観光庁長官も登壇 日仏会館・日独協会共催シンポジウムレポート:観光先進国 ドイツ・フランスに学ぶ観光政策とは?

観光庁長官も登壇 日仏会館・日独協会共催シンポジウムレポート:観光先進国 ドイツ・フランスに学ぶ観光政策とは?

2月24日、日仏会館・日独協会共催シンポジウム「日・独・仏における観光政策とその課題―2020年のオリンピックを控え仏・独より何を学ぶか」が行われました。旅行業関係ではない団体主宰の珍しい催し。

観光庁長官のプレゼンテーションも行われたこのシンポジウムの様子をレポートします。なお、取材には公益財団法人日独協会の出原理事の協力を得ました。

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テーマは日独仏における観光政策とその課題

公益財団法人日独協会の堀田副会長の挨拶では、2020年の東京オリンピックに向けて日本がどのように観光客を獲得していくか、それには観光の先進国であるフランスとドイツに学ぶことが多いと、このシンポジウムの目的が話されました。

かつてドイツは見本市のために行くところ

ドイツ観光局アジア・オーストラリア地区統括局長、日本支局長の西山晃氏は、詳細なデータを示しつつ、かつてドイツへは見本市への参加などの業務渡航が多かったものの、どのように観光客を誘致していったか説明がありました。それには、ドイツのしたたかな観光戦略があります。

▲ドイツ観光局の西山氏

▲ドイツ観光局の西山氏

ドイツの観光業の転換点は「ロマンチック街道」だった

ドイツの観光は 地方分散型 です。日本の有名旅行会社が造成するパッケージツアーのパンフレットには84都市も宿泊地として掲載されています。それだけドイツ各地に日本人が旅行に出かけているというわけです。

この分散型観光の起点となったのは「ロマンチック街道」の発掘でした。訪独日本人観光客の獲得に手をこまねいていたドイツ観光局は、集英社の女性誌『non-no』と組んで、かつての交易路やドイツの田舎町を「ロマンチック街道」として大々的に売り出した ことがあります。さらに、ロマンチック街道沿いの町々は、自分の町だけのためでなく、お互いのために助け合った こともあいまって、このプロモーションは大成功。その後、爆発的にロマンチック街道のツアーの人気が高まり、ドイツの小さな町々に日本人観光客が訪れるようになりました。

ブランディングに力を入れるフランス

フランス観光開発機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏は、流暢な日本語、かつユーモアあふれる語り口で、ブランディング力を生かすことが大切だと力説。世界ナンバーワンの観光国であるフランスからのアドバイスです。

▲フランス観光開発機構のマゼンク氏

▲フランス観光開発機構のマゼンク氏

誘致する国によって異なるプロモーション

日本人には「フランス西海岸」と言われてもぴんときませんが、ドイツ人観光客にとっては、フランス西海岸は人気のリゾート地となっています。これは、国によってどの地方や魅力をプロモーションするかを変えた、つまり、ドイツ向けに、フランス西海岸をリゾート地としてブランディングする戦略をとった結果です。

また別の例としては、「ボルドー」はワイン・ツーリズムにとって重要な地名です。日本人にとっても、ボルドーワインとして馴染みがある地名でしょう。しかしながら、ボルドーがある地方名「ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏」は日本人には馴染みがありません。そのため、日本人向けに、この地域に絡んだpromotionをする場合には「ボルドー」という名を使っています。

その他では、フランスを訪れる観光客はリピーターが多いので、初めてフランスを訪れる人向け、リピーター向けとアプローチを変えています。

日本がドイツとフランスから学ぶことは?

ドイツとフランスからの提言のあと、ワールド航空サービス代表取締役会長、日本旅行業協会副会長の菊間潤吾氏がコメント。

「ロマンチック街道」の例からわかるように、田舎を観光客に魅力的に見せるパイオニアであるドイツ、また どの情報をどのメディアに流すかといった広報がうまいフランス、この二国に学ぶことは多くあります。また、日本の観光業の監督省庁は国土交通省であり、飛行機などの交通インフラが重要視されて、旅行業はその利用促進を請け負っている感じがする、もっと国際交流に重きを置いたほうがよいとの意見でした。

▲日本旅行業協会副会長の菊間氏

▲日本旅行業協会副会長の菊間氏

外国に学び、さらなる観光客誘致のために日本がこれからすべきこと

最後は、観光庁長官の田村明比古氏による日本の観光戦略についての説明です。現在、観光は自動車、化学製品についで三番目に外貨を稼ぎだしています。しかしながら、このインバウンド観光の誘致対策については、⽇本が取り組みはじめたのは今世紀に入ってからというのが実情で、本格的に動き出したのはここ数年です。

市場を開拓し、欧米豪の旅行者を取り込む対策を

現在の訪日外国人の80パーセント程度がアジア圏からです。欧米豪からは増えてきつつありますが、まだ少ない状況です。

というのも、日本には、特に欧米豪からの観光客が好む豊かな自然があることをアピールしてこなかった こともその背景にあります。また、1泊2食付きが基本で、サービスに融通がきかない旅館、⾼級ホテルや二次交通の不⾜なども問題 です。

インバウンド誘致に出遅れる旅館 いますぐやるべき6つのインバウンド対策とは?

訪日外国人が日本宿泊の際に選ぶ宿泊施設にはホテル、旅館、Airbnbなど民泊がありますが、こうした宿泊施設の中で一般的に良く選ばれるのがホテル、そして近年急激に伸びているのが民泊です。一方、実は昔ながらの旅館はインバウンドの取り込みに苦戦が続いています。訪日外国人の宿泊先として旅館が選ばれにくい理由はいくつかありますが、インバウンドを見据えてすぐに改善出来る点、ビジネスモデルに関係するためすぐには変えられないが、インバウンドを見据えると改善が必要な点があります。詳しく見ていきましょう。...

地方創生の成功に絶対に必要なもの それは「二次交通」の充実:そもそもなぜインバウンドの地方誘致で二次交通が重要なのか?

2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、これを機に多くの訪日外国人が日本を訪れることが期待されており、政府も訪日外国人旅行者4000万人を目標としているのはご存知の通りです。また、将来的に現在のゴールデンルート中心の観光から、地方部へも多くの訪日外国人を呼び込んで地方創生を行うことが必要 だと考えられており、これについては国土交通省も様々な形で「魅力ある観光地域づくり」を進めています。[blogcard url=”https://honichi.com/news/2017/...

現在は、データに基づいてマーケティングをし、YouTube等を利⽤したグローバルキャンペーンを⾏い、伸びしろがある欧⽶豪の旅行者を取り込む対策に乗り出しています。

観光庁&JNTO 欧米豪向け大規模プロモーション「Enjoy my Japan」を2月からスタート

以前の記事でもご紹介したように、欧米豪圏のインバウンド市場は、滞在日数が長いことや訪日旅行中の支出が多いこと、「コト消費」にお金を使うことなどを理由に注目されています。観光庁とJNTO(日本政府観光局)でも 2018年から欧米豪圏向けの訪日旅行プロモーションに本腰を入れていくようです。[blogcard url=”https://honichi.com/news/2018/02/19/oubeigoumatome1/”]まずは知ってもらう!旅マエに有効なインバウンド集客の資料を無料でダウン...

▲JTB総研の黒須氏(右端)の司会で、登壇者全員でディスカッション

▲JTB総研の黒須氏(右端)の司会で、登壇者全員でディスカッション

ナイトライフ、人材育成。これからの日本のインバウンド

登壇者全員が参加するディスカッションがJTB総研執行役員・主席研究員である黒須宏志氏の司会で行われました。シンポジウムの聴衆からの質問に答える形で、日本では欧米人が考えるようなナイトライフが楽しめる環境が整っていない、また日本の若者の留学にからめて、若者に世界を知ってもらい インバウンドに対応できる人材育成が大切 だと熱心に議論がなされました。

【その経済効果80兆円】インバウンドにおいて手付かずの成長市場である「ナイトタイムエコノミー関連市場」とは

未開拓の夜間市場の活用 を行うことが、大きな経済的インパクトを発生させるということで、日本でもナイトタイムエコノミーが大きな注目を集めています。 日本政策投資銀行、日本政策投資銀行がアジア8地域、欧米豪4地域の訪日外国人観光客旅行者を対象に行なった調査によると、「日本旅行で不満だった点は何ですか?」という質問に対して、「ナイトライフ(バーやクラブ・ナイトマーケット等)体験」という回答が7番目に多い回答となっています。[blogcard url=”https://honichi.com/ne...

インバウンド誘致へ必要性増すDMO 課題は「人材確保」に:観光庁のアンケート調査から把握できるDMO内部の実態とは

さまざまな関係者と協業しながら魅力的な観光地域づくりを推し進め、地域の「稼ぐ力」を引き出す組織であるDMO。広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMOの3種類に分かれており、現在日本国内には計123ものDMOが存在しています。近頃の訪日外国人観光客の急増により、インバウンド誘致を促進するためにもDMOの必要性は増してきていますが、実際に組織として運営していくとなると、未だに多くの課題が存在している模様です。公益社団法人日本観光振興協会(*)が行ったアンケート調査によると、財源に...

まとめ

日仏会館と日独協会という旅行業とは異なる立ち位置にある団体主催のシンポジウムということで、旅行業関係者ではない方々が多く訪れていました。聴衆の皆さんが熱心に登壇者のプレゼンテーションを聴く姿を見て、インバウンドは旅行業関係者だけのものではないと実感しました。もはやインバウンドとは、オールジャパンで取り組むべきテーマなのでしょう。

今までのインバウンドは、例えば「訪日中国人が爆買いしているから中国語対応して免税店対応して…」といったような、単純かつ後手に回った対応が主たるもの でした。しかしながら、アジア以外の訪日客も年々増加し、多様化が進む現在のインバウンド市場においては、より高度な対策やマーケティングが必要になってきます。そのようなインバウンド戦略を立てていくには、ドイツやフランスなどの観光先進国の事例に学ぶことも、今後は重要になってくるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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