ばれ、雑誌やテレビで数多く取り上げられるようになり、全国的にも知名度が高くなりました。

今では、旅行会社が商店街ツアーを組んで観光客を連れて来るようになった他、特に土・日・祝日は広域からお買物目的だけでなく商店街自体に遊びに来る、観光を目的とした来街者が急増しています。近年はこうした人気を受けて訪日外国人観光客にも人気が出ており、訪日外国人観光客の姿も多数見かけるようになりました。

戸越銀座商店街で増えてきたゴミ問題とその対策

戸越銀座商店街には約400の店舗が軒を連ねており、その中で約30店舗がコロッケや焼き鳥など食べ歩きが可能な食品を販売しています。しかしこうした食べ歩きが可能な食品があることで増えてきたのが、ポイ捨てなどのゴミ問題 です。このゴミの中には通常ゴミ以外にも自販機やコンビニで購入したペットボトル、店舗で購入した食品を包装している包装容器などが含まれます。

こうしたゴミ問題に対し、戸越銀座商店街連合会は各店舗にごみを片手に持っている観光客を見かけたら 「ごみをいただきますね」などと声をかけるように要請 しています。8月末からは、観光客が自身でゴミを持ち歩けるようにということで、ペットボトルやごみを入れるショルダーバッグを無料で貸し出す計画とのこと。食べ歩きで戸越銀座商店街を楽しんでもらった後に、ゴミをバックごと回収するということを考えているそうです。

戸越銀座商店街 プレスリリースより

戸越銀座商店街 プレスリリースより

また、商店街を訪れるお客さんには歩きスマホ、歩きタバコを止めてもらうことを呼びかけることも検討しており、日本でも問題意識が広がっている受動喫煙の防止にも取り組んでいくとしています。日本は海外に比べて喫煙のルールが緩く、タバコの価格も安いことから、喫煙者の外国人にとっては天国のような環境ですが、しっかりとマナーを意識してもらう場所ではこうした対策が有効と言えます。

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戸越銀座商店街はウェブサイトもしっかりと外国人対応を意識

戸越銀座商店街 ウェブサイト(ホームページ)キャプチャ

戸越銀座商店街 ウェブサイト(ホームページ)キャプチャ

戸越銀座商店街を訪れる訪日外国人観光客が近年増えていることから、戸越銀座商店街では、公式ウェブサイト(ホームページ)の多言語化もしっかりと整備しています。現状は日本語以外に英語、韓国語、中国語に対応。ホームページにはニュースなどのお知らせのほか、戸越銀座へのアクセス、戸越銀座の歴史、そしてgoogle map上からジャンルごとにお店を探しやすくするといった工夫も見られます。

戸越銀座商店街 ウェブサイト(ホームページ)キャプチャ

戸越銀座商店街 ウェブサイト(ホームページ)キャプチャ

こうした地道な取り組み、日本語ページと同様の情報を伝えようとすること、伝えようとする努力が、外国人目線でのわかりやすさを考えると非常に重要になってきます。

ウェブサイトの多言語化についてより詳しい資料のダウンロードはこちら

戸越銀座商店街のSNSアカウント

戸越銀座商店街は、Facebookページも、しっかりと考えて運用されています。戸越銀座商店街のFacebookページでは、季節ごとのイベント、マナー向上に関する取り組みなどをタイムリーに発信しています。Twitterアカウントに関しては人が関わっている感をあまり受けないのが残念ですが、世界的に見てもTwitterのアクティブユーザーが多い日本において、Twitterアカウントの運用は非常に重要といえるだけに、今後のしっかりとした運用に期待といったところでしょう。

インバウンド集客に直結するSNS対策 についてより詳しい資料のダウンロードはこちら

一般社団法人Tokyo Good Manners Projectと連携

戸越銀座商店街は「グッドマナーでつくろう!日本一住みやすい街」をスローガンに、新たな商店街マナーの向上を目指す「3本の矢」を掲げ、6月21日(水)に今後展開予定の3つの取り組みを発表しています。これは6月21日にオープンした商店街の総合案内所「ほっとスポット戸越銀座」を商店街マナー向上の拠点に、次の3つの取り組みを Tokyo Good Manners Project と共同で実施していくものです。

⑴ 第1の矢: 食べ歩きマナーの向上を促す「とごし食べあるキット」の貸し出し

食べ歩きの際の手の汚れやゴミのポイ捨てを防ぐことを目的として作られた、食べ歩き専用バック「とごし食べあるキット」を無料で貸し出すと共に、手持ちの荷物を預かる新たなレンタルサービスを、とごしぎんざまつりが開催される8月27日よりほっとスポットにて開始(予定)。手ぶらで快適に食べ歩きを楽しんで頂けるだけでなく、食べ歩き後のゴミをキットの返却と共に回収することで、ゴミのポイ捨てを軽減します。

⑵ 第2の矢: 歩きスマホの防止を促す「歩きコロッケカード」の配布

 “歩きスマホより歩きコロッケ” を合い言葉に、食べ歩き以外のながら歩き防止・啓発を目的としてつくられた「歩きコロッケカード」を、6月24日(土)、25日(日)の二日間限定でほっとスポットにて無料で配布。このカードは、商店街内の対象コロッケ店(計5店舗)にて、コロッケ1個と引き換えることができ、戸越銀座商店街らしい美味しく楽しい歩きスマホへの注意喚起を促します。

⑶ 第3の矢: グッドマナー商店街を味わう魅力の打ち出しを図る「泊まれる商店街」の実施

 グッドマナーで “日本一住みやすい街” を目指す戸越銀座商店街の暮らしを、実際に宿泊しながら味わうことのできる新サービス「泊まれる商店街」は、ほっとスポットの上層階を素泊まり可能な民宿スペースとして提供することで新たな商店街の楽しみ方を提案する宿泊サービスです。宿泊者は戸越銀座商店街に無料で宿泊することができ、食事やお風呂などの寝泊り以外のモノコトは、すべて商店街をフルに活用することで楽しむことができます。申し込みは8月下旬より予約受付を予定しています。

まとめ: 戸越銀座商店街は、日本人観光客に向けたPR、マナー意識向上のキャンペーンと上手に連動して外国人観光客への対応を行っている。

訪日外国人観光客への対応というと身構えてしまう場合もありますが、戸越銀座商店街の場合はウェブサイト(ホームページ)の多言語化対応や、マナーに関する啓蒙活動に関しても、自然体で訪日外国人観光客への対応が出来ています。人が関わっているようには感じられないTwitterアカウントの運用など課題はあるものの、多言語サイト、Tokyo Good Manners Projectと連携したマナーに関する啓蒙活動も、自然と訪日外国人観光客を巻き込んだものとなっています。地域の活性化、訪日外国人観光客への対応という意味で、全国の商店街が参考にすべきモデルケースと言えるでしょう。

<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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