観光庁が発表をしている「訪日外国人の一人あたりにおける消費動向調査」を見てみると、2015年〜2017年で買物費目の消費額が7万4千円から5万7千円へと縮小しています。近年、円高も相まって訪日外国人がモノを買うことが少なくなり、それにともない、体験や宿泊にお金を使う傾向に変わってきています。このような、いわゆる「コト消費」が加速しつつあるなかで、日本の自然を活かしたアクティビティーや変わった体験ができるツアーを体験する訪日外国人が増えてきています。
そこで今回、インバウンド向けにユニークな体験を提供し、年間50万人超の訪日外国人を送客しているをアクティビティー予約サイト「Voyagin」を運営する株式会社Voyagin代表取締役の高橋理志氏に、「Voyagin」を活用したプロモーション事例やインバウンド業界についてインタビューをしてきました。
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- ユニークな体験を訪日外国人に届ける「Voyagin」とは?
- ー「Voyagin」について教えていただいてもよろしいでしょうか?
- ーそのような経緯があったのですね。「Voyagin」の強みを教えてください
- ー外国人の方はドタキャンが多いと聞きますからね。「Voyagin」ではカスタマーサポート代行も行っているとお伺いしているのですが、教えていただけませんか?
- ロボットレストランに月間3,000人以上を送客!「Voyagin」の圧倒的な集客力:数々の事例を公開!
- 膨大な外国人送客データを元に外国人が好むツアーや体験を作り出すことができる「Voyagin」
- マーケットインの考え方が重要:「Voyagin」が考えるインバウンド業界について
目次
ユニークな体験を訪日外国人に届ける「Voyagin」とは?
ー「Voyagin」について教えていただいてもよろしいでしょうか?
株式会社Voyagin高橋理志氏(以下、高橋):
「Voyagin」は訪日旅行者向けに多種多様な日本の旅行体験( ツアー、チケット、レストラン )を販売しているサイトです。高級鮨店の予約、土俵近くの席での相撲観戦、一見さんお断りの京都のお茶屋の予約など外国人が予約困難なハイエンドな体験を販売すると共に、日本全国3,500を超える多様な体験・ツアーを提供しています。
創業のきっかけをお話すると、2009年に日本でほぼ誰もAirbnbを知らない時代にAirbnbの1ホストとして外国人旅行者を受け入れて居た経験から、このサービスを思いつきました。ホストをしている時にいつも「何がオススメ?」「おもしろい場所を知らない?」など沢山の質問を泊まりに来ている外国人から受けていたからです。
そこで「外国人はガイドブックに乗っていない、珍しい体験を求めているのだな」と私は実感し、「ガイドブックにない体験を外国人に届けたい」という思いから「Voyagin」の前身となる「FindJPN」を始めました。最初はかなり苦労しましたが、お陰様で「Voyagin」は年間50万人超の訪日外国人を送客する事ができるようになり、現在もどんどん送客数は伸びつづけています。
ーそのような経緯があったのですね。「Voyagin」の強みを教えてください
高橋:
一番は集客力です。SEOが強く、Googleで「japan activity tour」と入力すると、約4,700万件の中で最上位で表示されます。そのため、日本で変わった体験をしたいという外国人が「Voyagin」に数多く集まっており、「Voyagin」に掲載いただいているツアーなどを提供している方々に沢山の外国人を送客しています。
他にも「Voyagin」にはノーショー対策機能がついています。これは外国人が予約をして当日ドタキャンした際、「Voyagin」側でクレジットカード情報を抑えているのでキャンセル料金を回収できるサービスです。
ー外国人の方はドタキャンが多いと聞きますからね。「Voyagin」ではカスタマーサポート代行も行っているとお伺いしているのですが、教えていただけませんか?
高橋:
はい。「Voyagin」にアクティビティーを掲載をいただいている事業者や自治体の方々に、カスタマーサポート代行がとても喜ばれています。なぜかというと、訪日外国人を呼びたいけど、いざ予約を受けると、英語対応が出来なくて困っているというケースが非常に多く、事業者や自治体の方々は外国人を呼びたいが二の足を踏んでしまっているからです。
そこで「Voyagin」に掲載をしていただければ、私達が集客から予約の受付までを代行します。それこそ、掲載した後は、外国人が来るのを待つだけの仕組みとなっています。そのため、事業者や自治体の方々は訪日外国人にサービスを提供することに集中できるというわけです。
ロボットレストランに月間3,000人以上を送客!「Voyagin」の圧倒的な集客力:数々の事例を公開!
ー「Voyagin」を活用した事例を教えてください。
高橋:
歌舞伎町にあるロボットレストラン様の事例です。月間3,000人以上の訪日外国人を「Voyagin」から送客しています。ロボットレストラン様は集客に力を入れており、色々な媒体にも掲載していますが、私達が一番、送客しています。
他の事例だと、相撲朝稽古見学ツアーを掲載頂いていますが、これは現役力士の朝稽古を見学するツアーで、月によっては100人を超える訪日外国人を送客しています
「Voyagin」を活用した地方の事例はありますか?
高橋:
あります。例えば、徳島で開催した阿波踊りの海外向けチケットを、観光協会と協業で販売しました。こちらは「Voyagin」の中に特集サイトを作り、販売から予約対応までを「Voyagin」で行いました。
掲載日数は少なかったのですが、約30組、90名を集客することに成功し、会場最前列の特別シート枠を外国人専用として提供することができ、外国人の方に阿波踊りを楽しんでもらいました。
他にも、鍛冶体験プログラムを提供している岐阜県羽島では、職人と作った小刀を持ち帰ることができる体験を「Voyagin」で掲載しています。 2時間で72,600円という高い料金設定で、さらにアクセスも良いとも言えない場所で提供されている体験ですが、毎月50人前後の外国人が予約する体験となっています。
JNTOと一緒に取り組んだ事例もあるとお伺いしているのですか、教えていただけませんか?
JNTOと一緒に海外富裕層向けプロモーションを実施しました。日本のラグジュアリーコンテンツ特集ページを「Voyagin」の中に制作し、私達が販売と予約対応まで行いました。その中で、すきばやし次郎という外国人から絶大な人気を誇るお寿司屋体験ツアーを掲載した所、かなりの応募が来ました。
膨大な外国人送客データを元に外国人が好むツアーや体験を作り出すことができる「Voyagin」
ー数多くの外国人を送客してきたデータやノウハウを持っているとお伺いしているのですが、詳しく教えていただけますか?
高橋:
「Voyagin」では今まで数多くの外国人を送客してきたデータがあり、そのデータを分析すると、「なぜ、このツアーや体験が人気なのか?」が分かります。
例えば、滋賀県におけるスキー場の事例なのですが、このスキー場は「Voyagin」で訪日外国人から非常に高い評価を得ています。日本人の視点だと滋賀県がスキーで有名という認識がなかったので疑問を持ち、人気の理由を分析しました。すると、ほとんどの利用者がアジア人で特に東南アジアの方も多いことがわかりました。またレビューを見ると、スキーを本格的に楽しむというよりかは、雪遊びを楽しんでいることもわかりました。これらのことから、アジアの方が関西国際空港から一番近い場所で、「手軽に」「ついでに」雪遊びをしているという利用のされ方なのだとわかりました。この様な事例から、滞在日数が限られている外国人にとっては、都市からのアクセスさえ良ければ、国内で有名ではなくても利用されるということがわかりました。あまり人気が出ていないスポットもアクセスを整備することにより、差別化できる可能性もあります。
このように外国人が足を運んでいる事実に基づいた予約実績データを元に分析することにより、人気の法則を見つけていくことができます。さらに、今まで沢山の外国人を送客してきたノウハウもあるので、どのような体験やツアーが外国人にウケるか熟知しています。これらのデータやノウハウを元に、企業や自治体に人気のツアーを作る秘訣やどうすれば集客できるかなどをアドバイスやお手伝いを行っています。
マーケットインの考え方が重要:「Voyagin」が考えるインバウンド業界について
ー今のインバウンド業界についてはどのように思いますか?
高橋:
個人的には『売りたいものを売ってしまっている』事業者や、自治体が多いように思います。例えば、温泉地が有名だから温泉を打ち出す、地元の大仏が有名だから大仏を打ち出す、といったことです。これでは、外国人目線に立ったマーケットインの発想があまりにも抜けています。ちゃんとインバウンド集客をしていくには、データや外国人の反応を元にツアーや体験を設計していく必要性があると感じでいます。
押したいものを売りたい気持ちはわかりますけど、やはり、売りたいものよりも、売れるものを提供したほうが、訪日外国人も訪れるようになりますし、地域の消費額も増え、みなさんが幸せになります。僕自身も「Voyagin」を通じて「売れるものを売る」という考え方にシフトしてから、うまくいき始めたので、マーケットインの考え方はかなり意識しています。
ーちなみに、インバウンド業界の市場は昔に比べて変化はありましたか?
高橋:
年々、市場は盛り上がってきていると思います。問い合わせも増えてきましたし、何よりちゃんと予算がある状態で、相談をいただけるケースが増えてきました。2年くらい前では「とりあえず話は聞くけど、予算がないから出来ない」というケースが多かったように感じました。
成功事例もまだまだ少なかったですし、しょうがないと思います。今は成功事例もどんどん増えてきているので、企業も予算がつけやすくなってきています。「Voyagin」には成功事例がたくさんあるので、成功事例を活用し、インバウンド業界を盛り上げていきたい思います。
ーなるほど、最後になりましたが、今後の展望を教えてください。
高橋:
引き続き、「Voyagin」を成長させていきます。さらに、今までの売れてきたツアーのデータがかなり集まってきているので、そのデータを元に売れるツアーの企画を企業や自治体にお伝えしていきたいです。ご相談いただける事業者や自治体には成果を出せるように支援して行きたいと思います。
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【インバウンド情報まとめ 2024年11月後編】中国、タイの2025年祝日発表 ほか
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