【中国越境EC】前年度50%増で1兆円超え市場に/今後の中国ECキーワードは「90後・95後・美容」 | 最新レポートから見る中国消費の「イマ」とは

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

こんにちは、クロスシー編集部です。本日は中国の「第一財経商業データセンター(CBNData)」と「天猫国際(Tmall Global)」が共同で作成した『2018年越境EC消費新状態(90後-95後)』のレポートから、「美容」に関する結果を紹介します。

※CBNは中国最大のビジネスメディアである「第一財経」のデータ分析会社、天猫国際はEC大手アリババ越境ECプラットフォームです。

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

消費者一人あたりの購入金額は増加、年代別では「95後」が最多に

まずは越境EC(輸入)総額の1年間の伸びです。2017年の10月までの10か月間と、2018年の10月までの10か月間を比較すると、437億元(7,211億円)から672億元(1兆1,088億円)と、約53.7%増となっています。 ※1円=16.5円で計算。

▲越境EC小売り(輸入)総額
▲越境EC小売り(輸入)総額

2018年第三四半期のマーケットシェアでは、天猫国際/Tmall(30.2%)、網易考拉(23.2%)、海囤全球(12.3%)、唯品国際/VIP(9.6%)、Amazon海外購(6.0%)などとなっています。

▲2018年第三四半期における越境ECシェア
▲2018年第三四半期における越境ECシェア

なお、アリババと同じくEC運営大手である京東(JD.com)の海外商品専用サイトである「京東全球購」は、2018年9月に「海囤全球」に改称しました。 

▲京東の海外商品専用サイトである「京東全球購」は、2018年9月に「海囤全球」に改称
▲京東の海外商品専用サイトである「京東全球購」は、2018年9月に「海囤全球」に改称

天猫国際におけるユーザーの消費金額に着目してみると、その伸び率は購入者数の伸び率を上回っています。ここから、消費者一人あたりの購入金額が、2016年以降大きくなっていることがわかります。越境ECでの消費が日常生活における重要度が増加していることの表れと言えます。
▲消費金額(紫)と、全体の消費金額の伸び(赤)、および購入者数の伸び(青)
▲消費金額(紫)と、全体の消費金額の伸び(赤)、および購入者数の伸び(青)

そして天猫国際の消費者数の年代別構成比を見てみると、最も多いのが95後、続いて90後となっています。

消費金額もこれらの年代で高く、1970年代生まれまでの各5年刻みの層を見ると、年代が上がるにつれて低くなっています。(どちらもデータ分析対象期間は2017年12月~2018年11月)

90後と95後は現在20代ですが、彼らの消費額が全体に占める割合は2016年~2018年にかけて年を追うごとに拡大しています。2017年12月から2018年の11月の1年間では90後と95後は合わせて全体の約4割を占めており、天猫国際では大学生が消費の主体になりつつあります。

レポートでは同年代で年々消費シェアが上昇する理由として、

  1. 彼らが新しい商品に心惹かれやすいこと
  2. 日常生活においてより多種多様なニーズを抱いていること

を挙げて説明しています。

▲天猫国際における年代別消費額構成比。左から順に2015年12月~2016年11月までの1年間、その翌年、翌々年。
▲天猫国際における年代別消費額構成比。左から順に2015年12月~2016年11月までの1年間、その翌年、翌々年。

また、2017年11月~2018年10月の一年間の消費の属性別構成比の伸び率を見ても、大学生と新社会人、つまり90後・95後を中心とする層で顕著な伸びが見られます。

美容・メイク関連商品編 ~大学生ではダントツ人気。90後全体ではフェイスパックなどフェイスケア商品、メイク用品は口紅に支持~

大学生の購入商品別消費金額を確認してみると、「美容・メイク関連商品」がトップで群を抜いており、特にフェイスパックが人気となっています。

続くアパレル・ファッション用品ではネックレスと腕時計が人気です。続く第3位は医薬品、第4位はシャンプーなどヘアケア・ボディケア商品、第5位にはデジタル家電がランクインしました。

▲大学生による商品カテゴリ別消費金額比率
▲大学生による商品カテゴリ別消費金額比率

またこうした「美容・メイク関連商品」のうち、90後と95後の消費金額順商品ランキングは「フェイスパック」「フェイスケアセット」「フェイスエッセンス」「日焼け止め」「洗顔料」「化粧水」「リップクリーム、口紅」「乳液・クリーム」「化粧落とし」「香水」となりました。

アイメイク用品がランクインしておらず、この点は日本の主流なメイクアップ手法と異なるところでしょう。

▲美容・メイク関連
▲美容・メイク関連

注目すべきは「フェイスエッセンス」のカテゴリです。これは高濃度の美容液を意味し、日常的な保湿目的というよりは、アンチエイジングの効能を主眼に置いて購入されているようです。

特に新人社員として働き始めたり、残業が日常となっていたりする20代にとって、ダメージを抱え込む肌への「応急処置」としての使われているようです。

SNSのWeibo内のホットワードと人気美容機器

またメイク用品はサプリメントも人気です。ヒアルロン酸、アミノ酸に関するWeiboでの口コミはこの2年間、不動の2トップとなっています。

▼Weiboとは?

【中国版Twitter】Weibo(微博/ウェイボー)活用のための基礎知識 ~利用シーンと公式アカウントの分類、広告のタイプをおさえる~

こんにちは、クロスシー編集部です。前回は現在7億ユーザーを有するWeiboについて、基本構造・SNSとしてのWeChatとの違い・2017年のユーザー構成の変化を紹介しました。WeChatと異なりリーチが広いことや、ユーザー構成においては性別・年齢・地域ともに偏りのない状態を実現しつつあり、引き続きインバウンド需要取り込みにおいて重要な地位を占めるSNSとなることが確認できました。続く本編では、ユーザーがWeiboを利用する目的と、Weibo上で可能な具体的な露出の施策をご紹介します。関連...



▲Weiboでの美容関連ホットワード。2018年の1位はヒアルロン酸、2位はアミノ酸。3位ニコチン、4位カフェイン、5位に別名称のヒアルロン酸が再度ランクインしている。6位と7位にペプチド、8位に茶ポリフェノール、9位にセラミド。
▲Weiboでの美容関連ホットワード。2018年の1位はヒアルロン酸、2位はアミノ酸。3位ニコチン、4位カフェイン、5位に別名称のヒアルロン酸が再度ランクインしている。6位と7位にペプチド、8位に茶ポリフェノール、9位にセラミド。

2017年12月~2018年11月の一年間で最も売れた美容系機器は、脱毛、美顔、歯のホワイトニング、電動歯ブラシ、ヘアアイロン(カール用)となっています。

リーファやフィリップス、スムーズスキン、サロニアなど日本でも人気の製品がECサイトを通じて中国でも購入されていることがわかります。

▲2017年12月~2018年11月の一年間で最も売れた美容系機器
▲2017年12月~2018年11月の一年間で最も売れた美容系機器

まとめ ~インバウンドでも、多様化するニーズと、快適さを増す住空間を持つ20代へのアプローチを考える~

天猫国際での90後・95後(20代)が好む国別ランキングでは、1位日本、2位アメリカ、3位韓国、4位オーストラリア、5位フランスという結果が出ています。それぞれのトップ3人気商品では、

  • 日本は、1位ゲーム機/2位紙おむつ/3位サプリメント
  • アメリカは、洗顔料/バス関連ベビー商品/イヤホン
  • 韓国は、BBクリーム/フェイスケアセット/日焼け止め
  • オーストラリアは、妊婦用のサプリメント/ベビーフード/フェイスパック
  • フランスは、メイク落とし/化粧水/乳液・フェイスクリーム

となっています。

越境ECという購入手段が身近になったからこそ、このように商品のカテゴリ別で支持する国が明確に分かれてきたとも考えられます。美容の分野においては、韓国、フランス製品への信頼はもとより、イギリス、スペインのボディメイキングにも関心が高まっています。

これらのトレンドを支えるのは、「自分を美しく見せたい」「美しくなりたい」という、万国共通ともいえる20代女性の普遍的な願望です。これまであまりメイクをしてこなかった中国人女性のボリュームゾーン層の間でも、美容への関心が急速に高まっています。中国人向けに商品を展開する際には根源にある消費者の強い思いを認識することで、中国人消費者への訴求がより効力のあるものとなるはずです。

また20代の消費行動においてはニーズが多様化しています。越境ECはそれに応えられたからこそ売上を伸ばし続けているとも言えるでしょう。レポートではこのほか、食品やアパレル商品、キャラクターグッズ、寝具や暖房器具などの生活用品、ペット用品についても詳細な分析がなされています。

こういったアイテムが身近にあるライフスタイルをイメージすることは、インバウンドにおける販売促進や越境ECにおける商品展開、またそのプロモーションのプラン設計の際の参考になるでしょう。

ご紹介したレポートでは、2020年には越境ECユーザーは2億人を超すと予想しています。インバウンド旅行者の体験型(コト)の消費への転向が報じられていますが、中国人消費者の「手に取れる商品(モノ)に対する購入意欲」も上昇を続けているのです。

2019年1月から施行された「電子商務法」により、天猫国際や網易考拉をはじめとする越境ECサイトへのニーズも高まるとみられます。越境ECというプラットフォームを活用することで、さらに広い中国市場へのリーチが可能となるでしょう。

▼「電子商務法」について

最大3400万円の罰金 中国「ソーシャルバイヤー」規制で『爆買い』さらに沈静化へ?/2019年1月施行の「電子商務法」とは

中国の10月初旬の大型連休「国慶節」では、海外旅行先人気ナンバーワンとなった日本。実は日本に旅行に来ていなくても、中国国内で日本製品のファンとなっている人たちがいます。こういった中国人は、「越境EC」や「ソーシャルバイヤー」を通じて日本製品を購入しています。本編ではソーシャルバイヤーの実態と、来年2019年に開始される規制とその影響について解説します。インバウンド最大の中国市場は「旅マエ」にアプローチするのが重要!おすすめのインバウンド対策を資料で詳しくみてみる「中国インフルエンサープロモ...


訪日ラボ 最新版セミナー&インバウンド情報まとめ

訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。

Google「飲食店・ホテルサミット」11/14開催!飲食・ホテルに特化した最新機能やここだけの情報を入手しよう


Google は 11 月 14 日、「飲食店・ホテルサミット」を東京・渋谷で開催します。オフライン・オンラインのハイブリッド開催で、参加費は無料です。

今、国内客・インバウンド客向けの集客手法として注目される「Google ビジネス プロフィール」を中心に、飲食・ホテル向けの最新機能やトレンドといった情報を、Google の担当者から直接聞くことができる貴重なセミナーイベントとなっています。

また、イベントの最後には会場参加者限定で交流会も実施します。Google ビジネス プロフィールを運用されている / これから運用したいと考えている飲食店・ホテル担当者の方、この機会にぜひお申し込みください!

※訪日ラボ/口コミアカデミーを運営する株式会社 mov は、Google 主催「飲食店・ホテルサミット」のメディアパートナーです。

※会場の座席には限りがございますのでお早めにお申し込みください。来場希望者が多い場合は抽選となる場合がございます。

詳しくはこちらをご覧ください

Google「飲食店・ホテルサミット」11/14開催!飲食・ホテルに特化した最新機能やここだけの情報を入手しよう

【インバウンド情報まとめ 2024年9月後編】中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本 ほか

 

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に9月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本:インバウンド情報まとめ 【2024年9月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

株式会社クロスシー

株式会社クロスシー

株式会社クロスシー編集部。中国語圏向けに日本情報の提供をするインターネットメディア運営・レップ事業を展開すると共に、訪日観光客向けのマーケティング・ソリューションを提供しています。日本の観光立国を実現すべく、メインターゲットとなる中華圏への観光情報、サービス、商品について、日中間の情報格差を埋め、観光客にとって最高の日本体験の提供を目指しています。

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに