インバウンド消費が増えるなか、なぜ日本で「美ンバウンド」が定着していないのか?

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

皆さんは「美ンバウンド」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これはリクルートホールディングスが2016年のインバウンドの動向を予想して作った、美容とインバウンドを組み合わせた造語です。最近はほとんど聞かれることがなくなった「美ンバウンド」ついて、今あらためて解説します。

インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする

「翻訳・多言語化」の資料を無料でダウンロードする

「多言語サイト制作」の資料を無料でダウンロードする

「多言語化表示サービス」の資料を無料でダウンロードする

「テレビ電話型通訳サービス」の資料を無料でダウンロードする

「訪日外国人向け道案内」の資料を無料でダウンロードする

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

そもそも「美ンバウンド」とは何か?

この言葉はリクルートホールディングスが2016年のインバウンドの動向を予想して作った「美容領域における2016年予測」という資料に登場しました。訪日外国人客数が過去最高記録を更新する中で、中国人観光客の旅行スタイルは 今までのツアー旅行から、FIT(海外個人旅行)をする方が増加。そして今までは中国人の観光スタイルの特徴であった 爆買い」に代表されるような「モノ消費」が、「コト消費」へと変化する という背景がありました。

また、日本の美容院、エステサロンなどを利用した訪日外国人の声として 「技術力が高い」「清潔感がある」「丁寧にもてなされると感じた」 という声を受けて、今までは日本の美容品、化粧品を買うという「モノ消費」だけをしていた観光客が、エステサロン、ネイルサロン、美容院にも訪れるようになるという「コト消費」に移っていくだろう という予測から、この言葉は誕生しました。

日本はアジアから見ると美容大国で、日本の製品、サービスに対する信頼は厚い

リクルートホールディングスが2015年に来日経験のある中国・台湾・韓国・香港の20〜49歳の女性を対象に行った調査によると、「美容に関して最も憧れる国」としては「日本」と回答した方が64% もおり、日本の美容に憧れる理由としては「その国の化粧品・美容ブランドで素敵だと思うものがあるから」、「その国が原産国として表記されていると品質がよさそうに見えるから」、「美容の技術が進んでいるから」という回答が目立ちました。

リクルートホールディングス「美容領域における2016年予測」より

リクルートホールディングス「美容領域における2016年予測」より

特に中国では肌に直接つける化粧品に関しては、「中国産は何が入っているかわからない」という考える方が多く、化粧品や生理用品、ベビー用品に関しても日本製を選ぶ方が多くなっています。こうした背景もあり、「次回来訪時に日本の美容サロンに行ってみたいですか?」という質問には「とても行きたい」と回答した方が12%、「まあ行きたい」と回答した方が41% でした。

「日本の美容サロン」に行ってみたい理由としては「丁寧なおもてなし」「技術力」「店内の清潔感」がトップ3となっており、アジア人女性からすると、日本の美容サービスを受けてみたいという想いは2015年の時点でかなり高かった ということが伺えます。

リクルートホールディングス「美容領域における2016年予測」より

リクルートホールディングス「美容領域における2016年予測」より

なぜ「美ンバウンド」消費が大きな話題となっていないのか?

日本の美容業界の確かな品質のサービス、優れた製品への良いイメージがあるにも関わらず、なぜ日本の美容院、エステサロンなどは、アジアを中心とする訪日外国人にとって必ず訪れるスポットになっていないのか?これはリクルートホールディングスの同資料では、こうした日本のサロンの訪日外国人への対応の成功例として紹介しているように、「英語、中国語による対応」がサービスにおいて非常に重要になるのにもかかわらず、対応が遅れている からでしょう。

日本の接客業で働く方々の「外国語での接客対応が難しい」という声を受けて、各社からは様々な「音声翻訳アプリ」、「翻訳デバイス」に加え、外国語を話せなくともコミュニケーションが可能となる「指差しツール」などが登場しています。しかしながら、エステサロン、美容院、ネイルサロンといった業種は、販売業、飲食業などと異なり、接客中に必要とされるコミュニケーションの頻度、コミュニケーションする内容の専門性が高い ため、外国語がよほど堪能ではない限り、日本人相手に普段提供しているようなサービスを提供することは難しいと言えます。

つまり、「美ンバウンド」の需要にしっかりと応えることが出来た美容院、サロンというのは、もともと外国語が堪能な美容スタッフを抱えている少数の店舗、外国語が堪能なスタッフを新規で雇用出来た大型店舗、求職者の平均年齢が若く語学堪能なスタッフを雇用出来る機会が多い都心の店舗、前述のような翻訳アプリなどを店舗で導入して展開出来る程度のITリテラシーを持った経営者、マネージャーがいる店舗、訪日外国人の観光のゴールデンルートである東京、大阪など立地に恵まれており、集客にさほど苦労しなかった店舗に限られた のではないかと言えます。

こうした都心店舗がどの程度あったのか?という事の参考資料として厚生労働省が公開している衛生行政報告例から平成28年度の「理容-美容所の施設数」を見ると、理容所は全国に122,539施設、美容所は全国に243,360施設となっていますが、この中で東京にある理容所は8,256施設(全体の6.7%)、美容所は22,064箇所(全体の9%)に過ぎず、大阪の6,663施設の理容所(全体の5.4%)、15,985施設の美容所(全体の6.5%)と合わせても、「美ンバウンド」で見込まれるとしていた需要に対して十分なサービスを供給を出来た店舗は非常に少なかったであろうことが伺えます。

美容業界がインバウンドから恩恵を受けるには?

近年インバウンド消費の伸びは様々な分野で叫ばれていますが、日本の美容サービスに関して「コト消費」の盛り上がりによる成功例はほとんど聞きません。これは中盤で解説したように、通常の接客業以上に外国語対応が必要とされる美容業界においては、訪日外国人向けのサービスをしっかりと展開しにくいという事が挙げられます。しかし他の業種でも「音声翻訳アプリ」、「指差し会話ツール」による成功例が多数あるように、美容業界においてもこれらのツールを上手に活用し、さらにInstagramなどのSNSを上手に活用すれば、インバウンド需要を上手に取り込む事が出来る可能性は高いでしょう。

インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする

「翻訳・多言語化」の資料を無料でダウンロードする

「多言語サイト制作」の資料を無料でダウンロードする

「多言語化表示サービス」の資料を無料でダウンロードする

「テレビ電話型通訳サービス」の資料を無料でダウンロードする

「訪日外国人向け道案内」の資料を無料でダウンロードする

<参考>

2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】


2024年も残りわずかとなりました。来年2025年は大阪・関西万博が開催されるほか、中国市場の回復などもあり、今年以上の盛り上がりが予想されています。2025年に向けて、訪日旅行者へ向けたマーケティング戦略を強化していきたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、株式会社movが毎月開催している「訪日ラボトレンドLIVE」をスペシャルver.としてお届け。今こそ知っておきたい「インバウンド×デジタルマーケティング戦略」を徹底解説します!

<本セミナーのポイント>

  • 観光・インバウンドに詳しい専門家3名が登壇!
  • 2025年に向けた「インバウンド×デジタルマーケティング」の戦略や施策について、「深掘り」した情報を「いち早く」「無料で」学べる!
  • 質疑応答の時間もご用意。インバウンドに関する疑問・お悩みについて、専門家から直接「ヒント」を得られる!

詳しくはこちらをご覧ください。

2025年最新版!インバウンド×デジタルマーケティング戦略【訪日ラボトレンドLIVE スペシャルver.】

【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに