なぜ岐阜・高山はアニメ『氷菓』の聖地巡礼で21億円という経済効果を生み出したのか?

なぜ岐阜・高山はアニメ『氷菓』の聖地巡礼で21億円という経済効果を生み出したのか?

十六銀行によれば、岐阜県高山市におけるアニメ『氷菓』聖地巡礼の経済効果は年間21億円といわれます。アニメ放送中から高山市は聖地巡礼に積極的に関わり、官民一体となってさまざまな施策を行ってきました。以下で詳しく見ていきます。

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市役所作成の「舞台探訪マップ」が聖地巡礼を促進

『氷菓』(2012)は、『涼宮ハルヒ』シリーズや『けいおん!』を手がけた京都アニメーション制作の人気アニメで、原作は米澤穂信氏の小説です。アニメ化にあたってのロケは、大部分が米澤穂信氏の出身地である岐阜県高山市で行われました。

アニメ放送中からファンが「聖地巡礼」に訪れ、現在もアニメツーリズム協会による『2018年度版 日本のアニメ聖地88』の一つに選ばれるなど、高山市は人気の聖地となっています。

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高山市は聖地巡礼者を誘致するための施策として、「『氷菓』舞台探訪マップ」というものを作成し、アニメ放送の翌年2013年2月から市内の観光案内所や、実際にアニメに登場した喫茶店等に配布し始めました。

いたるところに京都アニメーション書き下ろしのイラストがちりばめられているのも、この探訪マップの魅力です。表(写真上)を広域版、裏(写真下)を市街地版とし、実際のアニメのカットに番号を振って地図とリンクさせています。市の公式ホームページでもPDFを公開し、おすすめの聖地を写真とともに掲載しています。

▲『氷菓』探訪マップ表/出典:高山市公式観光サイト

▲『氷菓』探訪マップ表/出典:高山市公式観光サイト

▲『氷菓』探訪マップ裏/出典:高山市公式観光サイト

▲『氷菓』探訪マップ裏/出典:高山市公式観光サイト

アニメツーリズム協会によるアンケートでは、高山市での「氷菓」聖地巡礼は海外のアニメファンにも人気があるようです。しかし一方で、この探訪マップは現在日本語でしか発行されていません

写真に番号が振ってあるため、日本語が読めなくてもある程度活用することはできますが、英語版や韓国語、中国語版なども作成することで、海外からの聖地巡礼者の満足度をより高めることができるでしょう。

さらに、『氷菓』のモデルとなった場所には、市街地から徒歩では行けないところもあります。そういった場所へのアクセス方法を記載するなどすれば、ガイドマップとしての精度もより上がるでしょう。

市内アンテナショップや実際にアニメに登場する喫茶店にファン同士の交流コーナーを設置

市内の商工会や観光協会が共同で運営する飛騨高山地域アンテナショップ「まるっとプラザ」では、氷菓特設コーナーを設け、作品に関連するグッズを販売するほか、ポスターや声優のサインの展示、ファン同士の交流ノートを用意するなどしています。この運営には地元有志で構成された「高山『氷菓』応援委員会」も携わっています

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実際にアニメに登場する喫茶店「バグパイプ」や「喫茶去かつて」にも、アニメとコラボレーションして作られたコースターが売られていたり、『氷菓』のコミック版やファン同士の交流ノートなどが置いてあったりします。交流ノートは各店とも10冊を超え、その中には外国語で書かれたコメントも多くあります。

実際の聖地でファンイベントを開催/氷菓×生きびな祭、神山高校文化祭

アニメ放送の翌年2013年から、高山市では『氷菓』とのコラボレーションイベントが複数行われました。

まず一つめは、高山市一之宮町にある飛騨一宮水無神社の例祭である「生きびな祭」とのコラボレーション企画です。水無神社はアニメに登場する神社であり、生きびな祭も描かれています。

このコラボ企画は2016年まで行われますが、2014年には初の試みとして、劇中で主人公が担ったのと同じ、生きびな行列での傘持ちという役を全国から公募しました。同時に旗持ちも公募し、『氷菓』ファンの20代男性が2人選ばれました。また、2016年の祭の日には、神社敷地内でコミック版『氷菓』の複製原画展も行われ、盛大なファンイベントとなりました。

▲氷菓×生きびな祭/出典:飛騨高山in一之宮ホームページ

▲氷菓×生きびな祭/出典:飛騨高山in一之宮ホームページ

次に、2013年から2015年まで行われた「神山高校文化祭」です。主人公たちが通っている架空の高校「神山高校」は、部活動が活発で文化祭が大変盛り上がるという設定です。「神山高校文化祭」は、その文化祭を模したファンイベントです。高山市中心部の商店街で、有志による即売会やスタンプラリーなどが開催されました。

まとめ:今まで官民連携のもとさまざまな施策を展開、高山市『氷菓』聖地巡礼のこれからは?

ここまで見てきたように、高山市では自治体や小売店、地元有志、市内神社などが連携してさまざまな施策を行ってきました。高山市を舞台としたアニメの放送、という好機を逃さず、官民が一体となって聖地巡礼の後押しをしてきました。

しかし、放送終了から時間が経ったこともあり、現在は関連イベントが少なくなってしまいました。当時と比べれば、聖地巡礼者の数も減っているでしょう。

これからは、探訪マップの改良・多言語化などの施策を行うことで国内外から聖地巡礼に訪れた人の満足度を上げることが必要です。さらに周辺の観光スポットも同時に磨いていくことで、『氷菓』ファンを「飛騨高山ファン」にし、リピーターを獲得することも重要になってくるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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