多くの訪日外国人観光客が訪れている「ゴールデンルート」。そもそも「ゴールデンルート」とは一体どんなルートを指しているのでしょうか。今回は、インバウンドにおけるゴールデンルートの意味と、ゴールデンルートに含まれる都市を併せてご紹介します。
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ゴールデンルートとは
ゴールデンルートとは、外国人観光客が訪れる日本の王道観光ルートのことです。費用を抑え、効率的に日本の定番観光地を訪れられることから人気となっています。訪日外国人観光客に特に人気のあるゴールデンルートは、東京・箱根や富士山周辺・名古屋・京都・大阪という日本の人気5都市を周遊するルートです。
新型コロナウイルス感染拡大前の観光庁による2018年訪日外国人の消費動向によると、訪日外国人滞在日数は平均6.0泊と短期滞在傾向にあったことから、滞在日数が短くても日本の魅力を堪能できるルートとして人気を集めました。
ゴールデンルートの楽しみ方
東京観光では、銀座、浅草、秋葉原、東京タワーや東京スカイツリーといった定番の観光エリアが人気です。各観光スポットをまわりつつ、高級百貨店や家電量販店、ドラックストアなどでの買い物コースが一般的です。
ゴールデンルートの例
1日目成田空港到着後、東京へ向かう。上野公園や浅草、スカイツリーなど上野・墨田周辺を観光。
2日目銀座の高級百貨店や新宿の繁華街、秋葉原の家電量販店などでショッピングを楽しむ。
3日目箱根に向かい、芦ノ湖から富士山を一望。周辺の観光スポットを回って、富士山のお膝元、河口湖へ向かう。
4日目世界遺産に登録された富士山の5合目からスタート。プランによっては山頂まで登山することも。その後、静岡側から富士山を見ることのできるスポットである浜名湖を通って、名古屋に向かう。
5日目名古屋城を見学したあと、京都へ向かう。金閣寺・清水寺などの主要寺院や、トリップアドバイザーの『外国人に人気の日本の観光スポット ランキング 2018』で1位に選ばれた伏見稲荷大社などの寺社仏閣を見学する。
6日目大阪で大阪城を見学。道頓堀や心斎橋を訪れる。USJに行くことも。一日大阪を満喫したあとは大阪で一泊。
7日目関西国際空港から出国。
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地方都市におけるインバウンド客獲得に向けて
ここまで紹介してきた「ゴールデンルート」は、初めて日本を訪れる外国人観光客向けの周遊ルートです。
2回以上日本を訪れているリピーターは、ゴールデンルートに含まれる主要観光地は行きつくしていることが多く、地方都市に足をのばすようになります。
実際に、観光庁の平成29年(2017年)に発表された「訪日外国人旅行者の訪日回数と消費動向の関係について」によると、訪日外国人観光客はリピーターになればなるほど、地方に足を延ばす傾向が見られます。韓国、台湾、香港では地方への延べ訪問率が100%近くまで上昇しています。
リピーターから地方都市が人気を集めている理由のひとつは、その地域に残る日本の文化を体験できることです。
地域都市では、ゴールデンルートにはない、地元の郷土料理や農村体験など地域に根付く文化を肌で感じることができます。グローバル化が進んだ東京や大阪だけでなく、日本文化を味わえるディープな地方の観光スポットは魅力的に感じられるのではないでしょうか。
以下では東北が台湾に向けてプロモーションイベントを実施した際の成功事例について紹介します。
2016年開催の「日本東北遊楽日 だいすき♡♥とうほく」には、11万5千人もの来場者数を記録
2017年、日本政府観光局(JNTO)、東北観光推進機構、日本観光振興協会東北支部及び東北運輸局は、台湾において東北地方に特化したプロモーションイベントの実施を発表しました。
2016年に開催された「日本東北遊楽日 だいすき♡♥とうほく」では、11万5千人もの来場者数を記録しました。台湾人から人気の高いイベントです。
2017年は、「感謝」を伝えた3年間の次のステップとして『東北を楽しむ』ことを呼びかけ『ぜひ東北へ 行ってみよう!』と思ってもらうことを目的に迫力ある伝統芸能のステージパフォーマンスや 文化体験、東北の食の魅力等を台湾の皆様に強力に発信しました。
さらに、台湾南部からの旅行者のさらなる取り込みを図るために、現地旅行会社等と連携した一般消費者向け東北PRセミナーを高雄市にて開催したほか、現地旅行会社向けに東北観光セミナーや商談会により東北への旅行商品化や、販売を促進に向けた、「東北プロモーション in 台湾2017」を高雄市、 台中市、台北市で開催しました。
東北エリアが一体となって各種プロモーションを集中的に行うことで、台湾における東北の認知度向上と台湾から東北への旅行者の拡大を図ることを見込んでいます。このように、ゴールデンルートのみならず多くの地方都市では訪日外国人観光客を集客する取り組みを、地方自治体と連携しながら積極的に行っています。
地方訪問を促すために必要なこととは?
以下で、インバウンドの地方訪問を促進させるために必要なことを2点紹介します。
1. アクセスの改善
地方訪問を促すとなったときに、まず必要となるのがアクセスの改善です。訪日外国人が地方に行きたいと思っても、交通手段がなかったり、電車やバスの本数が少なかったりしては行くことができません。
電車・バスを増便する、数は多くあるものの実際にはあまり使われていない地方空港を活用するなど、地域に合った交通手段を整備する必要があります。
先ほどの東北地方の例では、航空会社のタイガーエア台湾で、台北−仙台という新路線が誕生したことも訪日のきっかけになったと考えられます。
また、宮城交通では高速バスに車内Wi-Fiを導入し、インバウンド客の利便性向上を図っています。
2. 観光地・自治体同士の協力
日本人にとって、「〇〇県に行きたい」などと都道府県単位で旅行先を決めることは一般的です。しかし訪日外国人の都道府県名に対する認知度は低く、「Tokyo」と言ったときに関東のかなり広い地域を指していることも多くあります。
したがって訪日外国人にプロモーションする際は都道府県などの小さな単位ではなく、複数の観光地を含む広域で協力するほうが効率がよく、効果も高いでしょう。
また、観光庁では「広域観光周遊ルート」の選定を2017年に行いました。自治体の枠組みを超えた地域が一つのルートとして設定されています。大都市圏以外にも、北海道、東北地方、中部地方、四国地方、瀬戸内地方、山陰地方、九州地方など全国的にルートとして指定されています。
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ゴールデンルートの利点を地方にも波及へ
「ゴールデンルート」は、一度に日本の有名観光地を満喫できるため、団体ツアー客や日本がはじめての旅行客に人気のルートです。
しかし、今後は個人旅行や訪日外国人リピーターの増加に伴い、さらなるインバウンド誘致に向けてゴールデンルートでは体験できない魅力が求められます。
そのためには、旅行客の目的に合わせた稲刈り体験や魚への餌やり体験などバラエティに富んだ、さまざまな体験コンテンツを用意することが重要です。各地域で観光資源を発掘できれば、訪日外国人観光客を取り込むためのオリジナルルートを無限大に拡大させることができるはずです。
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<参照>
観光庁:広域観光周遊ルート
観光庁:訪日外国人の消費動向
観光庁:平成29年訪日外国人消費動向調査【トピックス分析】訪日外国人旅行者の訪日回数と消費動向の関係について
ライブ通訳:インバウンドのゴールデンルートから探る!地方都市への観光客誘致
MC Catalog+:ゴールデンルートと地方に広がるインバウンドのチャンス
ジャパン・ワールド・リンク:ゴールデンルート
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