大阪・関西万博の開幕に先立ち、「EXPO酒場 本店」が4月11日、ルクア大阪および心斎橋PARCOにそれぞれオープンしました。万博会場を訪れる国内客・訪日客はもちろん、地元民やレストラン・ホテルなどの事業者、各パビリオンで働く外国人スタッフなども巻き込んだ交流の場を目指します。
主催するのはプロデューサー・クリエイター集団「demo!expo(デモエキスポ)」。「街から万博を勝手に盛り上げる」有志の団体です。
今回オープンした「EXPO酒場 本店」はどういった場になるのか、そして「demo!expo」は何を目指し、どこに向かっているのか。一般社団法人demoexpo 代表理事 / 株式会社⼈間 代表取締役・変なプロデューサーの花岡氏に、取り組みの狙いを聞きました。

【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
万博期間、世界中の人々が集う“まちの拠点”へ
「EXPO酒場」は、万博を楽しみたい人が勝手に集う拠点を創るプロジェクト。これまで大阪・関西を中心に北は青森、南は鹿児島まで巻き込み計75回開催、累計5,000人以上が来場しました。
そして今回、万博開幕直前に満を持して「EXPO酒場 本店」がオープン。場所は大阪の“キタ”と“ミナミ”それぞれの中心地に位置しており、キタ本店はルクア大阪 B2階、ミナミ本店は心斎橋PARCO B2階に開業します。
花岡氏「昼に万博を楽しんでもらった後、夜は大阪のまちを楽しんでほしい。その主となる取り組みがEXPO酒場です。日本人観光客や外国人観光客、さらには万博のパビリオンスタッフもターゲットと考えています」

花岡氏「特にパビリオンスタッフは数万人規模、しかも半年間必ず滞在するのに、大阪・関西の人と交流できずに帰国してしまったらもったいない。そこで海外パビリオン関係者向けに、EXPO酒場 本店でドリンクが楽しめる月額3,000円のサブスクリプション型サービス『KANPAI NIGHT PASS』を提供します。
万博の会場から出た後は、どこで何をしたらいいのかわからない状態だと思うんです。観光に来る人も働きに来る人も交流でき、つながりが生まれる機会になればと考えています」
3月15日にEXPO酒場 本店で行われたプレイベントでは、在大阪オランダ王国総領事館協力のもと、オランダに特化したポップアップイベントを実施。「万博と大阪の街」をテーマにしたトークセッションなども行われ、多くの人が来場しました。

今後の各国大使館やパビリオンとの連携に向け、10か国以上と話を進めているそう。日本人・外国人問わず、お酒や食事を楽しみながら文化交流できる場を目指します。
大阪の観光資源である“人”や“まち”を生かす「夜のパビリオン」
さらにEXPO酒場 本店を拠点に、まちのホテル・居酒屋・レストランなどのお店や、大阪の“面白い人”とつながれるしくみを、万博における「夜のパビリオン」と題して展開。ここで紹介するお店は、海外から来た方にも対応できるように考えているといいます。
大阪の観光資源である“人”や“まち”と、国内外の観光客・パビリオンスタッフをつなぎ合わせ、この期間にしかできないコラボレーションを生み出そうとしています。

花岡氏「日本人も外国人もそうですが、単に日本の観光名所をめぐるようなステレオタイプな観光は、旅慣れてる人にとっては面白くなかったりするんですよね。現地の人と喋って、その人たちの文化を知る方が楽しいと思うんです。EXPO酒場がそのハブとなり、万博後も続くつながりを創っていきたいと考えています」
「なんでもっと盛り上げないのか」万博に対する“怒り”が原点
「EXPO酒場」や「夜のパビリオン」をはじめ、さまざまなプロジェクトを企画・運営するdemo!expoは、大阪・関西万博について考えるプロデューサー・クリエイター集団。万博会場の外から“勝手に”面白い体験を生み出し、万博を楽しむ機運醸成につなげる活動を続けています。
花岡氏「万博がなかなか盛り上がっていないように見えたんですよね。なんでこんなに大規模な国の事業なのに、全然盛り上げる気がないんだ…最初はそういう怒りみたいな思いから、自分たちの力で何かできないかなと考えたのが始まりでした」
万博を盛り上げたい、もっと大きなことをやりたいという思いは広がり、今では大阪・関西を中心に、約30の民間企業・行政と連携しています。
花岡氏「EXPO酒場はルクア大阪、心斎橋PARCOが全面協力してくれてますし、博覧会協会や大阪市などとも連携する『民間行政』のような組織になってきています」
目指すは「まちごと万博」 まだ知られていない大阪の魅力を発信
万博を“勝手に”盛り上げる取り組みに、なぜここまでたくさんの人や企業、団体が賛同して集まったのか。そこには大阪というまちの文化が関係しているといいます。
花岡氏「大阪は元々商売のまちで、こういう大きなイベントがあれば、みんなが商いにつなげようとするんですよね。こういう動きは、オリンピックではあまり見られなかったことかもしれません。『勝手にやって、自分たちの利益にもしていく』という商売感覚は、大阪の強みでもあると思います。
ただ、万博に向けて、会場内でも外でもいろんな取り組みがありますが、どれも個々で動いていて、散乱しているような印象を受けました。それらを統合し、まちを主役にしたもう一つの万博『まちごと万博』を創り上げたいと考えています」

そして花岡氏は、観光地で起こるオーバーツーリズムの解決にも目を向けます。
花岡氏「大阪には美味しい店や景色の良い場所がたくさんあるのに、中心駅から1駅離れただけで、全然海外の人がいない場所が多い。そんな観光ガイドブックにも載っていないような場所を、『夜のパビリオン』や『EXPO酒場』の取り組みで紹介し、集中しがちな観光客の分散にもつなげられたらと思います」
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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