通訳案内士法改正で激変期を迎える日本インバウンドの「タビナカ」:大手の参入、テクノロジーの進歩で日々変化を遂げるタビナカ 今後の先行きは?

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すっかり春になり、過ごしやすい季節になって来ましたね!

さて、今回は、ここ最近のタビナカ参入状況について、国内外の大手企業の動き、またシェアリングエコノミーやテクノロジーを活用した新たなサービスの台頭を背景に、述べていきたいと思います。

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大手旅行会社やエアライン会社、ホテルなどがツアー・アクティビティ市場参入へ

今年2月、ドイツの最大手旅行代理店TUI Groupが本格的にツアー・アクティビティ市場へ参入するという記事が出ました。

世界的観光調査&カンファレンス会社であるSkiftの調査によると、現時点のツアー・アクティビティ市場規模は米国で 2.9兆円〜3.5兆円 、EUで4.2兆円だそうで、ツアー・アクティビティは未だオフラインでの予約率が高く、これからオンライン予約へ変わっていく という予測されています。TUIはこれから市場全体が大きくなりオンライン予約率が上がることを見込み、このEU市場ならびに米国市場中心に開拓していくようです。

同じく2月、Expediaは、Expedia.comでイベントチケットのタブを設置すると発表し、同社CEOは ツアー・アクティビティがより重要な分野になる とも述べています。

それ以外にも、これまでの記事で何度か取り上げさせていただきましたが、Booking. comはツアー・アクティビティのカテゴリを新設させたり、Trip AdvisorはViatorを買収したり、Airbnbはツアー・アクティビティのカテゴリにあたるTripsを立ち上げたりしてます。なお、Viatorは昨年第2四半期決算に前年同期比で31%増(売上高 約108億円)の好調を示しており、AirbnbもTripsを拡大加速し、日本でも強化していってます。

(Airbnb、「コト消費」の加速牽引 体験サービス、関東・関西9府県へ拡大 無資格での通訳案内解禁も追い風に) (Airbnb、体験サービス拡大で発表続々 ゲスト急増の福岡で提供スタート 「人」を通じて原宿カルチャーも発信)

こうしたオンライン大手旅行サイトはもちろんですが、弊社クライアントやその他日々やりとりさせていただいている エアライン会社、ホテル、地方自治体 も、それぞれの収益拡大の一環として ツアー・アクティビティへの参入を準備している 組織は数えるだけでもかなりのものになってきました。つまり、日本市場でも少しずつ加速してきています。弊社では、これからの一年だけでも、数百の会社・施設がはじめてくると想定してます。

日本国内においても追い風となっている理由の一つとして、通訳案内士の無資格許可は大きな影響となっているでしょう。これまで、通訳案内士の資格保有者のみが有料ガイドをして良いというものでしたが、宿泊のホテル不足同様、数が圧倒的に足りない状態になってきており、新たに無資格の方でも有料でガイドを行って良い というものになりました。

本件 改正通訳案内士法 は、今年2018年1月4日から施行された制度で、政府もプレスリリースを公開していますのでご覧ください。

(その他参考:改正通訳案内士法の背景)

シェアリングエコノミーやテクノロジーのタビナカ参入

大手旅行会社がタビナカ市場に参入する一方、スタートアップもまた違った新しい切り口で参入してきています。

ガイド を紹介するHuberやHISのTraveeは先述のAirbnb Tripに近いもので、一般人がガイドとして登録し、観光客ユーザーとそのガイドをマッチングするサービスです。これらは通訳案内士の無資格化が成長の背景になっているようです。

テクノロジーという観点では、オーディオツアー も少しずつですが、芽を出し始めています。訪日市場ですと、全国の観光地を音声ガイドによって、一ヶ所あたり100円〜1000円ほどで各言語で楽しめるOn The Tripや、無料で様々な観光地やお土産屋などを音声ガイドしてくれるWanderpassなどがあります。また、海外に目を向けると、Airbnbが出資している会社で、Detourという一般人が録音した音声ガイドプラットフォームもあります。本サービスは、まだ試験的ですが、東京にも既に進出しています。

また、宿泊施設に設置するIoTデバイス も様々なサービスが出てきています。先月ご紹介させていただいたTrip Phoneもその一つです。それ以外にも、昨年5月に香港から日本進出したhandy (次回記事でご紹介予定) は急速に市場開拓を進め成長しています。

更に、タビナカで注目すべきなのは、ライドシェア、シェアサイクル の台頭です。ただ、配車領域は、日本では規制がまだ根強く、ライドシェア世界最大手UBERも日本市場では長らく苦戦に強いられています。日本での普及課題には、一部の記事では、いくつかの理由があげられていますが、本質的にはやはりタクシー業界からの猛反発に思えます。同社は、日本市場での開拓は通常のライドシェア事業では、これ以上難しいという判断から、同社が強みとする交通データ(高い精度で到着時間の予測などのためのデータ)などをタクシー会社へ提供する戦略へ切り替えています(参考記事)。しかし、規制緩和されない限りライドシェアは広がらないわけですが、中国のライドシェア大手Didi Chuxing(滴滴出行)もこれから日本進出することを決定し、その背後には日本のソフトバンクがいる事を考えると、日本での規制緩和に対する動きも徐々に変化が出てくるのではないでしょうか。

シェアサイクルも、日本で動きが加速しています。これまでのDocomo share bike以外にも、ソフトバンクのHELLO CYCLINGやメルカリのmerchari(メルチャリ)が地方からシェアサイクル事業を始めたり、中国のOfoMobikeも日本参入をし始めています(シェアサイクル事情について)。おそらく、まずは各地域での普及が第一になると思いますが、いずれはツアー・アクティビティなどとのパッケージコンテンツなども出てきそうですね。

まとめ

いかがでしょうか。今回はタビナカの新たな動きについていくつかの事例をピックアップし、整理しました。

このタビナカ領域は、大手企業がツアー・アクティビティ市場に参入したり、改正通訳案内士法の施行により、着実に注目されてきています。また、シェアリングエコノミーの台頭により、ガイドマッチングサービスやオーディオガイド(マッチングサービス)などが出てきたり、テクノロジー視点ではTrip Phoneやhandyのような新たなIoTデバイスが出てきたりと、多種多様なプレイヤーが出現してきているというのが、このタビナカ領域の特徴であると言えます。因みに、弊社が昨年一年で調査した結果によると、旅中にやることを探すサイト数またはアプリ数は11種類/訪日客であり、ストレスを感じているというデータもあります。

つまり、サービスやコンテンツが複雑化・多様化する中、ユーザーはより賢くなり、手間なく取捨選択するようになっていくと思われます。そうしたことを踏まえると、今から10年や20年、タビナカを制するのは、どういった会社なのでしょうか。データを最も多く持ち、最適に活用できる会社ではないかと筆者は考えています。

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この記事の筆者

Liigo Inc.

Liigo Inc.

Liigo Inc.のサービスディレクター。英国で生まれ育ち、大学院入学を期に来日した日系英国人。学生時代は環境分野を研究し、その後はIT、教育、エネルギー等多方面の分野に従事。現在Liigoでは事業計画からマーケティングを担当。世界の観光市場、アクティビティ(Things to do)市場の仕組み、最新の動向やLiigoの事業についてお伝えします。

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