これでは「たばこの“ある”オリンピック」…原則屋内禁煙のはずの健康増進法改正案が「骨抜き」状態で閣議決定:日本の受動喫煙対策は進むのか?

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政府は3月9日、たばこの受動喫煙対策をさらに厳しくする 健康増進法改正案 を閣議決定しました。日本でもたばこの受動喫煙は問題とされてきましたが、近年特に注目が集まるようになった背景には 2020年に開催を控えた東京オリンピック・パラリンピック があります。

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国際オリンピック委員会(IOC)は1988年から選手村や競技場を禁煙とし、「たばこのないオリンピック」の実現を目指してきました。また、2010年にはWHO(世界保健機関)と開催都市も原則的に屋内禁煙とする方針となりました。こうした背景を受けて、ロンドン、リオデジャネイロ、冬季のバンクーバー、ソチ、平昌まで、開催国では罰則を持つ法規制を整備するなど、屋内禁煙を推進してきました。こうした中で世界に大きな遅れをとっているのが東京です。

飲食店「全面禁煙ちょっと待った!」訪日客「あまり気にしてない…」IOC&WHO「たばこの無いオリンピックを」東京五輪に向けて進む禁煙法案はどうなる?

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日本は海外から見ると「屋内において」喫煙大国

今後オリンピック開催国ということで海外と比較される事になる東京・日本ですが、世界的に見ると日本は屋内の喫煙に関してかなり甘く、店側の判断に委ねらるケースがほとんど です。一方、平昌オリンピックが開催された韓国では2015年1月1日から 全国の公共施設、飲食店、宿泊施設が全面的に禁煙 となっており、同様に台湾でも、2009年より 全国の公共施設、学校、飲食店、宿泊施設などで全面禁煙 となりました。その他アメリカ、ヨーロッパなども基本的には韓国、台湾などと同様に 屋内は全面禁煙であるケースがほとんど です。

一方、日本に最も多くの観光客が訪れる 中国は喫煙大国 として知られ、屋内での喫煙も日本と同様に店側に委ねられるケースがほとんど です。データとしては少し古いものですが、中国疾病预防控制中心が2015年に行った調査によると、中国では全人口の約3割にあたる27.7%が喫煙者であり、男性の場合その喫煙率は52.1%に達するというデータがあります。

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公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)」より

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)」より

日本の場合、厚生労働省が発表しているデータによると 成人喫煙率は19.3%で、男性が32.2%、女性が8.2% となっています。見方を変えると、喫煙率が日本よりも10%近く高い中国と、日本の屋内喫煙における状況は大差がない と言えます。

閣議決定された健康増進法改正案では、日本の屋内禁煙は進まない

世界各国に続き「たばこのないオリンピック」を実現することを目指して議論が続いてきた受動喫煙防止法案ですが、実際にこれで日本、そして東京で屋内禁煙は進むのでしょうか?この「健康増進法の一部を改正する法律案」を詳細に見ていくと、基本的な考えかたとしてあるのは 「望まない受動喫煙をなくす」「受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮」「施設の類型・場所ごとに対策を実施」 の3点です。

厚生労働省「受動喫煙対策」より

厚生労働省「受動喫煙対策」より

しかし「望まない受動喫煙をなくす」「受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮」と謳ってはいるものの、学校・病院・行政機関では敷地内禁煙としつつも、「屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に喫煙場所を接地することができる」という例外処置があったり、飲食店においても「喫煙専用室を設ければ喫煙が可能」となっていたりと、「たばこのないオリンピック」を実現するという当初の目標からすると「骨抜き」と言われても仕方のない内容になっています。

さらに「経営規模が小さい事業者の場合は直ちに喫煙専用室を設ける事が事業継続に影響を与える可能性がある」との考えから、一定の猶予期間を設けるとされており、厚労省の推計によるとこうした事業者は全体の飲食店の中で5.5割程度であるとされています。

つまり、日本の飲食店の55%は今回の健康増進法改正案の影響を受けることなく、屋内喫煙可の店舗として堂々と営業が出来る ことになり、このままでは、東京オリンピック・パラリンピックは、国際オリンピック委員会(IOC)が2010年からWHOと続けてきた「開催都市の原則屋内禁煙」というルールを無視した形で開催を迎える こととなります。

この続きから読める内容

  • 「屋内禁煙」が大原則の海外だが、屋外は野放し
  • 訪日外国人ゲストが多い飲食店は、独自の禁煙、分煙の取り組みのアピールが必要
  • 日本の魅力ある商品を在日外国人インフルエンサーとつなげるマッチングプラットフォーム「trial JAPAN」
  • 【インバウンド情報まとめ 2026年2月後編】訪日中国人数6割減でも「インバウンド全体としては好調」、観光庁 / 1月の訪日外客数359.8万人、韓国が史上初の110万人超え ほか
  • 今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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