最大3400万円の罰金 中国「ソーシャルバイヤー」規制で『爆買い』さらに沈静化へ?/2019年1月施行の「電子商務法」とは

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中国の10月初旬の大型連休「国慶節」では、海外旅行先人気ナンバーワンとなった日本。実は日本に旅行に来ていなくても、中国国内で日本製品のファンとなっている人たちがいます。

【中国】「国慶節」人気旅行先ランキング

国慶節についてはご存知でしょうか?国慶節とは中国の大型連休であり、その期間は10月1日から約1週間前後です。日本で例えるとゴールデンウィークのようなイメージでしょう。国慶節期間中における中国の方々は、家で家族とゆっくり過ごすか、海外や国内の旅行に行くことが多いとされています。近年、国慶節では、海外旅行がブームとなっており、中国最大級のオンライントラベルエージェンシーである、Ctripが国慶節期間における海外旅行先人気ランキングを発表しました。インバウンド最大の中国市場は「旅マエ」にアプロー...

こういった中国人は、「越境EC」や「ソーシャルバイヤー」を通じて日本製品を購入しています。本編ではソーシャルバイヤーの実態と、来年2019年に開始される規制とその影響について解説します。

代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の実態や意味

訪日中国人観光客による爆買いの裏には、代理購入(別名:ソーシャルバイヤー、代購、海淘)があります。今回は、この代理購入の背景と市場規模について中国でのECサイトの状況や爆買いとの関係、利用者層の観点から解説していきます。目次代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)とは代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)誕生の背景「信用」を重視する習慣C2CがメインのEC市場海外製品を中国国内で買うと割高代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の市場規模は19兆円!代理購入(ソーシャルバイヤー、代...

インバウンド最大の中国市場は「旅マエ」にアプローチするのが重要!おすすめのインバウンド対策を資料で詳しくみてみる

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越境ECとは? ソーシャルバイヤーとは?

中国における「越境EC」とは、中国から見たときの『海外製品』を専門に扱うECサイトや、海外製品を購入するチャネルを意味します。日本や韓国、オーストラリアやシンガポール、アメリカやヨーロッパなど各国の製品が、アマゾンや楽天といったECサイトのように、インターネットを通じて気軽に購入できるサービスです。

越境ECのプレイヤーにも、検索エンジンなどのインターネットサービス同様、中国独自の勢力図があります。中国でもアマゾンは展開していますが、EC業界の巨頭であるアリババ京東商城や、越境ECに強いネットイース、また日本製品に特化したECサイト、商品紹介の手法に特徴のあるもの(ライブ配信や、写真のタグから商品に飛ぶ形式など)など、それぞれ優位性を発揮する複数のプラットフォームがしのぎを削っています。

インターネット利用者のうちスマホの利用率が非常に高い中国では、もちろんこういったECの利用でもスマホ経由が多くなっています。

▲越境ECの「RED」個人のタイムライン(左)。Instagramのように表示される写真にタグが埋め込まれており、このタグをたどると同ブランドの商品がいくつも出てくる(右)

▲越境ECの「RED」個人のタイムライン(左)。Instagramのように表示される写真にタグが埋め込まれており、このタグをたどると同ブランドの商品がいくつも出てくる(右)

中国では現在、こうした海外製品は、所得を拡大し「より良質な」製品を望む人々から支持されています。中国の電子商務研究センターが発表した2018年上半期の中国の越境ECの市場規模は、取引額1兆元(約17兆円)に達しています(昨年同期比で19.4%増加)。この勢いはまだまだ衰えることはなく、2018年全体では1.9兆元(32.3兆円)と予測されています。

越境ECの市場が拡大するに従い、勢力を伸ばすのがソーシャルバイヤーと呼ばれる人々です。ソーシャルバイヤーは、海外で購入した物品をタオバオやSNSを通じて販売する人々で、個人で動く人と組織化された団体による販売と両方が存在します。

なぜソーシャルバイヤーが増加した?

日本製品のファン獲得、販売の拡大に貢献しているともいえるソーシャルバイヤーは、中国の経済成長に伴いこの数年目立った存在となっていました。

彼らの多くは、日本旅行や留学生活を利用し日本で人気の商品を購入します。そしてそれらをスーツケースに詰めてあるいは船便で送り、中国現地の希望者に販売します。ただし、そういった商品について、あくまで個人の贈り物の範囲であるとして扱うソーシャルバイヤーも存在します。

こういった行為を政府が快く認めるはずはなく、2019年の1月よりソーシャルバイヤーの輸入行為への検査と規制を強めることが決定しました。

新しい法律の施行:ソーシャルバイヤーを本格的に規制?

2019年1月に施行される「電子商務法(通称:電商法)」では、これまでECとして扱われていなかった「WeChatのタイムラインを通じた商品の販売」や「ライブ配信の形式を用いた商品の販売」についても越境EC事業とみなす法律です。

電商法の施行後はこういった行為を行う個人や組織に対し、役所での登記や行政の許可を受けることが義務付けられます。また当然、販売に伴い納税の義務も生じます。

また、SNSのタイムラインやライブ配信が対象となることで、個人のネットショップ、マイクロビジネス、ライブ配信による営業がEC事業者によるものとされるだけでなく、他人の投稿に「いいね」をつける協力行為や、新規購入者への優遇も納税義務のある事業者とみなされます。このような取りこぼしのない法整備からはこれまでにない政府の本気度がうかがえます。

知人友人相手でさえ金銭の授受が発生すると規制対象に

驚くことに、親戚や友人といった身近な人に対し、ごく小規模に海外製品を渡す場合も、金銭の授受が発生するとこの法律の定める納税義務の対象者となります。事業者の登記はいらないものの、必要な納税を怠った場合には2万元~50万元(約34~850万円)の罰金が課されます。

違法者に課される罰金は最大でなんと200万元(約3400万円※1元=17円換算)であり、その額面には行き過ぎの印象もあるかもしれませんが、これまでソーシャルバイヤーで成功した人々が家や車を購入するほどの富をなしていることを考えれば妥当な金額なのかもしれません。

ソーシャルバイヤーによるECビジネスでこれまでもあった問題、今回の規制にどれほどの効果が?

なぜ今回規制が入ることになったのでしょうか? 今回の法制定の以前にも、ソーシャルバイヤーには、収入を申告せず納税を回避するケースがあること、偽商品の流通に加担していること、個人情報の管理が不適切であること、また不良品の責任をとらない販売者が多い、といった問題が指摘されていました。

SNSの普及に伴い、タイムラインで展開されるソーシャルバイヤーの活動はますます活発に、ますます把握し難しくなっています。

中国最大のメッセージングアプリの「WeChat」には自分の更新情報を友人に知らせる「タイムライン」の機能が存在しますが、テンセントは同サービス上の転売行為に関して、ユーザーの通報をもとに機能の制限やアカウントの凍結を通じて協力していることを発表しています。しかし、それだけでは解決できない問題であることが今回の法制定に表れているようです。

今後は脱税や登録がない事業者による販売に厳罰を科すことで、販売者自身の法順守の意識を高めていく狙いがあるのかもしれません。また実際に、今回の国慶節の休暇中、中国の空港では、大きなスーツケースを持つ旅客に対し荷物を開けさせて検査をしており、こういった動きからも政府の「本気」がうかがえるようです。

中国の税関における取り締まり強化についてのTwitter投稿
▲中国の税関における取り締まり強化についての投稿:Twitterより訪日ラボ編集部スクリーンショット

Twitter:中国の税関における取り締まり強化についての投稿(https://twitter.com/63710847Kin/status/1048013092678905856)

規制入っても止まらぬ消費:それでもソーシャルバイヤーを使いたがる購入者の心理とは?

こういった問題があっても、なぜユーザーはソーシャルバイヤーを使うのでしょうか?その理由の一つとして、中国では今も海外についての一次情報がアクセスしづらいということが挙げられるでしょう。

ソーシャルバイヤーを購入チャネルの一つとして検討する人々のうちにも、本物を買いたいと考える人も少なくありません。ところが、ほしい商品をどこから入手すればよいかわからないため、こういった一部リスクのある窓口を頼るしかなくなってしまうのです。

今回の規制に対し「販売額が大きくなってしまい購入者の負担が増えるだけだろう」と考えるソーシャルバイヤーもいます。今中国で需要のある日本商品、また今後売れるであろう日本商品も数多く存在します。正規ルート、適正価格で日本の事業者が販売することを待っている中国人ユーザーもいるのではないでしょうか。

まとめ ~越境ECへの進出で、ユーザーも待つ日本ブランドを届ける!

海外製品、特に日本製品への需要は日々高まっています。先に見た理由だけでなく、ソーシャルバイヤーの取り扱う魅力は「この人のレコメンドなら買いたい」「ほしい商品がここでしか買えない」といった点もあります。

彼らの活動には、越境EC、ひいてはインバウンド需要取り込みのためのヒントが隠れています。今後減少する可能性もあるソーシャルバイヤーですが、越境EC展開の参考とするべき存在でしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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