AIチャットボット開発秘話 - なぜ、元ホテル事業者が多言語AIチャットボット「ObotAI」をリリースしたのか

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様々な業界で人材不足について話題になっていますが、インバウンド業界でも同じことが言えるでしょう。特にホテル飲食店では、訪日外国人が増加していますが、対応できる人材を採用することは難しく、悩んでいらっしゃる方々が多いのではないでしょうか。

近年、人材不足を解消するべく様々なツールが登場しています。その1つとして挙げられるのが、WEBサイトに訪れるお客様の問いに自動で回答してくれるチャットボットです。お店やホテルの受付に寄せられる問い合わせをチャットボットが代わりに答えてくれることにより、迅速な回答を実現し、人が対応する手間を省いてくれます。さらに一部のチャットボットでは多言語対応できるものも登場しています。そこで今回、多言語AIチャットボットObotAIを提供する株式会社MARIANA OCEAN JAPAN 代表取締役 北見 好拡氏にインタビューをしてきました。


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多言語AIチャットボットObotAI生まれたワケ

-ObotAIはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

インタビューに答える株式会社MARIANA OCEAN JAPAN 代表取締役 北見 好拡氏
インタビューに答える株式会社MARIANA OCEAN JAPAN 代表取締役 北見 好拡氏

株式会社MARIANA OCEAN JAPAN 代表取締役 北見 好拡氏(以下、北見氏):

サイパン・グアムにてホテルをはじめとしたリゾート事業を先代より引継ぎ、40年以上運営をしてまいりました。時代の変化とともにお客様の考え方やニーズも変化し、また、ホテルに訪れるお客様の人種も多種多様になりました。例えば、20年ほど前は日本人が多く訪れていたのですが、リーマンショックや震災の影響で来客数が徐々に減り、2018年には日本からのサイパン直行便も廃止されました。

しかしここ数年、中国からの観光客が増え始め韓国や様々な国の方が訪れるようになりました。外国語での問い合わせに対応をするため、新たなスタッフを雇い入れる必要がありました。しかし、ローカルの人口は決して多くなく、島外からになるとビザの問題や24時間対応など採用のハードルが高く、常に人材不足に悩んでいました。

今後、ホテル事業をどのようにしていこうかと考えていた時に「ホテルを譲って欲しい」という打診がありました。ホテル事業をこのまま続けていくことも検討しましたが、悩んだ末売却しました。

ある程度の資金を得られたこともあり、ホテル事業者としての経験を生かしつつ、成長市場にチャレンジしてみたいと考えていた矢先、チャットボットに出会いました。おもてなしを大切にしてきたホテル事業としての経験も活かせますし、課題を感じていた人材不足を解決できるサービスだと思い、一念発起しました。

-自社開発されているのでしょうか?

北見氏:

はい。自社開発をしています。開発を外注するという選択肢もありましたが、「自分たちの手でこだわり抜いて作りたい」という思いがありました。

ホテル事業をしていた時からの思想なのですが「特徴があるものでないとお客様から選んでいただけない」と考えています。ホテルにも、敷地内でサーキットや最大級のスパを作るなど、特徴あるものを取り入れていました。その思想もあり、要望をすぐに取り入れられるよう各国から優秀なエンジニアを集め、自社でObotAIの開発に挑みました。

現在では、インバウンド業界にはもちろんのこと、多様な業界で利用していただけるチャットボットを展開できています。多言語(7言語)対応、様々なコミュニケーションツール(Web chat・Facebook Messenger・LINEWeChatカカオトーク・スマートスピーカー・スマートディスプレイ)での接続、予約システムとの連携、ホテルチャットボットに必要なテンプレートのご用意や国籍に富んだデータ入力スタッフIT検収機能など豊富なサービスを組み込みました。

人件費削減、販売促進、マーケティングデータ収集に活用できる

-ObotAIを導入するとどのような効果がありますか?

北見氏:

3つの効果があると考えています。

1つは、人件費削減です。例えばホテルであれば、フロントに寄せられる問い合わせをObotAIが代わりに返答します。近年だと様々な外国人が日本のホテルに訪れています。本来であれば、英語中国語などを話せるスタッフを採用しないと対応できない質問もあると思いますが、ObotAIであれば、7言語に対応できますので、その分の人件費を削減できます。

2つ目は、販売促進にもつながると考えています。我々はハンドメイドソープのEC事業を運営しており、サイト内で実際にObotAIを活用しています。これまで深夜に来ていた問い合わせには対応できなかったのですが、ObotAIが24時間自動対応してくれるので非常に助かっています。お客様さまは疑問点を早く解消したいものです。スムーズに疑問点を解消できれば、機会損失を防ぎ、購買率も上がると考えています。

-3つ目はどのような点でしょうか?

北見氏:

マーケティングデータの収集にも活用できると考えています。例えば、経験のあるドアマンやホテルマンだと、どのようなことをすれば、お客様が喜ぶか、どのような受け答えをすればいい、といったノウハウが蓄積されています。しかしながら、それは個々人の担当者にしか蓄積しません。

ObotAIであれば、質問履歴を貯めることができるので、ノウハウを蓄積できます。また、会話形式でのアンケート収集も可能なため、スムーズな会話で情報を集め回答率をあげることで、より良いサービスの提供・最適化へ繋げられることが可能です。

ObotAIの性能について答える北見氏
ObotAIの性能について答える北見氏

WeChat、カカオトーク、AIスピーカーにも対応:7言語での受け答えができる

-様々なチャットと連携できるとお伺いしておりますが

北見氏:

ObotAIは様々なコミュニケーションツールにも対応していますし、AIスピーカーにも対応できます。チャットであれば、WebChat、WeChatLINEFacebook Messenger、カカオトークの5種類に対応していますので、日本に訪れる外国人のほとんどをカバーできます。さらに、日本未発売のGoogle Assistant搭載のスマートディスプレイ「Lenovo Smart Display」をアメリカより取り寄せ、検証が完了しています。日本で発売され次第、対応が可能です。


 -対応言語数は?

北見氏:

7言語に対応しています。具体的には、日本語、英語韓国語中国語(簡体・繁体)、タイ語、ロシア語です。

ホテルだけではなく様々な活用方法がある:社内マニュアルとしての利用も

 -今後の展望を聞かせてください

北見氏:

ObotAIを沢山の方々に利用していただけるように活動していきます。ありがたいことにホテルを始め、様々な業種で導入が進んまいりました。

住宅を販売されている企業様でも活用が進んでいます。住宅の場合ではお客様の質問が非常に多く、従業員の負担を減らすためにご活用いただいています。また社内でわからないことがあった時にObotAIに質問するといった、社内マニュアルとして利用していると事例もあります。

その他、自治体からの引き合いも頂いております。沢山の方々に利用していただけるよう、ObotAIをバージョンアップし続けていきたいと思います。

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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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