2000年に入ってから、ニセコは国際的なリゾート地としての地位を確立しており、中国人旅行者の増加ともあいまって、更なる盛り上がりを見せています。
この記事では、ニセコはなぜここまで大きな観光地になることができたのか、近年はどのようなプロモーションを行っているのかに加え、北海道のニセコで生まれたDMO「ニセコプロモーションボード」も合わせて解説していきます。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
ニセコプロモーションボードとは?
一般社団法人ニセコプロモーションボードの取り組み
一般社団法人ニセコプロモーションボード(通称:Niseko Pomotion Board)は、ニセコエリアの広報、及び販促活動を行う非営利機関です。ニセコもオールシーズン対応の国際的な滞在型リゾート地へと成長させ、宿泊数の拡大を目標とし、各事業者を代表したエリアのプロモーション活動を行っています。
平成19年に設立され、現在ではニセコの不動産所有者、不動産事業者、物件管理事業者、ホテル、レストラン、アクティビティ提供、そして事業者小売店など、1000を超える個人や企業が加盟をしています。その所属会員の年会費を財源とし、ニセコプロモーションボードの活動費としています。各種事業の様々な意見を取りまとめるために、理事会は15名の理事と、5名の幹部及び最高顧問の合計21名により構成されています。
ニセコ公式アプリでニセコの情報を発信
ニセコプロモーションボードは2017年に「ニセコ公式アプリ」をリリースしました。
主にスキーをする観光客に対して、ニセコ全山のリフトの運行状況や当日の流れの情報、アクティビティ情報などを一元的に提供するサービスです。このアプリは、ニセコエリアを観光に必要な情報は、すべて網羅されており、英語での案内も行っているため、ニセコを訪れる多くの外国人観光客も使うこともできます。
またGPS機能を搭載しており、ニセコ内のスキー場をつなぐシャトルバス「ニセコユナイテッドシャトル」の現在の走行場所や、遅延時間などをリアルタイムで表示でき、その他に近辺の観光地(小樽・函館など)へのワンデーツアーの情報も確認することができます。
SNSを活用したインバウンド対策
SNSプロモーションを活用したインバウンド対策
オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどから訪れるスキーヤーに向けてアピールする目的で、ニセコプロモーションボードはSNSを効果的に駆使した、ニセコの魅力発信を積極的に行っています。
YouTubeでは、英語と中国語の動画を作成していたり、中国人のモデルを起用し、ニセコのスキー以外の楽しみ方を紹介することで、ニセコに長期滞在を決める訪日客を増やしより多くの経済効果を生むことが期待されます。
その他のSNSであるTwitter、Instagram、Facebookは英語での運用を行っています。SNSを活用することで映像や画像、テキストを効果的に活用し、潜在的な需要を創出しています。
ニセコエリアの観光マップを無料配布
ニセコプロモーションボードは「ニセコリゾートマップ」と「ニセコ全山ゲレンデマップ」の2種類のマップを創刊しました。ニセコのリゾートマップは、エリア内の宿泊事業者や観光案内所など、観光客が目につくような場所に無料配布されています。
ニセコプロモーションボードの会員サポートもあり、現在ではニセコエリアを楽しむために最も欠かせないマップとなりました。ニセコアンヌプリ、 グランヒラフ、ニセコビレッジ、昆布温泉などエリア内の宿泊施設やお土産を購入できるお店の場所なども分かりやすく掲載されています。
公式ホームページからダウンロードすれば、携帯からいつでもどこでも見ることができるため、とても便利です。 毎年9月から10月に掲載募集を行い、スキー場のオープンに合わせて毎年最新版がエリア内に配布されます。
国内観光客の誘致にも力を入れる
ニセコに長期滞在する日本人観光客が増加
実はニセコを訪れる観光客は外国人だけではありません。 平成26年度のデータによると日本人は年間67万人泊なのに対し、外国人は29万泊となっています。外国人の人気は高いとはいえど、延べ宿泊するで見れば国内旅行客の方が多くの割合を占めていることがわかります。
スキーシーズンは外国人が多くを占めますが、夏になると避暑地を求め、首都圏や東名阪からマンスリーで来る方もいます。コンドミニアムは冬は非常に高く、4~6人が泊まれる2ベッドルームは1泊約8万円しますが、夏になると1ヶ月15万~20万円と、かなりリーズナブルです。
日本人のシーズン中の消費単価では、外国人観光客と比較すると低くなってしまいますが、 日本人旅行者の存在を無視することができません。
北海道市内のグルメや観光情報を旅行者目線で発信
ニセコプロモーションボードの公式サイト内に掲載されているのが地域の旅行ブログです。グルメやアクティビティ、自然の様子などが写真とイラストを用いて説明されています。
北海道のニセコを訪れたことがない観光客であっても、ブログを見ることでお店の雰囲気や料理など、リアルな情報を簡単に手に入れることができます。また、日本人観光客にとって「ニセコ=スキー場」というイメージが強いため、スキー以外のアクティビティを紹介することにより、「一年を通して楽しめるニセコ」「家族みんなで楽しめるニセコ」のアピールに努めています。
インバウンドと国内観光客の満足度アップで地域活性化
これまでニセコプロモーションボードの活動を具体例を交えながら説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
2000年代の初頭は、スキー場の一つでしかなかった北海道のニセコですが、組織的なプロモーションと販促により、現在ではスキー場兼リゾート地としての地位を確立するまでに至りました。
インバウンドと国内の観光客両者に向けた発信を行うことで、総合的な満足度を向上させ、リピーターを生むことに成功しています。ニセコで毎年会う人たちのコミュニティもできており、コミュニティーの方が中心となってニセコを積極的に宣伝してくれる存在となっています。
北海道を代表するDMOとして、インバウンドと国内需要をどのように取り組んでいくのか、今後の活動にさらなる期待が高まります。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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