新聞やテレビ、ネットニュースでも見聞きする機会が多い「モノ消費」と「コト消費」という言葉。しかし、インバウンド市場において、訪日外国人観光客の消費スタイルがどのように変化してきているのか、そして「コト消費」とは
これからも増え続けるであろう訪日外国人観光客の満足度を上げるためには、「コト消費」についてきちんと理解しておく必要があります。そこで今回は、「コト消費」の意味と消費スタイルが変化している理由について紹介します。
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「モノ消費」「コト消費」とは?
経済産業省が公表している「平成27年度地域経済産業活性化対策調査」では、以下のように定義されています。
「モノ消費」:個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費すること。
「コト消費」:製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受するのみでなく、個別の事象が連なった総体である「一連の体験」を対象とした消費活動のこと。
つまり「モノ消費」とは商品やサービスそのものに価値を見い出すこと、「コト消費」は商品やサービスによって得られる"体験"に価値を見い出すことをいいます。
「モノ消費」から「コト消費」へと流れが変化している背景は?
国内消費:国内市場の成熟化
「モノ消費」から「コト消費」へと消費スタイルが変わった背景として考えられるのが、日本国内における消費の成熟化です。
冷蔵庫や洗濯機、カラーテレビ 、クーラー、自動車、スマホの普及によって、人びとの生活は確実に豊かになっています。しかし、「あって当たり前」となっている昨今、使いやすさ、見やすさといった機能的な価値を提供するだけでは、消費者は満足しなくなっています。
たとえば、コンビニで売られている飲み物で「まずそうだな……」と思う商品はあまりないはず。かといって「どうしてもこの飲み物が飲みたい!」と思えるような商品にはなかなか出会うことができなくなっています。こうしたモノ自体の価値の低下が、コトを重視する消費動向への変化につながっているのではないでしょうか。
インバウンド消費:訪日観光客内での リピーターの増加
訪日外国人観光客が、インテリアや家電、生活雑貨といった「モノ」ではなく、サイクリングや農業体験、温泉巡り、着物体験などの「コト」を楽しむようになっています。この背景には、訪日外国人観光客のリピーターが増えていることが考えられます。
観光庁がおこなった「訪日外国人消費動向調査」によると2017年に日本を訪れた訪日外国人観光客のうち、初めて日本に来るという人は38.6%。2回以上来ているという人は61.4%という結果が出ています。このうち、10回以上訪れていると答えた人が13.1%にものぼります。
高品質で安全性の高い日本製の商品を買い尽くしてしまった人が、「日本ならではの文化に触れる」という価値を求めているではないでしょうか。
訪日外国人観光客にウケる「コト消費」の事例
瓦割り体験
東京都品川区にある「石川商店」では、漫画やバラエティ番組で見かける瓦割り体験ができます。「序の口お子さまレベル:1枚500円」「小結級少しイライラしている人:5枚2,000円」「関脇級不満を一気に解消したい人:10枚3,900円」という具合に、その日の気分に合わせて選べるさまざまなプランが用意されています。ストレス解消にもなると、国内外問わず多くの人から注目を集めています。
「irina」
「irina」は、銀座にあるスイーツショップ。ロールケーキタワーが有名で、ネット販売もおこなっています。ロールタワーは購入した人が自分で積み上げることで完成する、というのが大きな特徴です。
ロールタワーの個数は、「3段・12個」「4段・25個」「5段・42個」「6段・65個」と人数やシチュエーションごとで選ぶことができます。ただ単に完成した商品を買うのではなく、誕生日パーティーやホームパーティーなどで、家族や友人とロールケーキを積み上げていく楽しさそのものを価値として提供しています。
まとめ
「モノ消費」から「コト消費」へとニーズが変化している背景には、「日本で買いたい商品はすべて手に入れてしまった」「日本ならではの生活に根付く体験や文化に触れたい」というソフト面への需要が高まっているということがあります。日本人ならではのおもてなしをアピールできるチャンスでもあるので、インバウンドのニーズの変化をきちんと把握して、自社の戦略やサービスに反映していきましょう。
<参照>
- 平成27年度地域経済産業活性化対策調査
- 観光庁:訪日外国人消費動向調査「2017年年間値の推計」※確報値
- 石川商店 かわら割道場
- irina online shop
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ferret:「モノ消費からコト消費へ」ってどういうコト?定義から注目される背景まで解説
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