OTA大手3社に公取委立ち入り”最安値”強要の不当契約の疑いで/今後インバウンドのホテル予約に変化も?

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

10日午前、楽天トラベルBooking.com(ブッキングドットコム)・Expediaエクスペディア)のOTA大手3社が宿泊施設側に不当な条件での契約を求めていた疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り調査を開始しました。

3社に処分が下った場合、今後インバウンド宿泊施設予約動向に変化が生じることが予想され、それに伴い宿泊施設も施策を打つ必要があると考えられます。以下でみていきましょう。



【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】

カンファレンスについて詳しく見てみる

OTA大手3社に公正取引委員会立ち入り

10日、オンライン旅行予約サイト(OTA)を運営する楽天トラベルBooking.com(ブッキングドットコム)・Expediaエクスペディア)が契約先のホテル旅館などに対し、他の予約サイトや宿泊施設の自社サイトでサービスをより安く提供しないよう求めていた疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り調査を始めたことが明らかになりました。

公正取引委員会が立ち入ったのは、楽天トラベルBooking.com(ブッキングドットコム)・Expediaエクスペディア)を運営する国内の関係先だということです。

立ち入りの背景はインバウンドの増加にあった

この3社はホテル旅館などの契約先から手数料を得て、オンライン旅行予約サイトで予約を仲介するサービスを行っています。

楽天トラベルは国内、ブッキングドットコムとエクスペディアはそれぞれ訪日外国人のシェアが大きく、これら3社は近年の訪日外国人の増加によってさらに大きくシェアを伸ばしていました。そのことから不当な契約があったのではないかと問題視され、今回の立ち入り調査に至ったといいます。

「同等性条項」で独禁法違反の疑い

今回OTA大手3社が独占禁止法に違反して行った疑いがあるのは、「同等性条項」と呼ばれる契約です。

「同等性条項」とは、OTAホテル旅館等の宿泊施設と契約する際、宿泊施設の自社サイトや他のOTAと同等もしくはそれよりも安くするよう求める条項です。

今回立ち入り調査を受けたようなシェアの大きい大手のOTAがこの「同等性条項」を設けると、宿泊施設が手数料のかからない自社サイトで安く部屋を提供できないほか、複数のOTAの間で価格競争が起こりにくくなるという問題が生じます。

そのためこの「同等性条項」は、条件次第で独占禁止法が禁止している「拘束条件付き取引」にあたる可能性があるということです。

なおブッキングドットコムに対しては、すでにドイツ当局がこの「同等性条項」を削除するよう2015年に命令を出しており、イギリスフランスなどの当局も調査にあたったということです。

今後インバウンドの予約動向はどうなる?OTA→自社サイト直予約へ?

今回の公正取引委員会立ち入り調査によりOTA大手3社に命令・処分が下った場合、インバウンドの予約動向が変化する可能性があります。「同等性条項」が削除されると、OTAに比べ宿泊施設の自社サイトのほうが安くなることが多くなると予想されます。

そうなった場合、現在のインバウンドにおけるOTA偏重の体制が少しずつ変化し、宿泊施設の自社サイトでの予約がよりポピュラーになっていくと考えられます。

OTAに支払う手数料

OTAを通して予約が成立した場合、宿泊施設OTA側に手数料を支払う必要があります。

プランにもよりますがその基本手数料は、楽天トラベル7~10%、ブッキングドットコムが12%エクスペディア15%だということです。OTAを通すとこれだけの手数料が売り上げから引かれてしまいます。

一方自社サイトで予約が成立した場合、手数料はありません。例えば1室10,000円で提供していた場合、OTAを通すと1件あたり700~1500円ほど手数料として引かれるところ、自社サイトだと10,000円がすべて売り上げになります。

自社サイトからの予約であっても、予約客がクレジットカードを利用して支払いする場合は「加盟店手数料」というものがかかりますが、OTAの手数料よりは安いことがほとんどです。

今こそ自社予約サイトの多言語化を/SEOやMEOも意識

OTAを通しての予約は手数料がコストとしてネックになることが多く、宿泊施設としては自社サイトで予約してもらうほうが売り上げにつながります。

また今回立ち入り調査を受けたOTA大手3社が「同等性条項」を見直した場合、訪日外国人が利用する宿泊施設予約プラットフォームOTAから宿泊施設の自社サイトへと移り変わっていく可能性があります。

そこで宿泊施設にとって必要になるのが自社予約サイトの多言語化です。今後訪日外国人OTAを通さず宿泊施設の自社予約サイトで直接予約をするようになると考えると、サイトの多言語化は必須といってもよいでしょう。

ただし、大きな予約窓口としてのOTAを活用しないという策を取る場合には、自社サイトがGoogle検索上位を取れるようにならなければなりません。また「ホテル名」で検索1位であることはもちろんのこと、多言語で「地名 ホテル名」でも上位に食い込む必要があります。なぜならば、外国人目線でホテルを探すときを考えた場合、ホテル名を「指名検索」するケースは相対的に少ないためです。

そのため、業界全体としてOTAを積極活用しない路線をとった場合は、各ホテルSEOMEO合戦が始まると考えられます。1つの戦略・販路に頼り切らない、配分を考えた販売戦略が、今後より一層重要度を増すと考えられます。

インバウンド集客の新常識「ローカルSEO(MEO)対策」とは?GoogleマップやGoogleマイビジネスを活用して訪日外国人を無料で集客す

ローカルSEOこと「MEO」は、Map Engine Optimizationの略称です。主にGoogle マップに対する地図エンジン最適化(マップ検索エンジン最適化)の事を意味します。ローカルSEO(MEO)対策は、まずはGoogleマイビジネスに登録するだけで無料で始められます。今回は、インバウンド集客の新常識「ローカルSEO(MEO)対策」について、Googleマイビジネスでできること、掲載順位がどのようにきまるのかのアルゴリズムの概要、そして掲載順位をあげるために必要な施策などを解...


まとめ:今後インバウンドの予約動向変化の可能性、サイトの多言語化必須

OTA大手3社が公正取引委員会による立ち入り調査を受けたことで、今後訪日外国人宿泊施設の予約方法に変化が生じる可能性があります。訪日外国人宿泊施設の自社サイトから直接予約ができるよう、今こそサイトの多言語化が求められているといえるでしょう。


<参照>

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに